コロナにより人々の価値観は変わり、デジタルシフトが加速した。
2020.09.10 UP

連載 | DIGITABLE LIFE〜ニューノーマル時代の生き方〜 | 3 コロナにより人々の価値観は変わり、デジタルシフトが加速した。

DIVERSITY

DIGITABLE LIFE〜ニューノーマル時代の生き方〜 ソトコトオンラインとMADUROオンラインの隔週クロス連載。毎月10日にソトコトオンライン、25日にMADUROオンラインで更新し、Forbesオンラインでもこの連載が読めます。
コロナウィルスの感染拡大は、私たちの生活を変え、経済・社会にも大きな影響を与えています。私たちは「新しい日常」を模索し続け、リモートワークやワーケーション、ネットショッピングの利用など、デジタルを活用することを一つの解決策として生活に取り入れ始めています。第3回目である今回は、コロナがデジタルシフトを加速している現状を解説していきます。

コロナが新しい価値観に変えていく 

 2020年に入り、私たちが予期しなかったコロナウィルスの感染が世界中で広がりました。日本においても3月から流行が始まり、政府が緊急事態宣言を出し収まったかに思えましたが、7月に入り再び感染が拡大し、収束は見えない状況が続きました。今後も当面は拡大・収束を繰り返していくと予想されます。コロナは私たちの生活を一変させました。感染防止のために、私たちは自らの行動に制限をかけ、移動を控え、なるべく人と接触をしない生活を心掛けるようになりました。外食業界、旅行業界などは、その影響をダイレクトに受けることとなり、人々は不安から消費を抑えるようになってきています。このような現状に、人々はコロナと共存していかなければいけないと覚悟し、コロナとの共存を「ウィズコロナ」と呼び、人々は新しい生活様式、企業は新しい事業展開を模索しはじめています。やがて、ワクチンや治療薬も開発されると思いますが、ある程度の時間を要することになると予測されます。今後、人々は様々な「新しい日常」を経験し、価値観は少なからず変化し、国内外の経済・社会のビジネスモデル、産業構造も変化していくことでしょう。 

ウィズコロナ

デジタルシフトが加速された 

 コロナにより、今まで当たり前に移動をして、自由に人と会うことができていた生活が一変しました。会社や学校、大人数での飲食や旅行も自粛せざる得ない日々が続きました。しかし、経済を止めることはできません。誰しも生活していかなければならないからです。企業は何とか事業を継続しようと、人々はデジタルを積極的に活用しはじめました。従業員にリモートワークを推奨し、多くの人が在宅勤務の模索を始めました。現段階においては、うまくデジタルを使いこなし生産性をあげている企業も、逆に環境が整わず混乱が続いている企業も混在している状態です。人の接触が避けられるようになり打撃を受けた外食業は、明暗が分かれており、デジタルを活用してテイクアウトやデリバリーを増やそうと努力を続けて売上を伸ばしている企業がある反面、「いつかは戻るだろう」と神風が吹くのを待ち行き詰まりつつある企業もあります。ここまでダイレクトに影響を受けている業種も多くはないかもしれませんが、いずれにしても、多くの企業でデジタルシフトを模索する取組みが始まっています。私たちの会社はデジタルシフトをご支援していますが、最近はご相談いただく企業が急激に増えたことでも実感しています。コロナ以前からデジタルシフトは進みだしていましたが、コロナの影響により、そのスピードは10年かかるところを、1,2年で実現する勢いで加速してきています。将来、「コロナがデジタルシフトを加速させた」と振り返る日がくることは間違いがないと思います。 

デジタルシフト

人とのリアルな交流の価値が高まった 

 コロナの影響で分かったことは、デジタルシフトが必要だということだけではありません。「リアルの交流は大切で貴重なものであった」ということに気づかされました。今まで当たり前に感じていた「人とのリアルな交流」は当たり前では無かったのです。やはり、実際に人に会って話をした方が、微妙な表情、空気感が伝わり、お互いの理解が深まります。デジタルシフトがいくら進んでもリアルの交流は決してなくなることはありません。ある音楽プロダクションの経営者が「これからライブはネット配信が主流になるだろう。しかし、同時にソーシャルディスタンスを確保した上でのリアルライブは例え価格が10倍になっても集まると思う」と話されていました。この言葉にあるように、今後は、ネットでの交流が広がり主流となったとしても、同時にリアルな交流はより貴重で、より求められるものになっていくことでしょう。これからはデジタルを積極的に活用すると、貴重なリアル交流の在り方も見直されてくると思います。今後は、リアルとネットをうまく融合したハイブリッドな交流を企業も個人も模索していくこととなるでしょう。 

交流

リアルとネットの融合が始まる 

 これからは、人のリアルな交流を前提としていたライフスタイルは変化していくでしょう。しかし、すべてがデジタル化されるわけではなく、同時にリアルの貴重さも増し、リアルとネットが適正に融合したハイブリッドな形を模索していくことになるでしょう。リアルとネットがうまく融合したハイブリッドな交流は、どのように実現することが出来るのでしょうか。私は、今一度、今まで当たり前だった「リアルな交流」を見直すと良いと思っています。本当に人に会わなければできないことは何なのかを明確にして、優先度の低いものから「ネットの交流」へと切り替えていくと良いと思います。しかし、その線引きは、画一的なものではなく、相手によっても、同じ相手でも状況によって変わる形を目指していくことが必要になってきます。具体的には、選択肢を増やし、選択肢を組み合わせるという柔軟な対応が求められてくると思います。画一的なサービス提供形態から、利用者が選択することができるサービス形態への転換です。例えば、外食業ならば、店内飲食を好む人もいれば、テイクアウトを好む人も、デリバリーを好む人もいます。これらを個人が、個人の状況に合わせて、自由に選択できるような工夫をすることです。今後、企業は、リアルとネットの融合への対応を求められるようになり、これらの変化に柔軟に対応する企業は成長のチャンスを広げてゆき、逆に、これらの変化に柔軟に対応できない企業は、衰退の恐れがでてくるでしょう。個人においても、私たち個人の日常は大きく変わる中、柔軟に対応できる人と対応できない人で明暗がわかれてくるでしょう。そして、企業や個人の変化にともない、産業構造も大きく変化していくことでしょう。 

次回は、新たな日常による産業構造の変化につき解説していきます。
(前回連載はmaduroオンラインのこちらへ)。

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鈴木 康弘

すずき・やすひろ
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員も兼任。