シューズは子どもたちの命を、足元から守ります。
2020.05.18 UP

連載 | スマイル アフリカ プロジェクト | 99 シューズは子どもたちの命を、足元から守ります。

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アフリカの道は未舗装路が多く、ガラス片などのゴミも落ち、そこを裸足で歩くと危険がいっぱいです。
さらに、地方では足の爪先から体内に侵入する寄生虫もいます。
でも、それはシューズがあるだけで予防できます。
子どもたちの命を守る、ケニアからシューズ寄贈レポートです。

『アフリカ児童教育基金の会ACEF(アセフ)』のシューズ寄贈。

なぜ今、アフリカの子どもたちにシューズが必要なのだろうか?
それが、「スマイル アフリカ プロジェクト」のそもそものスタートラインである。先日、アフリカ・ケニア現地から届いたシューズ寄贈レポートで、一足のシューズが一人の命を救うこと、そしてプロジェクトの意義を改めて認識させられた。

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カニョンガ小学校でのシューズ寄贈。

アフリカでは地面にガラス片や一般ゴミなどが落ちていることも多く、土や砂利の未舗装路は当たり前だ。地区によっては生活排水が垂れ流しになっており、雑菌だらけの道も多い。そんな場所での裸足やサンダル履きの生活では、ちょっとした足元の傷から感染症を引き起こし、それが悪化すれば足の指の切断、場合によっては命も奪われかねない。だから、シューズが必要なのである。

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きれいなシューズを前にして、みんな大喜び。

『アフリカ児童教育基金の会ACEF(アセフ)』は、ケニアで起きた大干魃による飢餓の緊急支援をきっかけに約30年前に発足した。現在は小学校運営や職業訓練校のサポートなどの教育支援事業、4か所の病院運営などの医療支援事業、乾燥地での毎年約1万本の植林などの環境保全事業を行っている。

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シューズの中に入っている、日本の子どもからのメッセージカードをうれしそうに見ていた。

寄生虫から、子どもの足を守るためのシューズ。

今回のシューズ寄贈レポートは、昨年10月から今年1月にかけ、ACEFが拠点を置く街・エンブ周辺で行われた。ACEFが運営や支援で関わる孤児院2か所、小学校2校で、日本からのシューズ計750足を子どもたちに寄贈してくれた。この地域は半乾燥地域で、貧しい家庭が多く、小学校に裸足で通っている子どもも多い。
「通学路は砂利道だったり、トゲのある木も多くて、足にケガを負いやすく、学校から帰宅すると家の手伝いのために水汲みで川へ行ったり、まきを拾うために低木地帯や草むらに入るので、さらに足元の危険が増します。また、学校のトイレに裸足で行き、それが感染症の原因になったりもします」と、ACEFの塩尻美智子さん。

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ゲシャ小学校でのシューズ寄贈。

そして、さらに危険なのは、裸足で通学する子どもの足の爪先から「ジガ」という寄生虫が入り込むことだという。
「足の爪の間や皮膚からその寄生虫が体内に侵入し、卵を産みつけます。爪がはがれたり、足の裏が痒くなります。そのまま放っておくとどんどん奥深くに入り込むので、最後は病院へ行き、メスで切って取り出さなければならなくなります。だから、早期に針で卵を取り出さなければならないのです」

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お互いに「かっこいいでしょ」「やったー」など、楽しげに見せ合う姿があちらこちらで。

しかし、シューズがあればこの危険が避けられ、安心した生活を送れるのだ。
「子どもたちは日本から贈られたシューズを前にしただけでニコニコでした。ワクワクしながら自分に合ったものを選び、友達同士で見せ合ったりして大はしゃぎでした」と塩尻さん。

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この学校がある地域も日照りが続き、食糧不足で深刻な状況だという。

なかには、新しいシューズが汚れないようにと、裸足にビニール袋を被せてサイズを試す子どももいて、贈る側としては大切に受け取ってくれるこの姿勢に感激だ。
ここで寄贈されたシューズは、これから750人の命をサポートする。幸せにあふれた彼らの笑顏にさらに感激だ。

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黒井克行

くろい・かつゆき
1958年北海道出身。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て、ノンフィクション作家に。主な著書に、『高橋尚子 夢はきっとかなう』(学習研究社)、『テンカウント』(幻冬舎文庫)、『男の引き際』(新潮新書)、『日野原新老人野球団』(幻冬舎)など。日本大学法学部非常勤講師も務める。