コーヒーを飲むことでSDGsに貢献できる? ベトナムコーヒーから考える“サスティナブル”

コーヒーを飲むことでSDGsに貢献できる? ベトナムコーヒーから考える“サスティナブル”

2021.10.18

日本を代表するコーヒーを中心とした飲料メーカー・UCC。今回新たに発売されたサスティナブルなコーヒーカプセル「ベトナム ダラット」をはじめ、UCCではコーヒーを通じてSDGsへの取り組みを積極的に行っている。ユーザーはコーヒーを飲めば飲むほどSDGsに貢献できるのだという。そこで、今すぐにでもコーヒーを飲みたくなるような、UCCのサスティナブルな取り組みの一部をご紹介!(トップ写真:UCC)

日本のコーヒー文化における“3つの波”

1933年に兵庫県神戸市で誕生したUCC上島珈琲。個人商店として創業し、1958年に「UCCコーヒーショップ」第1号店を博多にオープン、1969年には世界で初めて「缶コーヒー」を開発・販売した。

「失われつつある日本の喫茶文化を大切にした懐かしく温かで、しかしかつて何処にもなかった大人のための珈琲店」をコンセプトに掲げるコーヒーチェーン「上島珈琲店」は、今や全国に100店舗を構えるほどの人気店に。また、ジャマイカやハワイに直営農園を開設するなど、約90年にわたり、日本のコーヒー文化をけん引してきた企業である。

同社によると、日本のコーヒー文化の流れとして“3つの波”があるという。

ひとつ目の波、「ファーストウェーブ」は、真空パックの加工技術により、流通量が増加して一般家庭にコーヒーが急速に普及したこと。当時は、”苦みを味わうための飲み物”として人気を博した。

「セカンドウェーブ」は、シアトル系コーヒーの台頭に見られる”深入り”の流行。特に、エスプレッソにミルクやクリームを入れた甘みのあるコーヒーが女性や若年層の間で人気となり、幅広い層に浸透するようになった。

そして、「サードウェーブ」は、豆の産地や農園にこだわり、1杯1杯丁寧に淹れたコーヒーの味わいを楽しむ人が増加したこと。これには、”おもてなしの心”を培ってきた日本の喫茶店文化が大きく影響しているのだとか。

1杯1杯、丁寧に淹れたコーヒーを再現する家庭用マシン

そんな1杯1杯丁寧に淹れたコーヒーをおうちで手軽に楽しめるもののひとつに、同社が手掛ける「DRIPPOD(ドリップポッド)」がある。家庭でおいしいコーヒーを楽しむために、次の4つのプロセスを掲げている。

1)農地でコーヒーを栽培し、収穫・選別・精製を行う
2)品質を損なわないよう運搬し、綿密に検査する
3)焙煎・粉砕してパッケージングし、ユーザーの手元に届ける
4)最適な淹れ方でコーヒーを「抽出」する

これまでは、3)のプロセスまでは同社で、以降の「抽出」に関してはアドバイスのみにとどめてきた。しかし、コーヒーは淹れ方ひとつで味が大きく左右されるため、”理想的な抽出”までをサポートするために、ドリップポッドが誕生した。

プロのハンドドリップの抽出メカニズムを搭載した画期的なマシンで、「鮮度」「計量」「蒸らし」「抽出速度」「(カプセルの)カタチ」の5つにこだわり、プロの淹れ方を再現。UCCのコーヒー鑑定士が世界中から厳選したコーヒーカプセルをセットして、コーヒーを抽出する。

2020年に発売された人気の「ドリップポッドDP3」。飲み物の種類を「コーヒー」「ティー」「緑茶」から、強さを「ストロング」「スタンダード」「アイス」から選ぶことができ、さらに抽出量を7段階(70ml~200ml)で調節することが可能。好みに合わせて細かくアレンジできるのがうれしい。

