新潟・市民映画館シネ・ウインド
2020.05.16 UP

連載 | SUSTAINABLE DESIGN 新潟県新潟市 市民が育て、つなげる街の文化。

LOCAL

「さまざまな文化に触れる場がある」ということは、街をおもしろくする一つの要素になる。新潟県新潟市中央区万代地区の変容を見続け、35年前から看板を掲げている映画館『新潟・市民映画館シネ・ウインド』もその一つだ。“市民”と付くのは、1985年3月に同市内にあった名画座『ライフ』の閉館を受け、自分たちの手で映画館をつくろうと市民が動いたからだ。当時の旗振り役で、現在もこの映画館の代表を務める齋藤正行さんをはじめ、多くの人の強い思いと凄まじい行動力をもって、同年12月にこの映画館はオープンを迎えた。
 
 街をおもしろくするには、ただ「場」があるだけではなく、そこに集う街の人々の力なくして成し得ない。この映画館は自分たちの文化や娯楽を守るために自ら街を切り開いていった結果なのだ。街の文化は誰かがつくってくれるものではなく、一人ひとりの経験と行動の蓄積によるものだと、ここを訪れる度に感じる。そして自分もその一端であることを誇らしく思う。

1スクリーンのみの小さな映画館。2019年夏、新しくブルーの座席に交換され、よりゆったりと映画を楽しめるようになった。これからも、ここにあるために先を見据えた快適化である。

photograph & text by Yasuko Ogura

キーワード

小倉 快子

おぐら・やすこ
新潟県出身。10年ほど県外で生活した後、現在は新潟市にて写真集を中心とした新刊・古書の本屋『BOOKS f3』を営む。店内では定期的に展示やイベントも行なっている。