リモートラーニングコミュニティ(全国)
2020.08.20 UP

連載 | ソーシャル系大学案内 | 49 リモートラーニングコミュニティ(全国)

LOCAL

ソーシャルでエシカルな関心をもつ人を惹きつける、街の中に広がる学びの場「ソーシャル系大学」。新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の対象地域となった都市では、集まらない学び方の工夫が重ねられている。
学びがリアルな場からオンラインの場へと移行するとき、いったい何がもっとも重要になるのだろう。今回は、ソーシャル系大学のゆるやかなつながりを活用し、いち早くリモートでの場づくりに踏み出した「リモートラーニングコミュニティ」というオンラインコミュニティを取り上げる。

緊急事態の下で暮らす大人と子どもの、日常のリズムを整える場。

 「リモートラーニングコミュニティ」(「リモラン」)は、2020年2月27日、政府による全国一斉休校要請の直後に発足したオンライン上のコミュニティである。学校や市民の学びの場にICTを導入することに関心をもつグループが、突然降って湧いたような休校期間を親子で乗り切るために何かできないかと話し合い、あっという間にFacebook上で結成された。仕掛け人のひとりで、以前から教育現場へのICTの導入を支援してきた『Link and Create』代表の福島毅さんによると、Zoomのアカウントがひとつあれば、朝夕に人々が集まり、不安な日々のなかにあっても日常のリズムをつくり出すことができるのではないかと思いついたことが発端だったという。

学校

 千葉県柏市の『柏まちなかカレッジ』のスタッフとして10年間、市民の自由な学びの場を運営してきた福島さんは、まずは場をつくりたいと考えたという。学校の代わりに学習コンテンツを届けたり、講座を提供するのではなく、家族以外の人と雑談したり、気が向かない日は放っておいてもらえる場が必要になると分かっていたからである。

林

 実際に、「リモラン」の活動の基本は、朝と晩の8時30分からZoom上で開催される朝会と夜会である。親子で参加してもいいし、毎日参加しなくてもいいし、ビデオカメラを停止して音だけ聞いていてもいい。気が向いたらそのまま残っておしゃべりを続ける日もある。そのようなかたちで、人が来ても来なくても、いつもそこにある場として、「リモラン」は、2月から7月の現在に至るまで、毎朝毎晩、ゆるやかな会を続けてきた。

学校

 朝会と夜会からはいくつもの企画が誕生した。Zoomの機能や白板ソフトを使ってみる実技系コンテンツや、親子でお絵描きをする会、発達障害について考える会、読書会、「POPSで英語」といったプログラムが続いている。気軽に何かを始められるのも、オンラインのよいところである。

ZOOM

 確かに、リアルな場で集まっていた人たちがオンラインの場に移行することは、大人であればさほど難しくはない。けれども大人も子どもも集まる場を実現するには、定時に継続されていることが重要だという。気が向いたらいつでも誰かがそこにいるということ。行く場所があると思うだけで、窮屈な思いが和らぐことがある。外出が制限される期間だからこそ、ゆるやかなつながりはより一層求められている。

リモートラーニングコミュニティ Facebook:www.facebook.com/groups/505363333350350

写真・文●坂口 緑

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坂口 緑

さかぐち・みどり
明治学院大学社会学部教授。2000年、東京大学大学院博士課程単位取得退学。研究領域は生涯学習論。共著に『ポストリベラリズム』、共訳書にアーリー・ラッセル・ホックシールド『タイム・バインド』など。