森の生活からみる未来
2020.05.29 UP

連載 | 森の生活からみる未来 | 60 土と野鳥と友達になる方法・中編

SUSTAINABILITY

 約4か月間という移住後、最長となった留守のあとに待っていた、雑草抜き、畑の土の入れ替え、木々の剪定。これら我が庭の「3大仕事」が終わったのは1月の下旬ごろ。つまり、完了までに約1か月かかったことになる。

いつも家を空ける冬季の1〜2か月であれば、ご近所さんの軽い協力で大丈夫なのだが、4か月間だとそうはいかない。今回は、庭仕事が得意な友人に、最低限のメンテナンスをお願いしておいた。それがなかったら、もっと手間がかかっていただろう。

その3大仕事が進行中、うちを訪れた友人やご近所さんから「大変だね〜」とよく言われた。でもぼくは、これら3つの作業が楽しくて、気持ちよくてしょうがないのだ。ぼくにとっては大自然の中で、精神を集中させながら全身の筋肉を駆使して、土と植物たちと向き合う行為は、最高の肉体トレーニングであり、至高のメディテーションだからだ。

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思い起こせば、レコード会社勤務の東京での十数年間は、忙しすぎたうえに、都心部という環境もあって、インドアのスポーツジムを活用せざるを得なかった。

効率性を考え抜いた結果、自宅近くと職場近く、それぞれから徒歩5分の場所にある、2か所のスポーツジムと契約。「ミニマム60分」というわずかな”スキマ時間”を見つけては、通うようにしていた。本来は、90分以上は欲しいが、その時間を捻出できるタイミングを待っていたら、ほとんど行けなくなってしまう。

「ミニマム60分」しか取れない時、ここでも効率性を優先し、マシンを使っての筋力トレーニングだけをやっていた。筋トレという無酸素運動だけだと不十分というのはわかっていたが、移動、着替え、シャワーを考えると、実際に使える時間は60分のうち30分未満。やむを得ない判断だった。

もし90分あれば、60分は運動に充てられる。その場合は、小さなプールを何往復もしたり、ランニングマシンを使うなど、有酸素運動も取り入れていた。

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60分以上トレーニングできれば、その時間そのものを瞑想タイムに昇華できる。しかし、30分弱だとそうはいかなかった。ただ、90分以上の時間が取れるのは月に1〜2度ほどというのが現実だった。

しかしぼくにとっては、短時間しか取れないこと以上に、体を動かす環境が「インドア」だったことのほうが大きな問題だった。
ぼくは幼少期からずっと、外で遊ぶのが好きだった。屋内で遊ぶことが楽しいと思ったことは、人生で一度もなかった。

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釣り、キャンプ、登山は、小学生のころに経験してハマり、それ以降、今日に至るまで、マウンテンバイクやカヤックなど、多くのアウトドア遊びを本気でやってきた。そして、今ではバックパッキング登山やフライフィッシング冒険といった、かなりハードなアウトドア活動が、ぼくの大切なライフワークとなっている。

そんなぼくが、原生林と湖という大自然の中で行う、我が家のガーデニング3大仕事という肉体労働は、他のどんなアウトドア活動よりハード。しかし、前述の「運動&瞑想」効果以外に、いやそれ以上に、ある大きな効能があることに気づいたのだ。まさに、それこそが「土と野鳥と仲良しになる」ことにつながっていたのだ。

写真・文●四角大輔

記事は雑誌ソトコト2017年4月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

四角大輔

よすみ・だいすけ
ニュージーランドの湖で半自給自足の持続可能な、森の生活を営む執筆家。フライフィッシング冒険、世界でのオーガニックジャーニー、アーティスト育成をライフワークとし、会員制コミュニティ『Lifestyle Design Camp』学長、複数の企業の役員やブランドアドバイザーを務める。レコード会社プロデューサー時代に7度のミリオンヒットを創出。好評発売中の新刊『人生やらなくていいリスト』では、ストレス社会となった日本で、自分自身を守り抜き、軽やかに働き、自分らしく生きるために必須の「ミニマム仕事術」と世界一簡単な「人生デザイン学」を公開している。増刷を重ね、現在4刷。