まちのために自分ができるアクションを見つけよう「SDGsローカルツアー」@津市・三松荘
2020.03.18 UP

まちのために自分ができるアクションを見つけよう「SDGsローカルツアー」@津市・三松荘

LOCAL

ローカルにこそ、おもしろさがある。

いま世界では、国連のSDGsや「気候変動条約」などが採択され、社会を良くしようという動きが活発になっています。日本では、これらを踏まえて環境省が“地域版SDGs”である「地域循環共生圏」を提唱しています。このたび、環境省とソトコトがタッグを組み、全国7か所で「地域循環共生圏」形成のエッセンスを取り入れた「SDGsローカルツアー」を開催しました。

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「地域循環共生圏」の概要(出典:環境省)

「SDGsローカルツアー」は、都市部ではなくローカルエリアで開催されました。そこには「自分のやりたいことや思いを大事にしながら、自分の住むまちを『良くしたい』と思う人が多くいることに気づいてもらい、リアルな場でそれぞれのまちの人が、またオンライン上でそれぞれのまち同士がつながるきっかけになれば」という思いがあります。ローカルエリアにこそおもしろいことが詰まっており、おもしろい人がたくさんいます。そして「良くしたい」という思いを動きや形にしやすいのも、ローカルエリアの強みかもしれません。

そんな思いを背景に、ソトコト編集長・指出一正が、SDGsを軸に全国各地のソーシャルな事例を取り上げ、訪れたまちの皆さんとカジュアルに楽しくSDGsを読み解きました。ここでは、今年の1〜2月にかけて全国7か所で開催された「SDGsローカルツアー」の中から、2月21日に三重県津市「三松荘」で開催された様子をピックアップしてレポートします。

関係案内人のいる場所で。

これまでも、新潟県高田市に現存する日本最古の映画館「高田世界館」など、その地域の個性が光る場所で開催してきた「SDGsローカルツアー」。今回の会場となった「三松荘」は、もとは住居兼質屋だった建物をリノベーションしてつくられた多目的スペースです。建築家ユニット『アトリエワン』がリノベーションを担当し、歴史ある建物の佇まいを活かしながら、「多くの人が集まり、楽しめる場所にしたい」というオーナー・四方紀子さんの意向を汲んでつくられました。伊勢木綿や伊勢型紙を活用した、三重県産の伝統工芸や土にこだわった建物です。

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左・三松荘の外観。右:天井照明に伊勢型紙を活用。

「関係案内人」とは、地域を知るうえで“入り口”となる人のこと。今回の「SDGsローカルツアー」が開催された7か所は、すべて指出が厳選した関係案内人のいる場所です。津会場で関係案内人としてバックアップしてくれたのは、三重県のローカルメディア『OTONAMIE』代表の村山祐介さんと副代表の福田ミキさん。『OTONAMIE』は地元住民が記者となり、地域をおもしろがる視点を大事にしたメディアです。村山さんは地元の良さを再発見しながら、福田さんは東京からの移住者としての視点を持ちながら、世の中に三重の魅力を伝え続けています。今回も彼らの呼びかけをきっかけに、多くの方が参加してくれました。

また「SDGsローカルツアー」では、すべての回で現地と東京をつなぐ試みも行いました。東京中継会場とオンラインでつなぎ、現地の様子を共有しながらイベントを進めていきます。画面越しに環境省・環境教育推進室の田代久美さんが現地に向けて挨拶してくれました。

(田代さん)津の会場の皆さん、こんばんは。環境省では「地域循環共生圏」というコンセプトを打ち出しています。各地域で人やものなど地域の資源を活用しながら、環境だけではなく、社会や経済の課題解決を目指す考え方です。自分の住むまちを良くしていきたいと考える方同士が全国各地でつながることで、一緒に社会の課題を解決していきたいと考えています。

誰の意見も取り残さない仕組み「Sli.do」

「SDGsローカルツアー」では、参加者からの意見・質問をリアルタイムにスライドに映し出せるサービス「Sli.do」を使用しました。イベントで意見を言ったり、質問したいけれど大勢の前では勇気が出ない。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。SDGsの理念でもある「誰一人取り残さない」を実現するための試みのひとつです。

さっそく指出から「Sli.do」を使って参加者にアンケート。「皆さんはどこから来ましたか?」という質問に対し、スクリーンにはすぐさま参加者からの回答が映し出されます。結果は「三重県内(津市外):54%、東京会場:21%、三重県外:14%、津市内:8%」となりました。なんと県外からも多くの方が来てくれました。

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「Sli.do」で、その場でアンケートに答える参加者。

続いて「SDGsのこと、どこまでご存知ですか?」と質問すると、「なんとなく中身を知っている:67%、名前は聞いたことある:19%、よく知っている:15%、全く知らない:0%」という結果になりました。なんとなく中身を知っている方が会場の3分の2程度。次は、いよいよSDGsについての話です。

