「おうちで日本一周」に挑戦中のゆずさんに聞いた、“オンライン宿泊”の魅力とは。
2020.07.30 UP

「おうちで日本一周」に挑戦中のゆずさんに聞いた、“オンライン宿泊”の魅力とは。

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 新しい宿泊のかたちとして始まった“オンライン宿泊”。「オンラインで宿泊ってどういうこと?」「気になるけどまだ体験したことがない」まだまだそんなふうに思っている人も多いのでは。
 今回は、オンライン宿泊で日本一周にチャレンジしているゆずさんに、現在の活動や“オンライン宿泊”について、たっぷり話を聞かせてもらった。Withコロナ時代の新たな旅の方法である“オンライン宿泊”、その魅力やこれからの可能性を探る。

オンライン宿泊とは?

  オンライン宿泊は、主にゲストハウスを中心に実施されている宿泊方法のひとつ。Zoomなどのオンライン会議ツールを活用することで、現地に足を運ぶことなくオンライン上でチェックインし、ゲストハウスでの滞在を体験できる。チェックイン後に何をするのかは、宿によってさまざま。館内の案内や宿泊者同士での交流の時間が設けられることが多いが、中には事前に宿泊者の自宅へ荷物を送り、現地から届いた食材や特産品などの小包を開けながら進行するなど、独自のプログラムを用意しているところもある。そのほかにも、各宿のオーナーによって工夫の凝らされた企画が用意され、普段の宿泊とは一味違った滞在体験ができるのも楽しい。

オンライン宿泊
「おうちで日本一周」32か所目、香川県の「七宝屋」での様子。左上が、ゆずさん。

 ゲストハウスはもともと、オーナーや旅人同士の距離感が近く、滞在中の出会いや交流を楽しめる宿として人気がある。だからこそ“オンライン宿泊”もそういった交流の要素が強い。しかし、現地からお土産の品が届いたり、宿泊の翌朝には周辺観光地や町並みのイメージムービーが届き、宿から出かけて行く様子を演出してくれたりと、宿ごとにオンライン上で旅気分を味わえるよう工夫されている。

「おうちで日本一周」で、オンライン宿泊の可能性を発信する。

 ゆずさんは現在、全国のゲストハウスをオンラインで回りながら、日本一周を目指して活動している真っ最中。今年5月から始めた活動では、途中で海外ゲストハウスでの滞在も挟みつつ、47都道府県中40か所のゲストハウスを訪れた(7/27時点)。この活動の様子はTwitterやInstagramでのライブ配信や写真付きのレポートで投稿され、宿泊中の様子や各地のゲストハウスの魅力を発信している。

ゆずさん_プロフィール写真
「おうちで日本一周」に挑戦中のゆずさん。神奈川県内の大学に通う、大学3年生。活動開始と同時に始めたInstagramは、まもなくフォロワーが1000人を超える。

 そもそも「おうちで日本一周」を始めたのはなぜだったのだろうか?

ゆずさん「私はもともとゲストハウスが好きで、今年は全国のゲストハウスを回りたいなと思っていたんです。でも、コロナで外出自粛という状況になってしまって、私自身も旅ができないもどかしさを感じていましたし、同じように全国で旅を諦めている方がたくさんいらっしゃることをSNSで知りました。そして同時に、ゲストハウスを経営している友人から、ゲストハウスや旅行界隈の経営も厳しい状況にあることを聞いて、何か私にできることはないかなと思って始めたんです」

  初めは、宿が公式で実施しているオンライン宿泊に参加し、その様子をレポートしていたゆずさん。しかし、そもそも“オンライン宿泊”自体がまだ新しいかたちの宿泊方法であるため、実施していないゲストハウスも多い。すでに実施されているものに参加するだけでは、日本一周は困難だった。そこで現在は、オンライン宿泊をやっていないゲストハウスにも自らオファーし、オンライン上で泊まらせてもらっている。

ゆずさん「今はもう、ほとんど私からオファーをしています。オファーを始めた最初の頃は大変でした。ゼロからのスタートだったので、ひたすらオファーのメールを送ってもなかなか返事が返ってこなかったりして。でも、回を重ねていくにつれて、宿泊したお宿の方に『この県でご存じのお宿の方いらっしゃいますか?』と相談するようになって、今は知り合いの方を繋いでいただいています。それでさらに人との繋がりを感じられるようになりました」

