IKUNAS
2020.07.07 UP

連載 | リトルプレスから始まる旅 | 56 IKUNAS vol.4

DIVERSITY

四国・讃岐を深掘り。

毎年秋になると岡山大学構内のイチョウ並木は黄色く染まり、今年11月12日には、第1回瀬戸内ブッククルーズ「イチョウ並木の本 まつり」が開催される。

会場となるSANAA設計による『Jテラスカフェ』は、大学構内にあり、雲をイメージしたような大きな陸屋根を持ち、ガラス張りの空間で、大学と地域の人々の交流を目的としている。

瀬戸内と名乗るのは、岡山の書店だけでなく、中国地方、四国の店も関わり、将来は各地で催したいという目標があるから。『451ブックス 』も含め30の書店や店舗が出店し、本に関わる体験や、トークイベントが開催される。

出店する店のひとつ、『なタ書 』も香川県高松市の完全予約制の本屋 。その店主の藤井佳之さんも寄稿する、香川の雑誌『IKUNAS』が、今回取り上げるリトルプレス。

讃岐の心豊かな暮らしを提案し、考えることをテーマとする『IKUNAS』最新号の特集は「もっと旅する好奇心」。

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この記事に驚いた!金刀比羅宮の魅力の一部、 不思議なモノの数々。

編集部が選んだ旅の目的地は「こんぴらさん」と親しまれる金刀比羅宮。江戸時代、参拝以外の旅が禁じられていた庶民にとって「こんぴらさん」は、「伊勢神宮」と並び、全国的な知名度を持つ特別な場所 。多くの庶民が四国の山中を目指し、船で海を渡り、長い長い石段を上った。

当時の賑わいの痕跡は、今でも金刀比羅宮周辺に残り、代々続く土産物店や旅館、歌舞伎座などが存在している。

今回の『IKUNAS』は、そのひとつひとつに注目し、楽しみ方からから歴史 、トリビアなど、多くの誌面をさいて紹介している。

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「こんぴらさん」のメインストリート、表参道と「お山(象頭山)」を感じる裏参道。

主役たる後本宮とさらに583段上った霊験あらたかな奥社と天狗の秘密 。

表書院の丸山応挙の虎と、普段見ることのできない奥書院の伊藤若冲『百花図』、虫食いの理由 。

そこかしこにある、不思議なものたち。アフリカゾウ、人魚のミイラ、巨大スクリュー、宇宙飛行士 、UFO、灯台など。

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今では全国から歌舞伎ファンが集まる「四国こんぴら歌舞伎大芝居」。江戸時代に建てられた現存最古の芝居小屋『金丸座』の歴史と魅力。

幾度か訪れた僕にとっても、その中のなにげない全体図から、気がつかされることがある。

旧街道から表参道、鳥居を潜ったり、体力を使い368段の石段を上りながら、所々で風物に出合い、風景の変化を感じ、実際に 体験することで、身体感覚といえるような独特の感覚が「金刀比羅宮」にあること。

「イチョウ並木の本まつり」も、イチョウの木の下を歩き、本や店主、本に関わる仕掛けに出合うことで、本だけでは伝え切れない体験を持つ、特別な場所になると思っている。

今月のおすすめリトルプレス

『IKUNAS vol.4』

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心豊かな暮らしのためのFLAVOROFLIFEを考える。
発行人・編集人:久保月
2016年9月、tao.刊 297×210ミリ(150ページ)、700円+税

『IKUNAS』編集部より一言

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四国・讃岐(SANUKI)を逆さまに眺めてみれば──。見慣れたモノや風景が輝きだす瞬間があります。その一瞬をどう伝えるのか、いつもスタッフ一同ドキドキわくわくしながら制作しています。毎号テーマを変えていますので、「あれ?これもIKUNAS?」と、いい意味で期待を裏切りつつ、コレクトしたくなる。そんな雑誌に育つといいなと思っています。

文●根木慶太郎

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根木慶太郎

ねき・けいたろう
岡山県玉野市で新刊や古書、洋書、リトルプレスを扱う書店『451ブックス』を経営。地元では「絵本を読む」教室なども開催。全国から取り揃えたリトルプレスはネットショップでも購入可。www.451books.com