100%土に還る服づくりで、世界を変える。「tennen」が目指す、究極の循環型社会とは
2020.09.27 UP

100%土に還る服づくりで、世界を変える。「tennen」が目指す、究極の循環型社会とは

SUSTAINABILITY

柔らかく温かみのある素材に、無駄のないシンプルなデザイン。時代や年齢、性別を超えて、いつまでも着続けられる衣服が揃う《tennen》の服は、すべて自然分解できる天然素材で作られている。しかしそれは決して容易なことではない。服づくりから世界を変える、《tennen》の挑戦。何気ない普段の服選びから、世界は変えられるかも。

世界で第2位の汚染産業といわれる、ファッション業界。

 普段の生活の中で、何気なく買い替えている洋服。季節や気分にあわせて服を買い替えることは、私たちの生活の中ではごく当たり前のことになっている。服がほしいと思えばいつでも購入できる便利さの一方で、実はファッション業界は世界第2位の汚染産業と言われているのをご存じだろうか。たとえば、洋服の製造過程で大量の廃水汚染が発生していることや、リサイクル率が低く、売れ残った商品が大量に焼却処分されていること、さらに原料となる綿花栽培では大量の農薬が使われていることなど、問題は多岐に渡る。

煙突

 服を選ぶ時、洋服のデザインやサイズは気にしても、それらが“何の素材を使い、どのように作られているか”まで考えて服を選ぶ人はまだまだ少数派だろう。ファッション業界全体としても、“エシカル”や“サスティナブル”などのテーマに取り組もうとする機運は高まっているものの、依然として環境への負荷は大きいままだ。消費者である私たちも、洋服に対する価値観を見直すべき時がきているのかもしれない。

アパレルの“無駄”をなくしたい――《tennen》の誕生。

 そんなファッション業界の中で、ゴミを出さない循環する服づくりを目指し、2018年から天然繊維100%の服を作り続けているのが《tennen》だ。生地はもちろん、ボタンや品質表示のタグまで、すべて「土に還ること」にこだわって作られる《tennen》の服は、資源の循環とともに、関わるすべての人の幸せを循環させたいというコンセプトを持つ。

tennen_服

 この《tennen》は、スウェーデンのアウトドアブランド《フェールラーベン》の販売代理などを手掛けるワイエスインターナショナルが、自社でスタートさせた日本発のエシカルブランド。その始まりは、同社の代表取締役・上田雄一朗さんが長年目の当たりにしてきたアパレル業界のあらゆる“無駄”をなくしたい、という思いからだった。

上田さん「《フェールラーべン》は、60年前から“循環型”や“サステナビリティ”に取り組んでいるブランドです。5年前から弊社で取り扱わせてもらうようになって、教えられる部分も多くありましたし、私自身もアパレルやアウトドア製品などのものづくりに関わる中で、数多くの“無駄”を見てきました。たとえば、毎年作ったものをクリアランス(最終処分)して、在庫が残ったら焼却するという流れとか。アパレルはリサイクル率も低くて、そういう大量生産、大量消費の流れがずっと続くかというと、決して続かないだろうなと。それで、循環型社会を目指した新しいブランドを立ち上げられないかと考え始めました」

 そんなブランドの構想を実現するため協力を依頼したのが、現在《tennen》のディレクションとデザインを担う小栗大士さんだった。当時から小栗さんが展開するアウトドアウェアブランド《rulezpeeps》での経験や、住まいがある千葉県鴨川市での暮らしを通して、小栗さん自身も循環型のものづくりの必要性を感じていた。

 しかし同時に、洋服に対する消費者の価値観の変化とともに低価格化が進んでいたアパレル業界の中で、新たなブランドを立ち上げることに不安や迷いもあったという。そうした厳しい状況の中でも、10年、20年と長く続いていくブランドを作るため、これまでにない新しい服づくりのかたちを目指したと振り返る。

小栗さん「これから新たなブランドを立ち上げるっていうのは、相当の覚悟と新しいアプローチが絶対的に必要だと感じていました。僕自身、鴨川で自然とともに暮らす魅力をリアルに経験してきた中で、“循環型”の要素がこれからのアパレルには絶対必要だという実感もあったんです。それで、上田社長と話す中で、生産者や自然環境も含めてすべてがハッピーでなくちゃいけないっていう、そういう意味での循環を目指そうという話になりました。今でもこのコンセプトは全く変わっていません」

tennen_海

 デザインや品質にこだわることで得られるユーザーの幸せはもちろん、その生産背景までを含め、関わるすべての人やものの幸せを循環させていく。環境にやさしい天然素材100%の服づくりとともに、《tennen》はそんな社会の実現を目指している。

洋服のリサイクル率は、全体のわずか約20%ほど。

 しかし、《tennen》が目指すそうした循環型の服づくりは、もちろん簡単なことではない。というのも、私たちが着ている服には、ポリエステルやレーヨンなどの化学繊維が使われていることがほとんどだ。服の生地自体は綿100%だとしても、縫い糸や品質表示のタグが化学繊維で作られていたり、ボタンやファスナーなどはプラスチックや金属が使われている。

 このように洋服は、さまざまな素材を組み合わせて作られていることでリサイクルしにくく、そのリサイクル率は全体の約20%ほどにしか達していないという。着られなくなった衣服の多くは、埋め立てや焼却処分されているのだ。捨てられてゴミになった後も、自然に還るまでには長い年月がかかり、自然環境へ有害な影響を与えるものも多い。衣料品の大量廃棄が問題になっているのも、こうした背景があるためだ。

服_ごみ

Miho Aizaki

  • 1/2