宮本常一はマイクロツーリズムの救世主となるか?
2020.09.01 UP

宮本常一はマイクロツーリズムの救世主となるか?

SUSTAINABILITY

コロナ禍で大きな変化を余儀なくされている観光業界。この頃は近隣地域を観光する「マイクロツーリズム」が推奨されているが、改めて、観光のあり方や地域らしさとは何かが問われている。ITを使ったリモート観光の挑戦など、新しい時代のエンタメが創造される期待も高まっている一方、改めて、人の心に響く地域の魅力を見出し、それを育てていく必要に迫られている。そこで、宮本民俗学が地域発見のヒントを与えてくれるかもしれないと考え、10代の彼が故郷の周防大島を離れる際に父に送られたという10の言葉を紹介したい。宮本が残した記録の根底には、この言葉の精神が流れているように感じられる。

徹底的に歩いた百姓生まれの民俗学者

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宮本常一(1907〜81)は、「歩く 見る 聞く」をモットーに日本の隅々を歩き、民衆の生活文化を記録した民俗学者である。時代は高度経済成長期。日本の土地の潜在的な可能性を探り出すのに、山口県の周防大島で百姓の子として生まれた彼の力を国は必要としていたのかもしれない。宮本は日本全国、津々浦々の地域を徹底的に調査してまわり、膨大な記録を残した。それだけでなく、土地の人の生活が豊かになる方法を探り、指導を行った。戦後日本の街と生活様式がめまぐるしく変わってゆく中で、彼の資料は、今や見ることができない原風景を永遠に留めている。ちなみに、日本に観光ブームが到来した頃、日本観光文化研究所を設立した彼は、観光のあり方についても数多くの発言を残している。

文・写真:青木紀子

『民俗学の旅』宮本常一著(講談社)

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