大分移住計画の県内移住者を囲むイベント
2020.03.25 UP

連載 | NEXT STAGE まちのプロデューサーズ2.0 | 23 人と想いをつなぎ、新たな働き方を提案する。宮井智史さん

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今月のまちのプロデューサー

宮井智史さん

 リレーで「まちのプロデューサー」をつなぐのも今回で最後。次回からは新たな趣向で再出発! ということで、記念すべき締めくくりの回に取材したのは、大分県別府市を拠点に、シェアオフィスの代表を務めるかたわら、起業や就職、移住の支援など多岐にわたる活動を繰り広げる宮井智史さんだ。企業と求職者のミスマッチを減らし、誰もが楽しみながら働くことのできる社会「失業率0」を目指して活動する、宮井さんの原動力に迫った。

 今でこそ別府を思い、八面六臂の大活躍をする宮井さんだが、実は11年前に福岡から引っ越してきた移住者だ。5年間の大学生時代は「遊び放題の毎日を過ごしていた」という宮井さんは卒業後しばらく、フリーター生活を送っていた。周りの友人が社会人として真っ当な生活を送っていることに焦りを感じはじめた社会人2年目。26歳だった宮井さんは、学生時代にWeb制作の勉強をしていたことから、同級生が立ち上げたI‌Tベンチャーへ就職することとなった。しばらく働いた後、そこに出資していた企業に誘われた。

 「どんな企業か詳しく知らず、自分がこれから何を糧に生きていきたいのかも定まらないまま」会社のある別府に移住した宮井さんだったが、I‌Tの知識を生かし、大分県初のインキュベーション施設の運用を任せられた。東京での研修を終えてまず取り掛かったのが、職業訓練学校の開設。事業に取り組む中で、最低限の就職サポートはできたものの、必ずしも学生のモチベーションを上げ、彼女らが望む会社へ就かせることができなかったことが悔しかった。

 「自分もそうだった。多くの人はそもそも、何かをしたいけど、何をしたらいいのか分からないんだ。やりたいことが見つかれば動き出せるはず」。宮井さんは会社を立ち上げ、シェアオフィス運営を始めた。起業家たちへ知識や経営資源などを提供しながら、時には相談相手となり、これまでできる限りのサポートをしてきた。今では留学生向けの起業支援も行い、世界中から来る優秀な人材に日本で働いてもらうべく、取り組んでいる。最初は思いだけでスタートさせた事業にも、少しずつ利益が出始め、実を結びつつある。

 「どういう思いを持ち、どんな社会にしたいのか。本人がわからない部分を一緒に掘り起こしていきたい」と熱く語る宮井さん。「やりたいことを早く見つけることがいいのかどうかは分からない。今はマイナスと思っている経験も、いつか必ずプラスに変わる時がくる。僕にとっては、フリーターの経験もかけがえのないものだから」と、照れながらも笑みをこぼす宮井さんの胸中は、ふつふつと湧き上がる「失業率0」への夢にあふれているように感じた。

記事は雑誌ソトコト2017年10月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

文●横尾俊成

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横尾俊成

よこお・としなり
グリーンバード代表。1981年生まれ。早稲田大学大学院を修了後、広告代理店の博報堂に入社。官公庁・団体、NPOなどを担当する中で、社会課題解決のビジネス化に尽力。2010年10月に博報堂を退社、現職。著書『「社会を変える」のはじめかた』発売中! http://ecotoshi.jp NPOグリーンバード www.greenbird.jp

宮井 智史

みやい・さとし
「Alliance Social Share Office Beppu」代表。インキュベーションマネージャーとして起業支援を行いながら、就職支援、移住支援など大分県別府地域の課題解決に向き合う。運営するシェアオフィスは、「人が集い、人が繋がる、本音で話せるワーキングスペース」を目指し運営している。