ナマケモノでもできるSDGs!?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のこと。これは2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)を踏襲したもので、2015年の国連サミットで全193国が賛成可決した目標です。2030年までに17の目標と169のターゲットを達成すべく、世界各国が動いています。

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国連が定めた17の目標。

SDGsには大切な理念があります。それは「No one left behind」。誰一人取り残さない、この言葉がSDGsを象徴しています。

(指出)誰一人取り残さないということ、こんなに安心な目標はないですよね。誰も差別しない。だから難しいんです。だけどやらないといけない、それがSDGsです。2019年6月に発行した「ソトコト・SDGs入門」は大きな反響があり、SDGsに対する興味関心が高まっていることを実感できました。最近ではスーツにSDGsのバッジを付けている人も多い。しかし、ジェンダー平等などまだまだ実態が伴っていないのも事実です。

スライドでは、国連広報センターの根本かおるさんからお話を伺った「ナマケモノにもできるアクションガイド」が紹介されました。なんと、ソファに寝ながらもSDGsは達成できるんです。例えば、このイベントについて誰かがSNSでアップしたら、それにいいねを押すこと。たったそれだけ。誰かの意見を広めていくことが、社会を変えるということにつながります。ほかにも余分な照明を消して、皆で同じ場所にいること。これだけでエネルギーカットになります。

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「No one left behind」の理念について語る指出。

(指出)僕はレベル3の「ヴィンテージものを買おう」という項目が好きです。僕は釣りオタクですが、50年前のスウェーデン製のリールを使ってるんですよ。スーパーで訳あり品を買うことも、立派なSDGsのアクションです。自分の身近なところからSDGsができるんです。

難しく考えずに、まずは「ナマケモノにもできるアクションガイド」からスタートしてみましょう。そんな言葉に、何人もの方が深くうなずいていました。

三重県・大台町の「ワンコの森あそび」  

続いて、SDGsを軸に全国各地のソーシャルな事例が紹介されました。例えば三重県・大台町で昨年夏にスタートした「ワンズラフ(Wans Laugh)/わんこの森あそび」。このプロジェクトを手がけるのは、当日も会場に来てくれた小田明さんです。小田さんは、指出が講師をつとめる「しまコトアカデミー」や、「ローカルベンチャーラボ」の卒業生で、東京に住んでいた頃から、ゆくゆくは森づくりやまちづくりに関わりたいと考えていました。ただ、当初はつい大きな視点で考えがちだったという小田さん。自分が本当に好きな「犬」を柱として事業構想を見直しました。

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「ワンズラフ」を手がける小田明さんと愛犬たち。

そんな折、『トヨタ自動車』が新たな視点で森を活用するプロジェクトを募集し、見事小田さんの案が採用されます。プロジェクトの舞台は大台町にある「トヨタ三重宮川山林」。東京ドーム約360個分の広大な山林で、山を広大なドッグフィールドとして体験することができます。リードなしで山の中を駆けまわるワンちゃんたち。とっても楽しそう!

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広大な森の中を自由に遊ぶ犬。

(指出)のびのびした時間を一緒に過ごせば、ワンちゃんたちが笑う顔が見られるんですよね。大切な家族と楽しく過ごせる場所をつくることは、SDGsと通底していることなんだと思います。幸せになれる場所をつくるというのは人間が得意としてるところなんですよね。温かさがあって、恥ずかしさがあって、熱っぽさがあって、完璧じゃないんだけど、みんながそこに来ることで思い出に残る。そういう場所が増えていくのが、持続可能な社会ができる素地ができるんじゃないだろうかと、僕は思います。

つながりが生まれた。

いくつかの事例を紹介したのち、SDGsと地域の未来づくりを理解するために必要なソーシャルな視点が紹介されました。真剣に耳を傾け、メモを取る参加者の姿が見られます。

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真剣に耳を傾ける参加者たち。

2時間にわたって行われた「SDGsローカルツアー」。参加者の皆さんからは「SDGsは気軽に取組めるものだと知れてよかった」「生き方のモデルの参考になった」「自分おもしろいと思うことを実行すれば良いのだと気づけた」などの感想がありました。終了後の交流会は初対面の人同士も遅くまで盛り上がり、この日をきっかけに新たなつながりが生まれていた様子。

SDGsは敷居の高いものだと思われがちです。けれど「ナマケモノにもできるアクションガイド」にあるように、照明を1つ消すだけで、誰かの意見をシェアするだけでSDGsの達成につながります。小さな力でも、その積み重ねが未来をつくっていくのです。もしよければ、これを読んでくださったあなたも、この記事をシェアしてみてください。そのアクションが、なにかが変わるきっかけを起こすかもしれません。

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津で、新たなつながりが生まれた。

photographs and text by OTONAMIE

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