民族共生象徴空間「ウポポイ」入口。
2020.09.11 UP

アイヌ文化を守り、未来へ伝える。民族共生象徴空間「ウポポイ」がオープンしました。

DIVERSITY

2020年7月、北海道白老町に民族共生象徴空間の「ウポポイ」がオープンしました。北海道の先住民族アイヌの歴史を伝えるナショナルセンターとして、ウポポイではアイヌの言語や文化、宗教観などを学べます。
自然とともに共生してきたアイヌとは、いったいどういった民族なのか。
日本では馴染みのない「民族」という存在を、今一度ウポポイでじっくりと考えてみませんか?

民族共生象徴空間「ウポポイ」とは。

2020年7月、アイヌ文化の復興と発展を願うナショナルセンターの民族共生象徴空間「ウポポイ」がオープンしました。北海道白老町の自然豊かなポロト湖沿いに位置し、開業当初から多くのメディアに取り上げられています。「ウポポイ」とは「おおぜいで歌うこと」を意味するアイヌ語で、その名前のとおりウポポイでおこなわれるショーのなかには、アイヌの音楽に合わせてみんなで歌うプログラムが少なくありません。ウポポイ敷地内には、アイヌがテーマの博物館のなかでは日本初となる「国立アイヌ民族博物館」や、アイヌの文化を肌で感じられる「国立民族共生公園」、そしてアイヌの人々の遺骨を管理する「慰霊施設」などがあります。

ウポポイへ入口前の看板
ウポポイ入口前の看板

今回ウポポイがつくられた背景には、アイヌ民族が抱えるいくつかの危機が関係しています。特にアイヌ文化を未来へ伝える伝承者の減少は、アイヌの抱える問題のなかでも大きなものだといえるでしょう。アイヌの歴史を次世代に伝えられる人が減りつつあることで、アイヌ文化そのものが途絶えてしまうのではないかという懸念が高まっているのです。
そのほかにも、アイヌ文化の認知度が年々下がっていることも問題の1つとして取り上げられています。アイヌは北海道の先住民族でありながら、北海道民、特に若い世代でアイヌについての正しい知識を持っている方はあまり多くありません。こういった背景から、世間にアイヌ文化についての理解を深めてもらおうという目的のもとウポポイの開業が決まりました。

ウポポイ内部の様子をご紹介。自然とともに生きるアイヌ民族とは。

ウポポイが位置するのは、札幌市から車で約1時間の距離にある白老という小さな町です。もともと白老町は北海道のなかでもアイヌの人々が多い町として知られており、ウポポイが完成するまではアイヌ民族博物館を53年間にわたって運営してきた歴史があります。「アイヌ文化の振興は町づくりの1つである」という考えのもと、これまで運営していたアイヌ民族博物館を閉館し、新たにウポポイ内で「国立アイヌ民族博物館」の運営を始めました。

ウポポイのエントランス
ウポポイのエントランス。フードコートやカフェなどもこのエリアにある。

ウポポイに到着したら、まずはエントランスでチケットを購入します。通常であれば予約無しで入場できますが、現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で事前予約が必須です。当日予約が取れないほど混雑することはめったにありませんが、訪れる場合はあらかじめWeb上で予約しておくようにしましょう。

国立民族共生公園
ポロト湖沿いの自然のなかに位置する国立民族共生公園。

チケットを購入して入場すると、まず目に入るのが広大な敷地です。ウポポイでは、敷地全体を「国立民族共生公園」と呼んでおり、来訪者は公園内の体験交流ホールや体験学習館、工房などを自由に見て回れます。それぞれの施設は、「大きな沼」を意味するポロト湖沿いに建てられているのが特徴です。このポロト湖周辺には、以前まではアイヌの集落があったことから、今でもたびたび「アイヌの聖地」と呼ばれているようです。

国立アイヌ民族博物館
国立アイヌ民族博物館。

入場してすぐの場所にある国立アイヌ民族博物館は、「ことば」「世界」「くらし」「歴史」「しごと」「交流」の6つのテーマに分かれており、それぞれの視点からアイヌ文化が紹介されています。ウポポイに訪れたら、確実に訪れておきたい目玉スポットの1つでしょう。アイヌ民族が狩りで使う道具や、料理に使う調理器具、実際に作られた工芸品などが展示され、アイヌの生活だけでなく北海道の歴史に対する理解も深められます。基本展示室のほかには、アイヌ文化の研究・調査についての発表が展示される特別展示室、シアターやミュージアムショップ、ライブラリなどが運営中です。

文:Hiyori Sato
撮影:Hiyori Sato

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