ライフスタイル
2020.07.07 UP

連載 | 森の生活からみる未来 | 56 仕事はライフスタイルデザインの一つにすぎない❹

SUSTAINABILITY

ライフスタイルをデザインするうえで、もっとも重要にすべき項目は何だろうか。

この難しい問いを検証する前にまず、現代社会を自分らしく生きるために必要な項目をリストアップしてみたい。ここでは、わかりやすくするために、人生を、ぼくがライフワークとしているロングトレイル(長距離登山)に例えながら書いてゆこうと思う。

まず挙げるべきは、「❶心と体のメンテナンス」だろう。なぜなら、生活するためにはもちろん、山を歩くにしても何をやるにしても、「身体」はすべての土台になるからだ。そして、肉体の健康は、「心(マインド)」と直結している。心が不安定になれば、体の調子は狂う。心が整えば、体調もよくなる。そして、その逆もしかり。

ぼくは「心と体」を"ライフスタイル・インフラ"と呼んでいる。このインフラが整わないことには、何も始まらないからである。

2 番目にくるのが、「❷人生のビジョンと、今回与えられた命を燃やして成し遂げたい夢」というのがぼくの持論だ。これらを言い換えると"ライフテーマ"になる。長距離登山に例えると、言うまでもなく目的地。 これは、自分の人生をデザインするために絶対に必要な、道しるべであり羅針盤となるため、非常に重要な項目だ。

次に大切なのは「❸パートナーシップとファミリープラン」だろう。人間はひとりでは生きられない生き物。 共に歩んでゆく人生のパートナーとも言える、恋人や伴侶の存在によって、暮らしにおいて誰もが大きな影響を受ける。

ちなみに、ひとりで過酷で危険なロングトレイルを歩き続けることは可能だが、バディ(相棒)がいるだけで遭難のリスクは、一気に数百分の一にまで下がることはあまり知られていない。

4つ目にくるのは、おそらく「❹マネープラン」だろう。体と心が整い、進むべき方向が定まり、共に歩む同志を得て、いよいよ具体的に「人生プラン」を立てることになる。その際に外せないのが、どれくらいのお金が必要かを、真剣に考える行為だ。

ただあくまで、「自分らしく生きるため、家族が健康的に生活するために最低限必要のコストを計算すること」であるという真理だけは、絶対に忘れてはいけない。

「お金はあればあるほどいい」という、多くの人間が陥ってしまう思考にハマッてしまうと、なかなか抜け出せない"無間地獄"に落ちてしまう。こうなると、お金を稼ぐためだけに生きる、人間の姿をした"マネーモンスター"という化け物になってしまう。人としての幸福度が高まることは二度となくなり、不幸の底の底にまで落ちてしまうので、賢明な注意が必要だ。

そして、いよいよここで登場するのが、「❺キャリアデザイン」だろう。「体と心」をより健康にすることで日々の幸福度を向上させ、「人生のビジョン」の具現化と、パートナーや家族を幸せのために何をすべきか、ということである。

ロングトレイルに置き換えると、目的地まで何日かかるか計算し、どんな装備が必要で、テントを張る場所や水の補給をどうするか、などの具体的な登山プランニングを立てる行為に似ているだろう。

写真・文●四角大輔

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四角大輔

よすみ・だいすけ
ニュージーランドの湖で半自給自足の持続可能な、森の生活を営む執筆家。フライフィッシング冒険、世界でのオーガニックジャーニー、アーティスト育成をライフワークとし、会員制コミュニティ『Lifestyle Design Camp』学長、複数の企業の役員やブランドアドバイザーを務める。レコード会社プロデューサー時代に7度のミリオンヒットを創出。好評発売中の新刊『人生やらなくていいリスト』では、ストレス社会となった日本で、自分自身を守り抜き、軽やかに働き、自分らしく生きるために必須の「ミニマム仕事術」と世界一簡単な「人生デザイン学」を公開している。増刷を重ね、現在4刷。