コーヒー豆の品質コンテストからSDGsへ

同社は、ドリップポッドを通して、SDGsにも積極的に取り組んでいる。

ひとつは、JICA(国際協力機構)のプロジェクトに参画し、農園開拓から商品化まで一貫して携わりながら製造しているカプセル「ルワンダ フイエマウンテン」。カプセル販売の収益金の一部は、現地の灌漑(かんがい)施設の開発に充てられ、2021年には5基の井戸が完成した。

もうひとつは、コーヒー生産現場における雇用・就労機会の均等・性差別の撤廃を目指す、カプセル「ブラジル ラゴア農園」。収穫から加工までの工程を女性だけで行い、雇用・就労の機会を創り出し、エンパワーメント(権限移譲)を行っている。

そして、今回新たに発売されたカプセル「ベトナム ダラット -UCC QUALITY CONTEST 2021」は、「UCC品質コンテスト」2021年ベトナム大会で入賞したスペシャルティコーヒーを使用。

「UCC品質コンテスト」とは、UCCグループサスティナブルビジョンの「カップから農園までの持続可能な活動で、コーヒー産業の発展に貢献し、世界を笑顔にする」を掲げた、コーヒー生産者らを対象にした、コーヒーの品質に関するコンペティションのこと。農業技術や加工技術の向上による品質の向上、コンテストにより付帯される付加価値によるコーヒー豆の販売単価の向上、それに伴う生産者のモチベーションアップを目的に行われ、地域全体のブランディングや価値の向上によって、おいしいコーヒーを多くの人に安定して供給できるようになる。このコンテストで入賞したコーヒー豆を使用するということは、SDGsに取り組むことを意味する。

手前の写真は、品質コンテスト2021で優勝したダラット市のLe Thi Chung(レー・ティ・チュン)さん。

“量”から“質”へ。持続可能なコーヒーを目指す

コーヒー豆は、主にアラビカ種とロブスタ種に大別され、ブラジルに次いで世界第2位のコーヒー豆の生産量を誇るベトナムでは、生産のほとんどがロブスタ種。アラビカ種は、900メートル以上の冷涼な高地での栽培に適し、フルーティーで甘みのある上質な酸味が特徴で、ストレートでの飲用に適し、比較的高値で取引されている。一方、ロブスタ種は、アラビカ種よりも標高が低くて温暖な地域での栽培に適し、病気に強く、苦味と渋みを感じられる味わいで、缶コーヒーやインスタントに適し、アラビカ種より3割ほど取引額が低い。

従来ベトナムのコーヒーは、先物取引が主で、品質よりも量が重視される風潮があり、長時間労働や作付面積の拡大につながっていた。

先日プレス向けに行われた、期間限定のコーヒースタンド(10月1~11日・表参道)の発表会で試飲したときの様子。アラビカ種(左)とロブスタ種(右)では味の違いがはっきりわかる。

しかし、ベトナムにもアラビカ種の生育に適した土地があり、UCCはそこに着目し、アラビカ種の生育に取り組み始めた。適した土地とは、ホーチミンから北東に300km離れたところにあるダラット。高原に位置し、美しい湖が広がる避暑地として知られている。平均気温は18℃前後と、東南アジアでは珍しく涼しい。ダラットで生産されるアラビカ種は、ベトナム国内で生産されるアラビカ種の約半分を占め、他の地域と比較してもより品質がよいとされている。

UCCは、持続可能(サスティナブル)を実現すべく、今後も品質向上に向けての農事指導を行ったり、1本からの収穫量を増やすための支援を行ったりするなどして、ベトナムの農家と持続可能な社内の実現を目指していくという。

カプセル「ベトナム ダラット」を使ったアレンジドリンク。シナモンオレンジコーヒー(左)、ジンジャーオレンジコーヒー(右)。レシピはWebサイト(https://drip-pod.jp/vietnam/) に載っているので気になる人は要チェック!

取材・文:鈴木啓子