子ども達の笑顔が地域の未来をつくる。岡山のママプランニングチーム「村上デザイン写真部」の取り組み
2020.09.19 UP

子ども達の笑顔が地域の未来をつくる。岡山のママプランニングチーム「村上デザイン写真部」の取り組み

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映画のワンシーンで主人公が笑った瞬間を切り取ったかのような写真。岡山県で活動する「村上デザイン写真部」が撮影した1枚だ。ロケーションは海外でもテーマパークでもない、岡山のとある公園。自然いっぱいの場所で行われる撮影イベントが人気で、参加希望者が多く抽選になることも珍しくないという。「仕上がった写真だけでなく、子どもたちや親御さんに、撮影会そのものを『コト』として楽しんでもらいたい」と話すカメラマンでデザイナーの村上郁江さん。撮影会のみならず、企業とのコラボイベントなども手がけ岡山を盛り上げる「村上デザイン写真部」の活動を取材した。

日常にあるストーリーを切り取る写真

岡山市と倉敷市を中心に活動する「村上デザイン写真部」は、カメラマンでデザイナーの村上郁江さん、運営スタッフの内田彩乃さん、岡聡美さんらによるプランニングチームだ。全員、乳幼児から小学生までの子どもを育てる母でもある。

“物語の主人公になろう”というコンセプトのもと、村上デザイン写真部で撮影された家族や子ども達の笑顔は、どれも自然でイキイキとしている。機嫌がコロコロ変わる子どもや表情が硬くなりがちな大人も、かしこまらずナチュラルな表情が出ているのは、被写体を主人公にした“ストーリー”を切り取っているからだ。自然あふれる岡山の公園などをロケーションに、撮影する家族から聞いたエピソードに着想を得て手作りでセットや小物を準備。たとえば下の写真は、漢字に“花”を使って名付けられた女の子が主役なので、たくさんの花で囲まれたシーンを演出。「朝ごはんは必ず家族みんなで食べることがルール」という家族は、朝食を囲む風景が写されている。

花いっぱいの写真
“花”という字を使って名付けられた女の子の写真。たくさんの花に囲まれて笑う姿に、こちらまで笑顔になれそう。(c)村上デザイン写真部

「全然特別なことじゃなくても、当たり前のことにこそ物語があると思うんです」と村上さんは言う。たとえば一般の人がスマートフォンで撮影する際にも、被写体をそのままとらえるのではなく、背景にあるストーリーを思い描いて撮ると、面白い1枚が撮れるという。

「今ってスマホの機能やアプリのおかげで、いわゆる“映える写真“みたいなのは結構撮れますよね。でも、本当に好きな地元の場所や人の写真は、物語を想像しながら撮ってみると、ストーリーのある写真が撮れると思います。工場で働く職人さんの手が汚れていたらそのままでも良いし、寝転んで空を撮ろうとした時に自分の足が入っちゃっても良いんです」。

村上郁江さん
「村上デザイン写真部」村上郁江さん。カメラマン・デザイナーのほか、装飾、プランニングなど仕事は多岐にわたる。(c)村上デザイン写真部

 

親も子も心から楽しめる“体験”を提供したい

村上デザイン写真部では、そんな“ストーリー”のある写真を撮るイベント「ストーリーフォトの会」を、秋はハロウィン、春は桃の節句など、季節の行事などに合わせて不定期で開催。今や参加は抽選になるほどの人気企画に。岡山各地のロケーションや室内などでの撮影に加え、時には子どもの足型を取ったり、わらべ歌や絵本の読み聞かせなど、親子で楽しめるワークショップがプラスされるイベントもあり、親同士、子ども同士の交流も生まれている。

ストーリーフォト:ハロウィン
「ストーリーフォトの会」ハロウィン撮影会での1枚。(c)村上デザイン写真部

「ストーリーフォトの会」と名を冠したイベントとしてスタートしたのは2017年だが、きっかけはさらにその数年前に遡る。
「最初は自分の子どもの写真を撮っていて、もともと店舗設計や装飾などの仕事をしていたのもあったので、背景とか小物とかにもこだわって世界観を作って撮影してたんですね。それでSNSなどで見た人たちから撮影依頼が来るようになって、最初は1人で依頼を受けていたんです。その後、内田と岡を誘ったことで、もっと自分たちの強みを生かした活動をしたいと思うようになり『ストーリーフォトの会』を始めました」。

内田さん
運営スタッフの内田彩乃さん。朗らかな笑顔が魅力で子ども達もすぐに打ち解ける。(c)村上デザイン写真部
岡さん
運営スタッフの岡聡美さん。子ども達はもちろん、受付や待ち時間に参加者の親とも和やかに接しながら、コミュニケーションを深める。(c)村上デザイン写真部

子どもに笑顔を作ってもらうのではなく“楽しんでいる姿”をそのまま撮るために、撮影そのものを親子で楽しめる体験の時間にしたい。その点、内田さんと岡さんは親子を楽しませるプロだ。
「内田と岡は元保育士なので、小物作りを手伝ってもらったり、撮影時に同行して子どもたちを楽しませてもらったり。撮影と合わせて親子で楽しめるイベントを企画するようにもなりました」。

ちいさなおたんじょうび会
「ストーリーフォトの会 ちいさなおたんじょうび会」。誕生日会をコンセプトに同じ月生まれの子と親が集まり、セットでの撮影はもちろん、足型とりや読み聞かせ、ゲームなどのイベントを楽しみながら交流する。(c)村上デザイン写真部

現在は参加予約が開始するとすぐに満席になることも多いが、スタート当初は参加者が集まらず、2〜3組ということもあったそう。
「私も生まれたばかりの下の子をおんぶして撮影したりしてましたね。大変だったけど、すごい楽しかったんですよ。そもそも我が子のために始めたことなんだけど、母である自分が楽しんでる。これってすごく大事なことだなと。親が楽しくイキイキとしていれば、その雰囲気が子どもにも伝わると思うんです。私の子どもにはもちろんですが、うちの撮影会やイベントに参加してくれる地域の子ども達にもそういう体験を重ねて、人を楽しませたい・喜ばせたいと思える大人に育ってほしいです」。

写真:村上デザイン写真部
文:西紀子

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