普段着の自分でいる。ケアする服をつくる。
2020.09.22 UP

普段着の自分でいる。ケアする服をつくる。

SUSTAINABILITY

門司港のアトリエを訪ねる

台風一過で秋めいた空の高さを感じる昼下がり。北九州市・門司港の海岸沿いに新しくオープンしたアトリエを訪ねた。ミシンを扱う彼女の隣りで、門司港在住の絵描き、黒田征太郎さんがちょうど絵を描いているところだった。
川崎市生まれの服飾デザイナー、山本千聖(やまもと・ちさと)さん。彼女と出会ったのは、黒田さんの旧アトリエでの作品整理の現場だった。山本さんは当時、福岡県・広川町での地域おこし協力隊の任期を終えた直後で、約半年に渡る作業をしながら、いろいろと話をする機会に恵まれた。

「服」と「庭」の共通点

彼女との会話から薄々と感じていたのは、「ファッション=服」ではないこと。例えば、服と庭は似ている、という印象的な話があった。服は肌に直接触れている点では違うけれど、いずれも視界に入ってその人を癒すもの。と同時に、その人の”纏うもの”が現れもする。しっかり手入れした庭、自然に委ねた雑木の庭……個々の人間らしさが滲み出る装いは、多様性があるのが自然。全てを受け入れたいと話す。

自分を守ってくれた服

子どもの頃の夢を聞いてみると、驚くことに、小学生の頃から一度も変わっていないという。ファッション好きの姉の影響で、小さい頃から服を見るのも着るのも考えるのも好きだった。口下手だった彼女にとって、服は言葉代わりのようなもの。引っ込み思案だけれど「オシャレだね」とよく言われた。服を着ることで自分を保っていられたという。

0

文:青木紀子
写真:ヤマモトハンナ

  • 1/5