富山に民藝を根付かせ・育てた木工家で建築家・安川慶一を紹介する展覧会を8月より開催。
2020.08.14 UP

富山に民藝を根付かせ・育てた木工家で建築家・安川慶一を紹介する展覧会を8月より開催。

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無名で偉大な「美」の求道者で、生涯を「民藝運動」に捧げた富山の木工家で建築家・安川慶一の紹介だけでなく、濱田庄司、島岡達三、小鹿田焼など70年前の貴重な安川コレクションも特別販売。

一般社団法人 富山県西部観光社 水と匠とD&DEPARTMENT TOYAMAは、生涯を通して「民藝運動」に身を投じ、富山に民藝を根付かせ・育てた木工家・建築家の安川慶一(やすかわけいいち)を紹介する展覧会「安川慶一の仕事展」をD&DEPARTMENT TOYAMA GALLERYにて10月25日まで開催しています。

「卓」安川慶一作
「卓」安川慶一作

安川の仕事の範囲は県内にとどまらず、日本民藝館常任理事、松本民芸家具の製作指導・相談役、日本陶芸展審査員などを歴任し、多くの功績を遺しました。しかしながら、その名は決して広く知られているとは言えません。安川はその仕事において、長く続く「物」は遺しても、作家としての作品や仕事の記録資料など「名声」につながるものはほとんど遺すことがなかったからです。

「民藝運動」は、柳宗悦・河井寬次郎・濱田庄司らによって大正15年(1926年)に提唱された生活文化運動です。「民藝」とは、民衆的工芸品の略。柳は、意図的に美を追求した作品よりも、むしろ無名の職人によって産み出された生活用具に「自由で健康な美」が宿る例が多いことを発見し、現在でも様々なシーンで注目され続けています。戦中・戦後の激動の時代にあって、ただ健やかな「美」のある暮らしに道を求め続けた安川は、まさに生きる民藝でした。

柳宗悦が、その思想の集大成である『美の法門』を書き上げたことで知られる富山県南砺市の城端別院善徳寺。そこには、空間自体が民藝を体現するような「研修道場」があり、もとは詰所だった建物を改修設計したのが、安川慶一です。「水と匠」では、およそ半世紀の時を経て、その建物をこれからの「美しい暮らしの道場」へと改修することを計画しています。それに先立ち、民藝運動の興隆に大きな役割を果たした安川の仕事を広く紹介すべく本展を企画しました。

展示風景より
展示風景より

展覧会で紹介する安川の業績

1.「つくる」

作り手としての安川の仕事を木工作品、製作指導を行った松本民芸家具、城端別院善徳寺内の研修道場はじめ、設計や改修を手がけた建築物を紹介します。

安川製作のライティングビューローなど
安川製作のライティングビューローなど

2.「みる」

柳宗悦も高い信頼を寄せていた審美眼の持ち主として有名だった安川の国内外の蒐集品の一部を展示。

李朝の「おろし器」など安川の蒐集品
李朝の「おろし器」など安川の蒐集品

3.「つなぐ」

「美しいものを伴侶とする暮らし」の豊かさを多くの人に伝えようと、安川は国内外を奔走して民藝品を買い付け、民藝作家に制作を依頼し、販売会を開いていました。本展のリサーチを機に、北陸銀行に眠っていた、安川が関わってその所蔵品となったと考えられる多くの民藝品が発見されました。安川の生前の姿勢に学び、この貴重な品々をご来場のお客様の暮らしの中で使っていただきたく、特別販売を行います(※売上金の一部は、城端別院善徳寺 研修道場の改修費用に充てられます)。

安川ゆかりの民藝コレクションの展示販売
安川ゆかりの民藝コレクションの展示販売

柳や安川が時を超えて私たちに教えてくれていること。それは、時代や世相に左右されず健やかで豊かな暮らしを送るには、民藝品をはじめとする美しいものに普段の生活の中で触れ親しむことが大切だということです。現代の「私たちの美しい暮らし」についても考える機会となれば幸いです。

棟方志功が安川に贈った絵画作品
棟方志功が安川に贈った絵画作品

安川慶一の仕事展

出品作家・作品:安川慶一木工作品、松本民芸家具、棟方志功、芹沢銈介、他
展示・販売  :安川慶一、濱田庄司、島岡達三、舩木道忠、藤井佐知、小鹿田焼、苗代川焼、他
日時     :2020/8/6(木)~2020/10/25(日)
        11:00-19:00(定休日:毎週月・火曜日)
会場     :D&DEPARTMENT TOYAMA GALLERY
        (富山県富山市新総曲輪4-18 富山県民会館1F)
主催     :D&DEPARTMENT TOYAMA
        一般社団法人 富山県西部観光社 水と匠
キュレーション:有限会社エピファニーワークス
特別協力   :城端別院善徳寺、となみ民藝協会、富山民藝協会、北陸銀行、富山市民芸館、安川家、中田佳男、尾久拓二、尾久彰三、みずはし工芸館
協力     :STRIDE、ハマ企画株式会社、株式会社山田写真製版所

安川慶一の仕事展

関連イベント「d SCHOOL わかりやすい民藝 -安川慶一の仕事-」

会期中に3回の関連イベントを開催予定。第一弾は、当団体のプロデューサーで、展覧会の企画を手がけた林口砂里と、太田浩史氏(大福寺住職、日本民藝協会常任理事・となみ民藝協会会長)が、安川氏の仕事や功績、魅力や当時の「民藝運動」の本質についてお話します。

開催日時:2020年8月21日(金)19:00~20:30
場所  :D&DEPARTMENT TOYAMA
参加費 :現地参加 ¥2,000(税込・1drink付)/オンライン参加 ¥1,500(税込)

詳細はD&DEPARTMENTのページへ

美しい暮らしの道場の再建

城端別院善徳寺「研修道場」改修プロジェクト

民藝運動の創始者・柳宗悦が70日間逗留し、その思想の集大成「美の法門」を書き上げた民藝の聖地「城端別院善徳寺」内に、安川慶一が改修設計をした「研修道場」があります。

城端別院善徳寺内「研修道場」外観
城端別院善徳寺内「研修道場」外観

当団体ではこの建物を、講堂・ライブラリー・展示・カフェ・ショップ・宿泊など多様な機能を持つ、これからの「健やかで美しい暮らし」について考え・学び、実践する道場へと改修することを計画しています。

城端別院善徳寺内「研修道場」内部
城端別院善徳寺内「研修道場」内部

本展覧会会期中にも、研修道場への見学ツアーなども行い、この建物を未来にどう活かしていくかを多くの方と共に考えていく機会にしたいと思います。

問い合わせ先:一般社団法人 富山県西部観光社 水と匠