家族4人で越後湯沢へ。“移住”という人生の転機に向き合う、伊藤綾さんの覚悟と挑戦
2020.07.25 UP

家族4人で越後湯沢へ。“移住”という人生の転機に向き合う、伊藤綾さんの覚悟と挑戦

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移住相談を通して、人生の転機に立ち会う。

きら星_メンバー

 テレワークの普及が進んだことで移住を検討する人が増えていると言われているが、実際のところはどうなのだろうか。最近の移住相談の状況について、話を訊いてみた。

伊藤さん「コロナ禍までは、明日住む家もないという状態の逼迫した方や、定年退職後の悠々自適層の方が多かったですが、最近では20代後半~40代前半の働き盛りの方が、生きる場所を見直したいという相談が増えてきました。その中で、『地方ではどんな仕事があるの?』とか『いくらくらいで賃貸ができて、生活費はどのくらいかかるの?』というような収入や支出に関わる相談が多いです」

 これまで主流だった終身雇用の考え方はもうすでに崩壊しつつある。今の会社に縛られることなく、これからの人生を豊かにするため、今までの働き方や暮らしを見直し、より自分にあった場所を求めて実際に動き出す人が多いようだ。

 そして、その相談のレベルは人によってさまざま。移住したい地域ややりたいことなど、全く何も定まっていない状態の人も多いため、きら星ではカウンセリングをしながら進めていくようにしているという。必要に応じて「なぜ移住がしたいのか?」「どのように生きたいのか?」など内面まで深く掘って話を聞きながら、人生の転機に立ち会う者として、その人との関係を深めることを大事にしている。

きら星_オンライン勉強会
きら星では、オンラインでの移住相談をはじめ、地方暮らしやリモートワークについて知ることができる勉強会なども開催。実際に湯沢で暮らす人々から生きた情報が得られる。

リゾートマンションで体験できる、お試し“湯沢暮らし”。

きら星_お試し移住

 こうした移住相談をベースにしつつ、きら星が今年5月からスタートさせたのが、リゾートマンションを活用した「お試し移住」だ。最短1日からお試しで住むことができ、現地での暮らしや地域の雰囲気を体感できる。期間中、お試しでただ滞在するだけでなく、地域の魅力をより感じてもらうため、その人の状況や志向にあわせた体験プランも提案している。

伊藤さん「『お試し移住』は、地域で暮らすおもしろい人達にたくさん会ってもらうほうが最終的な満足度は高いです。なので、単に現地で自分のペースで過ごすだけではなくて、私たちの提案するアクティビティにも積極的に乗っていただきたいと思っています。その方のニーズにもよりますが、求職中の方であれば、志向や経験に合わせて企業見学に行くこともありますし、登山などのアクティビティを楽しみたい方には山岳ガイドさんや町のツアーなどを紹介したりもしますよ」

きら星_お試し移住部屋
「お試し移住」で滞在することができる実際の部屋。滞在拠点としては、きら星が自社で用意している部屋と、提携業者のマンション、そして今後オープン予定の町営のマンションなど、複数の中から選択して、湯沢暮らしを体験することができる。

 この「お試し移住」を経て移住を決めた人はまだいないが、リゾートマンションの購入に向けて話が進んでいるという人は出てきているそうだ。具体的に移住を検討する人にとってはリアルな町の状況を知る貴重な機会になるのと同時に、上手くいけば地域に顔見知りを作るチャンスにもなる。

 これまでバブル期の負の遺産として扱われてきたリゾートマンション。しかし、都市からの移住希望者が増えている今、田舎暮らし初心者でも暮らしやすいリゾートマンションが再び活用され、その価値を見直されようとしている。今や空室の数は移住者を受け入れられる伸びしろでもあり、その数だけチャンスがあるとも考えられるだろう。

「私たちの使命は、地方暮らしする人を増やすこと」

きら星BASE
もともと保育園だった建物をシェアオフィスにした「きら星BASE」。きら星株式会社のオフィスもここにある。

 さらにきら星では、かつての町の保育園を一部改装しシェアオフィスにする取り組みのほか、芝浦工業大学と共同でリゾートマンションをリノベーションし、ワーケーションや「お試し移住」の拠点にするプロジェクトも発表され、現在そのためのクラウドファンディングにも挑戦中(2020年7月31日で終了)。次々と新たな取り組みが生まれるきら星だが、自分たちの使命に対して、常に「筋が通っているか」を考えているのだと伊藤さんは話してくれた。

伊藤さん「私たちの使命は『地方暮らしする人を増やすこと』。この使命に向かって、筋道が通っているかどうかを大事にしています。日々思いつくことの中で、筋道が通っているものを素早く実行し、良ければ育て、悪ければ閉じる。失敗しても、失敗した分だけノウハウが貯まっていくので、迷っている暇があったらどんなに小さくてもいいのでやってしまいます。こういうスピード感と失敗を恐れずに取り組むプロセスは、湯沢だけでなく日本全国の地方に必要なことだと思っています」

 起業時の「全国の消滅可能性都市をなくしたい」という思いの通り、将来的には湯沢だけでなく、全国の移住促進に取り組みたいと考えている。そんな伊藤さんがこれから力を入れていきたいこととは。

伊藤さん「今後は空き家に関する事業に力を入れていきたいですね。越後湯沢はリゾートマンションというストックがたくさんありますが、地方は賃貸ですぐに住める物件が少ない。このことが、地方暮らしの阻害要因になっていると考えています。ですから今後は、すぐ住めて、クオリティの高い空き家を賃貸で提供する事業が必要だと思っています。地域の家守会社さんたちと連携できるのが一番良いですが、プレイヤーがいない場合は自社でやることも考えています」

「いつかは移住したい」と思っている人へ、実際に地域を肌で感じる体験を。

きら星_湯沢_山
360度山に囲まれているのも湯沢ならでは。澄んだ空気と青い空がどこまでも広がるのが気持ちいい。伊藤さん撮影。

 最後に伊藤さんは、少しでも移住をしたいという気持ちがある人は、ぜひ思い切って行動してみてほしい、と話してくれた。

伊藤さん「考えてばかりでは、なかなか自分らしい暮らしを探すこともできないと思います。『いつかは移住』と言って何年も動けていない人たちは、情報収集で止まってしまっていて、実際に体験までできていない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。まずはお試しからでも動いてみて、その地域が自分に合いそうかどうかなど、肌感で地域を感じることが大事だと思っています。あれこれ悩んでいるくらいなら、ぜひ思い切って飛び込んでみてください!」

ワンストップの移住サポートに取り組む、きら星株式会社。 

きら星
左から、移住者の門田さん、きら星スタッフの草間さん、樋口さん、伊藤さん。きら星には、実際の移住経験者や地元出身のスタッフが揃う。

 きら星株式会社では、移住に関するさまざまな相談ごとに対応している。そもそも移住するかどうかで迷っているという相談から、現地での仕事や住まい探し、さらには移住後のサポートまで、きら星が地域の窓口となり、移住者と伴走しながらワンストップでのサポートに取り組む。今年5月には、湯沢のリゾートマンションを活用した「お試し移住」をスタートさせるなど、移住促進の新たな取り組みにも注目が集まっている。

 「失敗してもノウハウになる。だからとにかくやってみる」と言っていた伊藤さんらしいアドバイス。あなたが言い続けてきた“いつか”は、もしかしたら“今”なのかもしれない。

きら星のTwitter

Miho Aizaki

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