高橋尚子
2020.05.25 UP

連載 | スマイル アフリカ プロジェクト | 98 ケニアの協力団体の力で、シューズは子どもたちへ!

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昨年末に日本から船便で送ったシューズが、今年1月末に無事、アフリカ・ケニアに到着しました。シューズはプロジェクトの協力学校・ナイロビ日本人学校の倉庫を経て、現地の子どもたちへ。プロジェクトのフロントランナー・高橋尚子さんも昨年、同校を訪問しました。

高橋尚子さんがナイロビ日本人学校を訪問。

 今日も日本全国から「スマイル アフリカ プロジェクト」事務局にシューズが寄せられている。東京都江東区にある保管倉庫でシューズが集約され、その後、検品、消毒、サイズごとの仕分けなどを行い、アフリカで待つ子どもたちに向けて送られる。
 昨年末、8000足近いシューズをコンテナに積み、ケニア・モンバサ港に向けて船便で送り出したが、1月22日、無事到着した。港での通関後、首都・ナイロビにある、ナイロビ日本人学校に陸上輸送された。

輸送

 プロジェクト発足以来、ナイロビ日本人学校に協力をいただいており、シューズは学校敷地内にある倉庫にいったん納められる。それからJICAをはじめとする現地の協力団体やスタッフの手によって、子どもたちの元へと届けられるのである。
 昨年7月、プロジェクトのフロントランナーである高橋尚子とスタッフが、長年の協力への感謝と、児童・生徒たちとの交流のために学校を訪問し、歓迎を受けた。

高橋尚子
©鈴木勝

 ナイロビにはまだ裸足で走っている子どもがたくさんいて、意義深いプロジェクトだと感心しています。子どもたちを守るためのシューズが学校の倉庫で保管されていることを児童・生徒、教員みんなが誇りに感じています」と、同校の平田博嗣校長が話してくれた。
 歓迎会では、グラウンドに全校児童・生徒が集まってくれた。高橋からのこれまでの活動報告に、みんな真剣な表情で耳を傾けてくれた。その2日後には、ナイロビの市街地で行う「ソトコト サファリハーフマラソン2016」が控えていた。治安上の問題から、普段は校外を思いっきり走ることは難しいが、大会でそれが叶う。

走る
©鈴木勝

 しかも、シューズを寄贈されたアフリカの子どもたちも参加するとあって、一緒に走る喜びも待っている。それを楽しみにこの日まで、毎日、グラウンドで練習を積んできた児童・生徒たち。「優勝するんだ!」と、元気いっぱいにその日を待ち構える生徒もいた。そんな彼らに高橋はランニングアドバイスをし、仕上げに一緒に駆け出すと、グラウンド中にみんなの笑顏が弾けた。

記念撮影
©鈴木勝

 そして、その後、高橋とスタッフは、倉庫で預かってもらっているシューズを出し、ナイロビのスラムなどでシューズを待っている子どもたちを訪ねた。

目を輝かせ、感謝の歌を歌ってくれた。

 シューズがケニアに届いてからの流れを説明してきたが、高橋の手で手渡されるシューズは一部であり、大半は現地のスタッフや協力団体などの手で渡される。この連載ではその様子もたびたびレポートしているが、今回も協力団体の一つ、長崎大学熱帯医学研究所による寄贈を紹介する。
 同研究所はナイロビから約400キロ離れたビタ県で、「JICA草の根技術協力事業」による、約100校の小学校の児童を対象にした学校保健事業を実施している。

寄贈
同研究所による「Powo Primary School」での寄贈。

 「靴を履くことで防げる感染症のことも教えています。プロジェクトによるシューズ寄贈は、まさにこの学校保健事業そのものをサポートしていただいているといっても過言ではありません」と同研究所の風間春樹さん。同研究所には長年にわたり寄贈の協力をいただいているが、昨年3月には、小学校2校で251足が寄贈された。シューズ寄贈後の記念撮影の際、子どもたちが一斉に大声で歌い始めたという。現地のルオ語による感謝の歌で、「彼らのあの時の目の輝きは感動的でした」。
 一足のシューズが海を渡り、持ち主を代え、アフリカの大地を刻む。この足跡は笑顏の一歩である。
 

text by Katsuyuki Kuroi

記事は雑誌ソトコト2017年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

黒井克行

くろい・かつゆき
1958年北海道出身。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て、ノンフィクション作家に。主な著書に、『高橋尚子 夢はきっとかなう』(学習研究社)、『テンカウント』(幻冬舎文庫)、『男の引き際』(新潮新書)、『日野原新老人野球団』(幻冬舎)など。日本大学法学部非常勤講師も務める。