無人販売のススメメイン
2020.06.20 UP

地元しか知らない “無人販売のススメ”

LOCAL

沖縄県では4月頃にコロナウイルスの感染者がピークに達し、県独自の緊急事態措置が実施されるなど、いよいよ週に1度のスーパーへの買い物でさえ不安な時期がありました。(5月,6月は感染者なし ※6/15日現在)

ソーシャルディスタンスの確保が求められるなか思いついたのが、人と会わずに野菜が手に入る「無人販売」の存在。
市街地などではまず見かけることはないのではないでしょうか。

コロナをきっかけに無人販売所について今一度その実態を確かめるべく、村内にある無人販売所を回ってみました。

村内4箇所の無人販売所をご紹介!

北中城村内には調べた限りで4つの無人販売所が存在した。
それぞれ日によって数にバラつきはあるものの、ほとんどの野菜が100円均一という手頃な価格で購入できるところも無人販売の魅力の1つ。

この日はタマネギ、サンチュ、パパイヤ、島らっきょうなど、結果的に8種類の野菜が1つ100円=800円(税込)で手に入った。

購入した野菜
タマネギ、サンチュ、ニンニク、パパイヤ、インゲン豆、パパイヤ

それぞれしっかりボリュームもあり、規格外商品のように見た目などに問題があるわけでもない。むしろタマネギは見たこともない特大サイズ、ニンニクは3つも束ねられて100円というスーパーではまずありえない値段に驚きを隠せない。そして何より誰にも会わずにこれらの野菜が購入できたのだから言うことなしである。

各無人販売所の様子と場所

①北中城村字和仁屋159-2

「ハルサーバザール 伊波兄弟の無農薬野菜」

販売時間/14:00~18:30頃

無人販売1
無人販売所の中でも特に種類が多かった
無人販売所2
販売野菜はどれでも1袋100円!

②北中城村字熱田263

「熱田スーパー」横民家前

無人販売所3
集落の中にあるため、この看板が目印
無人販売所4
「熱田スーパー」横の民家の前にあります

③北中城村字喜舎場306

「さくらのうえん」

無人販売所5
中学校裏手この看板が目印
無人販売所6
この日は夕顔らしき野菜とねぎ

④北中城村字安谷屋1212

無人販売所7
さくらのうえんから徒歩すぐ
無人販売所8
1回目はゼロで、この日はたくさんあった(タイミングも大切)


①と②、③と④は徒歩数分の比較的近い距離に位置しているのでハシゴしながらの買い物もオススメ。

そして無人販売の特徴とも言える、「今日何が置いてあるのか行ってみるまで分からない」というドキドキ感も醍醐味の1つ。
 

生産者インタビュー 比嘉清順さん

比嘉清順さん
清順さん。自宅にて、地域でワークショップも行う「漆喰シーサー」と一緒に


「地域の健康は、地域で守るしかない」

そう話すのは、「ハルサーバザール 伊波兄弟の無農薬野菜」を営む比嘉清順さん(69)。

無人販売を始めたきっかけや、地域への想いについて聞いた。
 

ソトコト(以下:ソ)なぜ無人販売を始めようと思ったのですか?

清順さん(以下:清)当初は兄が無人販売を始めるにあたって、建築関係の仕事をしていた私が販売場所の棚や屋根などを作る手伝いから始めたのがきっかけです。その後ほどなくして兄が脳梗塞で倒れてしまい、他の兄弟たちと協力しながら現在まで続けてきました。

ソ:伊波兄弟の無農薬野菜ともあるように7人兄弟の清順さん。幼少期はどのように過ごされていましたか。

清:私は7人兄弟の5番目なのですが幼い頃に父を亡くしました。
7人もの子どもを母が女手ひとつで育ててくれました。当時機械などもない中でサトウキビを刈って、荷台に積み込む母の手はゴツゴツとしていてとてもたくましかったのを覚えています。自分たちもよく手伝いをしていましたし、小さい頃から農業に携わってきました。

当時母が作っていた野菜は、「綺麗でないと売れないから」という理由で畑の半分は農薬を使用していました。そしてもう半分の虫食いだらけの野菜を自分たちが食べる分として育てていました。

当時の私は、なぜ自分たちはこっちの虫食いだらけの野菜を食べないといけないのだろう。ケチな親だなあと思っていましたが、虫食いの方の野菜は無農薬のものでした。

ソ:その頃の記憶が今の無農薬野菜の販売に繋がっているのですね。

清:皆も生活があるから農薬を使って売れる野菜を作るしかないのかもしれないけれど、自分はそんな現状を見て「地域の健康は地域で守るしかない」と感じていました。私の育てている野菜は半分は虫に食べさせています。そしてもう半分を虫が食べないタイミングで収穫しています。販売している袋の中に虫が入ってしまうこともよくあり、女性の方は驚かれることもありますが、無農薬野菜は虫がいるのも安心安全の証。大目に見てもらえれば嬉しいです。

ソ:苦労して育てた野菜。1つ100円で本当に大丈夫なのですか。

清:野菜の無人販売は収入を得るためにやってる訳ではないので、売上は自身の所属しているボランティア団体YORISOI隊※ の活動資金に充てています。
30年間現場監督として建築の仕事に携わってきました。家賃収入もありますし、趣味が高じて今も続けている“漆喰シーサー”のワークショップなど好きを仕事に楽しくやっています。

※YORISOI隊・・・村民を中心に有志で集まったメンバーで、東北や熊本の被災地への復興支援、交流を目的としたボランティア団体。

漆喰シーサー
つくる人によって様々な個性が出るという漆喰シーサー

ソ:農業、建築、シーサーと“つくる”ことが好きな清順さん。今後の目標などはありますか?

清:実は5年前から始めたもう1つの趣味(特技)が「カービング ※1」。

自身の野菜カービングを若い人に見てもらって、“ハルサーアート ※2”をやってみたい。

農業とアートをかけ合わせて、若い世代にも農業への親しみを持ってもらいたいですね。

※1 カービング・・・彫刻のこと。木彫りや石鹸、果物、キャンドルなどを彫って作られるもの。

※2 ハルサー・・・沖縄の方言で畑を耕す人のこと

清順さんの畑
自宅の畑。サニーレタスやキュウリなどが植えられていた
自宅の様子
自宅の庭から海が見える。晴れると津堅島もくっきり

 

photographs & text by Sayo Yasumoto