石徹白洋品
2020.07.18 UP

地域の植物を使った草木染、藍染を行い、自然素材を生かした服作りに取り組む石徹白洋品店

SUSTAINABILITY

石徹白(いとしろ)洋品店について

石徹白洋品店は、岐阜県と福井県の県境に位置する奥美濃の小さな集落・石徹白にある小さな洋品店です。

石徹白洋品店

石徹白に伝わる野良着(たつけ)を復刻し、現代のライフスタイルにあったデザインで服を制作しています。地域の植物を使った草木染、藍染を行い、自然素材を生かした服作りに取り組んでいます。

草木染・藍染

そして、石徹白で継承されてきた民衣を学び、現代的な創造性を加え、次の世代に伝えていきたいと、日々ものづくりを続けています。

先日、石徹白集落の雰囲気、土地の美しさと、その自然の恵みから生まれ紡がれる衣服達の連なりを広く伝えるためにウェブサイトをリニューアルしました。

石徹白洋品店ウェブサイトはコチラ

奥美濃の小さな集落・石徹白

石徹白は、岐阜県の奥美濃のさらに奥、福井県との県境に位置する縄文からの集落です。富士山、立山と並び日本三名山に数えられる白山。石徹白はその周辺に広がる白山国立公園の南山麓に位置しています。

石徹白

平安時代から鎌倉時代にかけての白山信仰が盛んな時代には、「上り千人、下り千人、宿に千人」と言われるほど修験者の出入りで栄えた土地でした。近世(明治)まで神に仕える人が住む村としてどの藩にも属さず、年貢免除・名字帯刀が許され「中世的支配体制」が明治になるまで維持され独特の文化が形成されました。

石徹白

こんなところに人が住んできたのか、と思うような山深く、雪深い地域で、今でこそ車で訪れることができますが、昭和30年頃までは、険しい峠道を歩いて越えて、ようやくたどり着く秘境のような土地でした。

昭和30年ごろに撮影された写真。女性がたつけを穿いている。
昭和30年ごろに撮影された写真。女性がたつけを穿いている。
石徹白の心の拠りどころである白山中居神社。白山信仰の場として、神聖に祀られている。
- 石徹白の心の拠りどころである白山中居神社。白山信仰の場として、神聖に祀られている。
冬の石徹白は雪深い。すべてが白く染まり、洗われるような澄んだ空気に満たされる時期。
冬の石徹白は雪深い。すべてが白く染まり、洗われるような澄んだ空気に満たされる時期。

野良着(たつけ)について

石徹白には上下合わせて5つの直線裁断・直線縫いの服が受け継がれてきました。この民衣は、直線裁断・直線縫いで、いかに動きやすい服に仕立てるか、ということが考え尽くされています。直線で断つことによって、布の無駄がなく、つまり環境負荷を最小にできる。これはまさに、日本の人々が培ってきた和裁の「集大成」と言えるでしょう。

2012年5月、石徹白で生まれ育った当時80代のおばあちゃんたちから「たつけ」の作り方を教えていただいたのが始まりでした。

おばあちゃんたちは「最後にたつけを作ったのは、もう50年近くも前のこと。」と話しながらも、布の裁断方法や寸法まで記憶されていました。しかも、「和裁」の技術でできているので、すべて直線裁断で布が無駄になることが一切ありませんでした。

完成したものを穿いてみると、それまで感じたことのない着心地の良さや動きの良さ、そして、体が自由になることによって、心も解放される感覚を感じられます。

たつけ

たつけ

「たつけ」は農作業の時に誰もが穿くズボンとして、石徹白で作られてきました。お尻にゆとりがありますが、足裾が絞ってあるので、動きやすく、どんな作業にも最適な形です。
畑で育てた麻を手紡ぎ手織して作った貴重な生地を使って、少ない生地で動きやすいズボンを試行錯誤して生み出した全て直線裁断・直線縫いのズボンです。

はかま

はかま

「はかま」は、ゆったりとしたワイドパンツです。様々な体型の方にお使いいただけるよう、たっぷりとした生地で作っています。お出かけにも、リラックスウエアにも。かつては、合羽代わりにして着物の上から着物をたくしあげて穿いたズボンです。すべて四角形のパーツで作られています。

かるさん

かるさん

「かるさん」とは、たつけとはかまの間のような形です。石徹白のまつおばあちゃんの大切なズボンをお借りして復刻しました。たつけでは細くて動きにくいお年寄りや体型に特徴のある方が工夫を重ねて作り、日常着として使っていたと思われます。たつけの動きやすさと、はかまのゆったり感を両方実現したパンツです。

越前シャツ

越前シャツ

「越前シャツ」の特徴は布の取り都合で片側だけ剝いであること。そして、和服の延長なので、脇に三角形のマチがついていることです。越前シャツの設計はそのままに、たつけや現代の服と合わせやすいよう、和洋折衷のデザインに仕上げています。

さっくり

さっくり

「さっくり」は麻のクズワタとからむしの繊維を混ぜて、手紡ぎした太い糸で織られた織物のことです。私たちはこれで作られた服をベースにして「さっくり」という名前で服を作っています。写真は、おばあさんが自分で機織りをして仕立て、藍染で仕上げたもじり袖の上衣です。シャツやワンピースに応用し、すべて直線裁ちの布を縫い合わせて作ります。

石徹白洋品店が描いている未来

集合写真

vision 1:たつけを世界へ

和裁の集大成である「たつけ」をはじめとした直線裁断の服を、より広く、多くの人に伝えていきたい。アパレル業界は環境負荷の高い産業として名を連ねる現実があるが、それを解決しうる一つの道筋を示すことができるかもしれない。

vision 2:土から始まるものづくり

すべての始まりは土から。着るものもすべて土からできている。染めるための植物は畑や山から採取する。お蚕さんは桑の葉を食べて育ち、その繭からシルクの糸が生み出される。麻も、羊毛も、綿も、すべて土から賜る。

生産のプロセスが長く、私たちから遠く離れてしまった。それを少しでも取り戻していきたいと考えています。

石徹白洋品店で実践していること

  • お蚕さんを育て、糸をとる
  • 羊を飼い、糸を紡ぐ
  • 植物を採取・栽培し、染める
  • 藍を育て、藍染をする

vision 3:幸せに暮らし、働ける場を

幸せな暮らしとは…。幸せな仕事とは…。石徹白洋品店では常に自分たちに問い続け、実現したいと思っています。

石徹白洋品店がモデルとしているカンボジアのクメール伝統織物研究所では、カンボジアの伝統的な織物を作るために、森を作り、その森から染め材を採取し、お蚕さんを育て、シルクの糸をとっています。

その織物を作る人々はこの森に家を建て、一つの村がつくられています。森の恵みを生活の糧にしている彼らは季節のリズムに身を委ね、雨の日も晴れの日も自然の恵みに感謝をしてとても豊かに幸せに見えます。

自然に囲まれた石徹白においても豊かなこの環境を守り、あるいは新たに創りながらいかに幸せな仕事づくりをしていくかを模索し続けています。

石徹白洋品店ウェブサイトはこちら

ものづくりを体験できるworkshopも実施しています

地域の植物を使った藍染体験や、どこからでも参加できるオンライン講座なども不定期開催しています。開催は不定期になりますので、ご希望の方はウェブサイトからご確認下さい。

石徹白洋品店

〒501-5231
岐阜県郡上市白鳥町石徹白65-18
営業時間 : 10:00〜17:00

石徹白洋品店ウェブサイトはこちら

アクセス