スマイルアフリカプロジェクト
2020.06.15 UP

連載 | スマイル アフリカ プロジェクト | 96 更生学校や、障がいのある子どもが通う学校で、シューズを寄贈。みんなが笑顔で、大喜びでした。

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日本で集まったシューズをアフリカ・ケニアに送った後、現地ではさまざまな協力者の手で、シューズを必要とする子どもたちへの寄贈が行われています。
今回は青年海外協力隊による、それぞれの赴任地での寄贈レポートです。

アフリカでのシューズ寄贈レポート

 ケニアからシューズ寄贈のレポートが届いた。本連載ではこれまで、スラム地区にある公的援助さえ十分に行き届かない学校や孤児院などへの寄贈レポートを紹介してきたが、今回の一つは更生学校だ。

 ケニア西部の街・カカメガにあるカカメガ更生学校には、軽犯罪を犯したり、素行不良、劣悪な家庭環境から保護された12〜18歳の生徒約70名が在籍している。3年間にわたる施設内の様々なプログラムや共同生活を通して更生を目指すが、JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊として派遣されている小池庸介さんは、ここで体育と算数の教員として活動をしている。また、日本の厳格な部活スタイルを導入したサッカー部の指導も行っている。当初、部員たちは意思統一が取れずにバラバラだったというが、今では25人の部員たちが、キャプテンを中心に自ら練習をし、ミーティングで意見を戦わせたりと、小池さんの目論見は彼らの自主性を育み、精神的な成長となって現れた。そこでさらに一役買ったのがシューズだ。

赴任地のカカメガ更生学校でサッカー部の指導をする小池庸介さん。裸足で練習をする生徒がほとんどだ。
赴任地のカカメガ更生学校でサッカー部の指導をする小池庸介さん。裸足で練習をする生徒がほとんどだ。

「ケニアではストリートチルドレンが社会問題としてあり、更生学校にもそんな生徒がいます。高校生の年齢になって初めてシューズを履いたという生徒もいます。そんな彼らが自分に合うサイズやお気に入りのデザインのシューズを一生懸命探していました。受け取ると満面の笑みで、少し恥ずかしそうに『アサンテ(ありがとう)』とお礼を言ってきました。それを見ると、本当に必要とされている援助があることを認識させられました」。サッカーをする楽しみもさらに増えただろう。更生へ向けて大前進だ。

シューズを受け取ったら、さっそく履いて、見せ合いっこ。
徳竹暢子さんが裁縫指導をしている小学校でのシューズ寄贈。日本からのシューズに添えられているメッセージカードを一つにつなぎ合わせ、みんなで見てくれている。

シューズで「今度は勝つぞ!」

 同じく青年海外協力隊の徳竹暢子さんは、ケニア西部のビクトリア湖に面した街・ホマベイにある、聴覚障がいのある子どもが通う小学校で裁縫指導(布ナプキンや手工芸品制作)を行ったり、地元農家の収入向上活動などを行っている。

 その小学校で、約120名の児童全員にシューズ寄贈が行われた。児童ほとんどがまともな服やシューズを持っていないため、初めてのきれいな”マイシューズ“になるはずだ。まずは、混乱を避けるために事前に一人一人のサイズを測ってシューズを仕分けし、それに名前を記入した。

シューズを受け取ったら、さっそく履いて、見せ合いっこ。
シューズを受け取ったら、さっそく履いて、見せ合いっこ。

そして、担任教員が名前を呼び、それぞれに渡していく。「みんな、『僕のはまだ?』と、ハラハラしながら自分が呼ばれるのを待っているのですが、うれしくて大興奮。シューズを受け取ると、友達と見せ合い、嬉しそうにすぐに履いていました。低学年の児童の中には、うまく履けずに先生のところへ行って履かせてもらう光景もありました。この地区では年1回のスポーツ大会があるのですが、今までは裸足同然で参加していた児童たちが、シューズを手にし、気持ちも昂揚して、先生も一緒になって『今度は他の学校に勝つぞ!』って、さらに盛り上がっていました」と徳竹さん。

 命を守るシューズは、心も豊かにしてくれる。

text by Katsuyuki Kuroi

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黒井克行

くろい・かつゆき
1958年北海道出身。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て、ノンフィクション作家に。主な著書に、『高橋尚子 夢はきっとかなう』(学習研究社)、『テンカウント』(幻冬舎文庫)、『男の引き際』(新潮新書)、『日野原新老人野球団』(幻冬舎)など。日本大学法学部非常勤講師も務める。