外出困難者の孤独を解消する、分身ロボット「OriHime」とは
OriHimeとは、株式会社オリィ研究所で開発された分身ロボットだ。ロボット本体にはカメラ・マイク・スピーカーが搭載されており、操作者(以下パイロット)はインターネットから遠隔で、ロボットの手足を動かしたり自分の言葉を発したりできる。
OriHimeを必要とするのは、入院患者や障害を抱える人、単身赴任者など様々だが、彼らに共通しているのは「行きたいところに行けない」「会いたい人に会えない」という課題を抱えていることだ。OriHimeは、この「行きたいところに行けない」「会いたい人に会えない」を解決するために生み出されたツールである。
現在では、身体的に不自由な人がOriHimeを使って外で仕事をしたり、会社から遠方に住む人がOriHimeでテレワーク会議に参加したり、様々なニーズに合わせて活用されている。
寝たきりでも働ける「DAWN AVATAR ROBOT CAFE」
2019年10月7日から10月23日、東京都大手町の3×3Lab futureで「DAWN AVATAR ROBOT CAFE」が開催された。「あらゆる人たちに、社会参加、仲間たちと働く自由を。」をテーマに掲げるこのイベントでは、障害や病気で外出困難な人達がロボットを活用してカフェの店員として働く。会場には小型の「OriHime」と大型の「OriHime-D」の2種類のロボットがあり、小型ロボットがお客様との接客をメインに担当し、大型ロボットが会場内を動き回りドリンクを運んでいた。
席に通されると、テーブル上に置かれたOriHimeが急に「はじめまして。お飲み物はいかがしますか」と話しかけてきて思わず驚く。オレンジジュースを注文すると、数分後にどこからともなくOriHime-Dがやってきて、器用にドリンクを掴みテーブルの上に置いてくれた。これらの操作もすべて、人間が遠隔で行っているらしい。ロボットがオーダーを受け、また別のロボットがドリンクを運んでくる。その近未来的な光景からは、どこか非現実的な印象を受けた。
私のテーブルを担当した10代の男性OriHimeパイロットは、数年前に交通事故に遭い、現在は首から下が動かず寝たきりだという。私は、「どうしてOriHimeのパイロットに応募したのか」、そして「今実際にカフェの店員として働いてみてどういった気持ちなのか」など話を聞いてみることにした。
photographs & text by HIYORI SATO
2019年10月7日~10月23日 「DAWN AVATAR ROBOT CAFE」`@東京都大手町3×3Lab future