多拠点生活3か条
2020.08.17 UP

連載 | 田舎と田舎の二拠点生活 | 33 夫が考える、スムーズな多拠点生活3か条。

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二拠点生活をしていて一番よく言われるのは、「旦那は文句言わんの? よく許すね」という疑問。しかし、夫は一度も嫌な顔をしたり、文句を言ったことがない。いつも快く見守ってくれている。そもそも「二拠点生活」を提案したのも夫だ。

周りが不思議に思うのは、私たち夫婦が「普通」ではないからに違いない。多くの夫婦は一つ屋根の下で過ごすもの。「多拠点生活」するにせよ、大抵「都会と田舎」であり、移動するのも「妻と子」ではなく「夫」のほうがはるかに多い。

そんな夫が、ある時多拠点生活希望者から相談を受けた際に、成否の鍵となる3か条を伝えたそう。この考えは、ほかの人からも参考になると好評なので書き綴る。

条件① 多拠点生活にかかる費用以上の収入を得る。

多拠点生活は何かと経費がいるもの。例えば、拠点ごとに賃貸契約をし、家賃・共益費・光熱費・水道代などを払い続けていたら、基礎金額だけで膨大になる。このような諸経費を、収入が補えるかが第一関門。ちなみに、私たち夫婦の場合は、持ち家と実家の二拠点生活であることなど経費が比較的少ないうえに、私のクライアントのほとんどが、婚前から続く香川県・小豆島の人。二拠点生活をしていたほうが、家庭に残る資金が増えるから負担に感じない。

条件② 依存しすぎない。

「俺の飯は? 洗濯物は?」など、家事を妻に依存する家庭は向かない。幸い私の夫は柔軟な性格の人で、「独身みたいな生活も結婚生活も、両方楽しめる」と喜んでいる。なお、私としても、「独身みたいな生活」を夫が楽しんでいるとホッとする。家に幼い子がいると、大変な面も多いから。また、夫も私の独身時代から続く仕事を応援してくれている。依存ではなく、相手を尊重しているから続いていると実感している。

条件③ 周りの理解がある。

もし、お義父さんが「家を留守にするなんて許さん! 息子の飯は毎日必ず作れ」というような人だったり、夫の友人や隣人が批判し続けていたら精神的に折れる。幸い私たちの場合は、家族も友人も大賛成。隣人も気持ちよく笑顔で見守ってくれているので、気兼ねなく続けられる。

夫が考え抜いた3か条は、客観性があるから出せた条件であり、私も納得する。

今の私は、3か条をクリアしているので問題なく二拠点生活をしているが、娘の成長次第でどうなることやら。今はまだ1歳11か月で何の抵抗もないが、物心がつき、行き来することを頑固拒否したら、幡豆に居させるほかない。「小学校」の壁もある。つまり、「条件3」のハードルがになる。尊重しながら柔軟に対応しないと。

ある日の夫婦

新型コロナウィルスによる騒動をきっかけに、住む場所や仕事の仕方について見直す人が増えていることから、多拠点生活について考察するライブ配信を 5月27日に行った。話し手は『ソトコト』編集部員と夫と私の3人。実際に行き来している私の話以上に、客観的に向き合う『ソトコト』編集部員や夫の話、視聴者からの情報こそためになる情報で、感謝する時間になった。

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。