この夏、行列間違いなし!広島生まれのローカルスイーツ「縄文あいす」とは?
2020.07.29 UP

この夏、行列間違いなし!広島生まれのローカルスイーツ「縄文あいす」とは?

FOOD

広島県安芸高田市は、島根県との県境にある人口約2万8000人の小さなまち。周りは山々に囲まれた自然豊かなこの地に、土日には行列ができるほどの人気スイーツを発見した。その名も「縄文あいす」。特産の古代米(黒米)を使ったアイスクリームは新食感で、そのおいしさから口コミで人気が広がり続けている。この夏さらに行列が伸びそうな、広島のローカルスイーツを紹介する。

古代米とは?

古代米
古代米(黒米)。炊く時は、白米1合にティースプーン1杯ほどを混ぜて炊き込む。

 古代米とは、農林水産省のHPによると下記のように説明されています。

「古代米」とは、私たちの祖先(そせん)が栽培(さいばい)していた、いわば「古代の稲(いね)の品種」が持っていた特色を色濃(こ)く残した稲のことだと考えられます。

そのなかでも、「赤米」や「紫黒米(しこくまい)(黒米)」「香り米」という、玄米(げんまい)に色や香りを持った米は、品種改良の対象にもならず、現在(げんざい)でも日本や世界の一部の地域(ちいき)で栽培され続けています。

農林水産省HP 消費者の部屋より

 上記のように古代米にもさまざまな種類がある中で、安芸高田市(合併前の旧向原町)では新たな特産品を開発する過程で黒米(くろまい)に白羽の矢が立ち、今に至るのだという。そして地域の特産品を使ったアイスクリームを開発したいという想いが実現されたのが、今回ご紹介する「縄文あいす」なのだ。

プチプチとした新食感アイスクリーム

ベジパーク店

 「縄文あいす」は古代米(黒米)を使っていることや、製造地周辺にあった「縄文の森」という炭焼き場からイメージし、命名されたという。
 味は、黒米を使った「縄文(ミルク味)」をはじめ、チョコ・ほうじ茶・抹茶・キャラメルなどの定番フレーバーから、地元でつくられている大吟醸を使った大人のアイスクリーム「神の蔵(かんのくら)」や期間限定フレーバーを含め、10種類以上のラインナップを揃える。(ただし、古代米を使用したアイスクリームは「縄文」のみ。)

縄文あいす
一番人気の「縄文」。少し紫がかった色は、黒米から出る自然な色素。写真はスモールサイズで270円(税込)。

 一番人気の「縄文」は、まず黒米のプチプチとした食感が新感覚だった。通常黒米はおはぎなどに使われることが多く、アイスクリームに使うケースは珍しいのだという。またどのフレーバーでもほぼ共通して使われているベースのアイスクリームは、地元広島のアイスクリーム開発研究所で長年研究をされている方に協力を仰いで作られたもの。卵は一切使わず、地元の牛乳や素材を使って開発されたその味はちょうど良い甘さで、後味の甘ったるさは感じなかった。新商品開発時には味の微調整を何度も繰り返しながらも、基本の味を大きく崩さないように徹底しているのだそう。

”仲間”がつくる人気アイスクリーム

ひとは館
縄文あいす「ひとは館」本店

 その「縄文あいす」は、安芸高田市向原町にある社会福祉法人ひとは福祉会が運営する、アイス製造販売所・縄文あいす「ひとは館」で作られている。「縄文あいす」は2003年に誕生し、施設を利用する障がい者の方々がスタッフと協力しながら製造・販売する商品だ。今では「ひとは館」だけでなく、安芸高田市内や広島市内をはじめ多くの場所で販売されるようになり、施設長の伊藤千代子さんによると「ひとは福祉会の名前は知らなくても、縄文あいすは知っている、という方もたくさんいらっしゃいます。」と言われるほどの知名度を誇る。また今年4月、安芸高田市内に新設された道の駅「三矢の里 あきたかた」内に2号店がオープンすると、生産が追いつかなくなるほど好調な売れ行きなのだという。

ひとは
ひとは福祉会で共有する理念。「ひとはの里」という表現には、誰もが来れる場所でありたい、誰もが肩書きに関係なく楽しく過ごせる場所にしたいという想いが込められているという。

 ひとは福祉会では、施設利用者を”仲間”と呼ぶのだという。彼らをサポートするスタッフ・常冨紘子さんによると、「前週にあれだけたくさん作った縄文あいすがどんどんなくなる様子を見て、嬉しそうにしている仲間もいらっしゃるんです。アイスカップのシールを貼る作業をしている方は、少しずつカップが減る様子を見ながら『もうないの~』とニコニコしながら作業していました。」と言われていた。

作業中の様子
真剣に作業をする”仲間”の一人である服部さん

「手間や愛情の掛け方が全然違う」

 縄文あいすに使われる黒米やフルーツは、農業班の”仲間”たちが育てたものを使っている。黒米だけにしても、一般的に販売されているものは白米が混ざっていることも多いというが、”仲間”たちは一粒一粒丁寧に選別しているため、ほとんど白米は混ざっていないのだそう。また、いちごやブルーベリーも愛情込めて作っているので「手の掛け方が半端じゃない。やっぱり愛情がこもっていないとおいしくないし、気持ちを込めて作っているところはやっぱり伝わる。」と施設長の伊藤さんはいう。

夏の新商品情報も特別に公開!

くじらのおいしお
新商品で使用予定の「くじらのおいしお」

 そして夏の連休に向けて開発が進んでいる新商品についても、今回特別に教えてもらうことができた。それが期間限定で販売する「塩アイス」と「ココナッツアイス」で、中でも「塩アイス」は近隣の社会福祉法人が手がけるミネラル豊富な塩「くじらのおいしお」を使ったアイスクリームなのだそう。ひとは福祉会課長の出田広志さんによると「期間限定商品なので製造・販売状況によっては完売する場合もありますが、できるだけ売り切れないようには努力しようと思っています。」とのこと。オンシーズンは毎年4リットルケース60個分(計240リットル)を一週間で販売するほどの人気商品だが、工場ではなく”仲間”と手間も愛情もかけて製造している商品なので、生産が追いつかず、完売してしまう場合もあるのだという。

縄文あいす
定番人気のキャラメルと抹茶。キャラメルは、甘さの異なるキャラメル2種類を混ぜることで味の深みが出るのだという。

 「障がい者の施設だから買ってくださいというよりも、おいしいものや質の良いものを売っていこうというつもりでやっています。だから味だけは、本当にこだわっているんです。」と施設長の伊藤さんが力強く言われるように、最初は私も社会福祉施設が作っている商品だとは知らずに購入し、ファンになった一人。

 小さなまちで行列ができるほど人気スイーツ「縄文あいす」を、ぜひこの夏一度体験してみてほしい。

▼販売方法
オンラインショップ/安芸高田市「ひとは館」/「ベジパーク店」

▼取材協力
社会福祉法人ひとは福祉会

 

※ご紹介した商品は記載当時の情報のため、在庫状況・価格などが異なる場合があります。

text by Naoko Yamakawa