 このようにゆずさんからのオファーを受けて、初めてオンライン宿泊をやってみたというゲストハウスも多い。そのようなゲストハウスでは、ゆずさんが「オンライン宿泊とは何か」ということをオーナーさんへ伝えながら、各宿のオリジナルを引き出せるように内容も工夫しているという。

ゆずさん「オンライン宿泊を実施していないお宿では、お宿の紹介やチェックインの再現など、オンライン宿泊として最低限のことだけ事前にお伝えして、その他のことはオーナーさんとお話ししながら決めていきます。たとえば『地元のこんな食材があるんだよ』とお聞きしたら、『じゃあそれを送ってみても楽しいですね』と提案することもありますし、私のInstagramの投稿を見ていただきながら『こういうこともできるね』などアイデアを出したりして、一緒に考えています」

 中には、ゆずさんのオンライン宿泊のあと、実際に期間限定でオンライン宿泊を始めたゲストハウスもあったそう。ゆずさんの活動は、ただ実施されているものに参加するだけでなく、“オンライン宿泊”自体を、これからの新しい宿泊方法としてゲストハウスへ広める活動でもあるようだ。

オンラインならではの魅力とは。

オンライン宿泊の様子
「おうちで日本一周」14か所目、「鎌倉ゲストハウス」にて。

 こうしてオンライン宿泊を重ねるゆずさんは、どんなところに魅力を感じているのだろうか。その魅力として以下の3つを挙げてくれたので、ゆずさんのコメントも交えながらひとつずつ紹介したい。

①宿のオーナーやスタッフの方と、より深く関わることができる。

 オンライン宿泊では、基本的に最初から最後まで、宿のオーナーやスタッフが付いて案内をしてくれる。チェックイン後の丁寧な館内ツアーでは、宿全体を隅々まで紹介してくれるし、ゲストハウスによっては、周辺の観光地や街の様子をオンラインで紹介しながら一緒に巡ってくれる宿もあるとか。もちろん、宿泊者同士の交流も、リアルなゲストハウス同様に生まれる。画面越しで宿や地域のことを案内しなければならないオンライン宿泊だからこそ、必然的に宿のオーナーやスタッフも含めて、そこに集まった人との時間をじっくり集中して楽しめるのも魅力のひとつだ。

オンライン宿泊_観光案内
「おうちで日本一周」2か所目、「ゲストハウス 神戸なでしこ屋」。チェックイン後、スタッフさんが神戸の街まで連れて行ってくれる。

②おもてなしの方法に、宿の個性が出るからおもしろい。

 まだまだ生まれたばかりの“オンライン宿泊”だからこそ、その方法はとても自由。宿泊者が現地に行くことができない中で、「いかに旅行気分を感じてもらうか」「どのように楽しんでもらうか」は各宿の工夫次第でもあり、そこにオンライン宿泊のおもしろさがある。

ゆずさん「普通に接客するとなると、会話の内容を変えるとか、そういうことになってくると思うんですけど、オンラインで行うことによってバラエティが広がるというか。おもてなしの仕方もどんどんバラバラになっていくなと感じています。普通だったら喋るだけのオーナーさんも、『じゃあ私は外に出てみよう』という人や、『私はひたすらお悩み相談聞くよ』という人など、いろんな方が出てくるので本当に面白いですね」

オンライン宿泊_お土産
「おうちで日本一周」30か所目「玉村屋」から届いた朝食セット。オンライン宿泊の翌日、心のこもった手紙と一緒に、実際に宿の朝食として出されているお米と梅肉のセットが届いた。

 たとえば、オンライン上で朝ヨガ体験ができたり、宿から届く朝食セットを調理して朝ごはんを食べたり。自由だからこそ、宿ごとにさまざまなやり方があり、そこにオーナー自身の性格や地域性が出る。そういった宿の個性の中に、人の想いや温もりを感じられるのも、オンライン宿泊ならではの魅力かもしれない。

③オンラインならではのハプニングが楽しい。

 オンライン宿泊中のカメラワークや通信トラブルなど、オンラインならではのトラブルも楽しい、とゆずさんは話す。だからこそ、ゆずさんの配信でも、そうしたトラブルが発生してもそのまま配信を続けている。思いがけないトラブルも話のネタにしつつ、楽しくありのままを配信することで、オンライン宿泊が気楽に楽しめるものであることを見せてくれているようでもある。

ゆずさん_配信中
自宅で、オンライン宿泊の配信中の様子。現在は撮影用の機材を使っているが、初めはアナログで試行錯誤しながらの撮影だったそう。

Miho Aizaki

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