「食べ物を捨てることは、命を殺すこと」。映画『もったいないキッチン』が教えてくれること
2020.07.31 UP

「食べ物を捨てることは、命を殺すこと」。映画『もったいないキッチン』が教えてくれること

SUSTAINABILITY

たとえば、あなたは普段、家の冷蔵庫の中身をすべて使い切っているだろうか? 
使いきれずに腐らせてしまった野菜や、賞味期限切れの食品たち。ついつい買いすぎてしまって、そのまま食べる機会を逃して消費期限を迎えてしまう、なんてこともあるのでは?
日本でも深刻な食品ロスの問題。家での食事が増えている今こそ、普段の食事や食べ物について、改めて考えてみよう。そうすれば、美味しく、ハッピーに、人生が変わるかも。

福島から鹿児島まで、1600kmのおいしい旅に出よう。

 今年8月8日(土)から全国で公開される、映画『もったいないキッチン』。日本全国を巡り、日本の食品ロスの現状やその解決方法を探りながら、各地で美味しい料理に出会うロードムービーだ。

もったいないキッチン_キッチンカー
©UNITED PEOPLE

 監督を務めるのは、食料救出人としても活動する、ダーヴィド・グロス。前作『0円キッチン』では、ヨーロッパ5カ国を旅しながら廃棄食材を美味しい料理に生まれ変わらせ、多くの人のお腹を満たしてきた彼が、今作では日本を舞台に、“食”に向き合う旅に出る。

 世界的に深刻な社会課題でもある“食品ロス”だが、この映画が纏うのは、決して眉間にシワを寄せるシリアスさではない。日本各地で出会う人びととの食事を通して、“食”というものが本来持っているはずの豊かさ、その本当の意味に気づかせてくれる、ハッピーと楽しさに満ちた作品だ。

“もったいない”の発祥、日本の食品ロスは世界トップクラス。

 今、世界では、全世界で生産される食料のおよそ3分の1が捨てられてしまっているという。その量は重さにして13億トンにもなる。一方、世界で飢餓に苦しむ人びとは8億人を超える。その捨てられてしまっている食料が、必要な人へ届くようにするにはどうしたら良いのだろうか?

もったいないキッチン_食品リサイクル
©UNITED PEOPLE

 こうした食品ロスの問題は、日本でも深刻だ。古くから“もったいない”という独自の考え方を持つ日本だが、食品ロスの量は世界トップクラス。国内の食品ロスは、年間643万トンと推計されており、これは国民一人あたり毎日おにぎり1個分が廃棄されていることになる。つまり、毎日1億2600万個のおにぎりに相当する量が廃棄されているのだ。また、年間643万トンのうち、その半分弱にあたる291万トンが、家庭から出される食品ロスだとされており、私たちが生活の中でできることも数多くありそうだ。

 食品廃棄は、出荷しても売れない規格外野菜や、コンビニやスーパーなどで販売期限が過ぎてしまった商品、そして一般家庭でも買いすぎて食べきれなかった食品が廃棄されるなど、さまざまな場所と理由で起こっている。しかし同時に、日本古来の“もったいない”という精神を体現するように、日本各地では“食”や“環境”、“社会”に向き合う人びとがいる。映画の中では、精進料理を目隠しで食べる体験や、ねぎ坊主まで丸ごと使って調理するフレンチシェフ、野山が食在庫のおばあちゃんとの出会いなど、さまざまな人や食事との出会いを通して、食品ロスはもちろん、食や環境への向き合い方を考えるヒントをくれる。

もったいないキッチン_精進料理
©UNITED PEOPLE

 これまで、さまざまな社会課題をテーマにした良質なドキュメンタリー映画を配給してきたユナイテッドピープル。この『もったいないキッチン』は、そんな彼らが初めてプロデュースし、制作にも関わった作品だ。ドキュメンタリー映画を約10年間配給してきて、なぜ今、映画の制作に至ったのか。その経緯や制作の様子、そして『もったいないキッチン』に込めた思いについて、プロデューサーの関根健次さんに話を訊いた。

Miho Aizaki

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