みなさん、こんにちは!『ソトコト』編集長の指出です。ぼくは釣りが大好きで、1日の大半をイワナという魚と、タナゴという魚のことを考えて暮らしています(少し誇張しています)。
普段はほぼ毎日のようにローカルを訪れる生活を続けていますが、ここ何日か東京でのデスクワークが続いたので、「ようし、おれはやるときはやるのだ」と、ある決断をして、編集部のホンマに言いました。
指出 「ホンマくん、決めたぞ。あしたの夜、シーバス釣りに行こう」
ホンマ 「おっ!いいっスねー。だったらオンラインのキタノさんも誘いましょう」
シーバスとはスズキのことです。江戸前を代表する魚で、ルアーへの反応がいいので、多くの釣り人から愛されています。『ソトコト』の編集部には釣り好きが3人いて、ぼく、ホンマ、オンライン担当のキタノです。
「あそこもいいなー」「ここもよさそうだねー」などとグループメッセージで、わいわい、キャッキャッとやりとりした男3人ですが、具体的な実績もアテもさっぱりありません。
しかも、潮回りや天候など、魚の都合をいっさい考えず、「この日の夜しか空いていない」という理由から、「おれの都合に魚を合わせる」というぼくの長年に培ったルールから3月某日に決行されました。
到着したのは、江戸情緒が漂う、下町を流れる運河。「親水施設」として、釣り人のみなさんへのマナーも書かれていました。マナーを守って釣りを開始。
小さな橋の上流と下流が常夜灯のオレンジ色の光に照らされています。そこを注視していると、ときどき「バシュッ」という音とともに、水飛沫が上がります。これを釣り用語でボイルといいます。ボイルが嫌いな釣り人はいません。むしろ大好物です。
指出 「お!ボイルした!」
ホンマ 「マジっすか?あ、ほんとだ。ボイルだ!」
指出 「ボイルだねー❤️」
どうやらシーバスが小魚の群れに突っ込んで、捕食しているもよう。15年前のポイントマップを見て適当にやって来たわりに、なんとも運のいいぼくたち。打ち合わせで到着が遅れるキタノを当然のように待たずに、上司部下の分け隔てなく、一等地のポイントをわれ先と陣取り、ルアーを投げるふたり。
ホンマ 「うわっ!」
指出 「ん?どうした?」
ホンマが対岸のコンクリートに高価なルアーをぶつけて、無残にもリップが壊れたその姿を悲しそうに見つめていました。しかし、もったいないのでそのまま壊れたルアーを投げるホンマ。
そしてボイルの多く見られた対岸に渡って、橋のたもとに釣り座を決めたホンマが大きな声を上げました。
ホンマ 「き、き、き、きたっ!きましたよ!」
指出 「え、その壊れたルアーに?」
慎重にやりとりするホンマの釣り竿が曲がっていて、少しずつ魚が手元に寄せられてきました。フィッシュグリップでダメージのないように優しくキャッチ。あがってきたのは正真正銘の狙いの魚、シーバスでした。サイズは35センチくらいかな。
指出 「おー、やりましたね。釣れましたね」
ホンマ 「マジうれしいっス」
ふたりで喜び、写真を撮影したころに、打ち合わせを終えたキタノが到着。
キタノ 「きょうのために新品のパックロッドを買いましたよ!楽しみで仕方がありません」
3人となり、あちこち攻めていくも、これまでの魚っ気がうそのようになくなりました。場所を変え、大きい川沿いを粘るも、どうやら魚はやる気がなさそう。
指出 「みなさん、シーバス釣りに深追いは禁物です。なぜなら、あと少し、あと1時間と続けていると、いつの間にか夜明けを迎えてしまう魔物のような釣りだからです」
そう、これはぼくが若い頃によく経験した苦い思い出。だいたい寝不足で会社に出社となってしまう。ということで今日はここまで(しかし、撤収のほんとうの理由は、ぼくがただ早く築地の『加賀屋』に行って、生ビールと名物のモツ焼きを楽しみたかったということは、ここだけの話にしておいてください)。

ぼくとキタノは残念でしたが、ホンマが釣ったシーバスがピチピチしているのを見られてよかったし、春の夜の東京の穏やかな空気を、水辺を歩いて感じられたのもうれしかったな。このゆるふわの東京の釣りがたいそう気に入りました。
そしてお知らせです。いまぼくは、東京・有楽町にできたあたらしい施設『micro FOOD&IDEA MARKET』と『SAAI』をホームに、東京の釣りや水辺が好きなみなさんのコミュニティをつくろうとしています。
どなたか、仲間に入りませんか?