コーヒー1杯からSDGsを始めよう。生産者と消費者がフェアな世界を目指して
2020.10.01 UP

コーヒー1杯からSDGsを始めよう。生産者と消費者がフェアな世界を目指して

SUSTAINABILITY

コーヒー伝来の地・長崎で、フェアトレードなコーヒーを提供するカリオモンズコーヒーロースター。自ら産地へと赴き、生産者と直接言葉を交わし合う彼らが伝えたい「フェアな世界」が、SDGsのための道筋を示してくれる。

コーヒー伝来の地・長崎でフェアトレードを実践

あなたがコーヒーを飲みたくなるのはいつだろう。
朝の目覚めの1杯?ドライブのお供に?午後の憩いのひと時?
僕たちの毎日の暮らしに欠かせないコーヒー。実は、日本に初めて伝来した地は長崎なのだ。海外から長崎に伝わった多様な文化の一つも、今では日本中で多くの人が親しむ日常の一部として溶け込んでいる。

さて、そんなコーヒーは一体どこで作られているのか?どんな旅路を辿って僕たちの手元にやって来ているのだろう?これだけ毎日飲んでいるのに、僕たちはコーヒーのことをあまり詳しくは知らない。

カリオモンズ時津店、伊藤さん

長崎でスペシャルティコーヒーの焙煎・挽き売り・カフェを営む「カリオモンズコーヒーロースター」は、毎年コーヒーの産地へ足を運び、仕入れてきた美味しいコーヒーと共に現地の様子をお客様に情報提供する。年に1回、産地で直接農家さんとコミュニケーションを交わしながら買い付けをする彼ら。品質に対する正当な評価を以って、市場価格に捉われない対価で農家さんと取引を行う姿は、長崎でも多くの注目を集めている。

僕たちが淹れるコーヒーでは、誰も不幸な人を作らない。今も昔も変わらない目標です
そう教えてくれるのは代表の伊藤寛之さん。1杯のコーヒーを通して、伊藤さん達が僕らに伝えたいこととは何だろうか。

伊藤さん、抽出中

伊藤さん達が築いてきた、コーヒー生産者とのリレーションシップ

伊藤さんがコーヒーの海外の産地へ足を運び出したのは2011年から。初めて降り立ったのは中米ニカラグア。それからニカラグアとエルサルバドルの2カ国、毎年同じ産地に通い続けた。2016年からはホンジュラスも加わり、3週間程度の滞在期間中に3ヶ国の農家さんの元をめぐるような動きを続けている。

中米の風景

毎年決まって、収穫期の終盤を迎える3〜4月に買い付けの旅に出る。しかし、2011年から続けてきた産地への旅、10年目となる2020年は新型コロナウイルスの影響で断念せざるをえなかった。ということで、今年は産地の農家さんにお任せすることに。

伊藤さん「あちらも僕達が何をどれだけ欲しいかは分かってくれていますし、農家さん自身が日本の僕達に何を飲ませたいか、ということも含めて、お任せでサンプルを送ってもらいました。こちらで届いたものをテイスティングして、結果は全てOK。今まで築いてきたリレーションシップに今年は助けられましたね。

伊藤さんと、産地の農家さんと
産地の農家さんと

そう語る伊藤さんも、もちろんオンラインで完結させることは本意ではない。本当は彼らに直接会ってコミュニケーションを取ることに意味があり、ビジネスの取引だけの関係性に留まらない信頼関係をおざなりにはしたくなかった。今では日常的にFacebookなどで連絡が取れるため、ささやかなやり取りは可能だが、彼らに会いに行きたい気持ちは募るばかりだ。

そのように親交が深まっていたのは、伊藤さんが徐々に農家さん達との向き合い方を見つめ直し、共に過ごす時間を大切にしてきたから。最初は小さなカフェオーナーが集まり、グループでまとまって買い付けを行なっていた。団体で動くということや、ビジネスとして取引先に迷惑をかけるわけにもいかないので、滞在期間中のスケジュールは忙しない。およそ2週間程度の日数に用件を詰め込んで動き回っていた。

コーヒー農家さんの働く様子
現地で見る、コーヒー農家さん達の働く風景

それから、段々と皆のお店が成長していき、各人の買い付けの量も十分なものになっていった。やがて、個人的に行きたい場所があっても、皆のスケジュールに合わせないといけない…というケースも起きてくる。結果、グループでの買い付けは2016年で解散、2017年からは各人が単独で買い付けをするように。伊藤さんも単独で産地へ向かうようになった。

グループで産地をめぐる最後の年、たまたまある農家さんから言われた一言が心に残った。
せっかく自分の国のことを紹介したり、知って欲しいことがあるのに、あなた達はすぐに日本へ帰ってしまう。ゆっくり案内する時間がない

この言葉が胸に響いた。伊藤さんが自分だけで行くようになってからは、滞在期間を延ばし、スケジュールは過ごし方にゆとりを持たせるように。各国に1日は必ずフリーな日を作った。何も予定がない日は、農家さんと一緒に遊びに出かけたり、家のテラスで座って話したり。同じ時間を過ごす、共有することを大切にしている。親戚に会いに行くような気持ちで彼らとの交流を楽しみにしているようだ。

農家さんと過ごす時間

長崎に帰って来たら、伊藤さんや同行したスタッフが農園レポートにまとめる。店舗を訪れるお客様に読んでもらうのはもちろん、後から自分たちが読み返すこともしばしば。産地から帰って来た直後は熱を帯びているが、やはり日常の中でその熱は落ち着いてくる。現地で感じたこと、自分たちが長崎の人に伝えたいことを再確認し、モチベーションを保つことにも役立っているようだ。それもあって、毎年産地に直接足を運んでは刺激を受けに行っているという意味合いもある。産地への買い付けの旅は、カリオモンズコーヒーの大切な原点回帰として毎日のコーヒーの味わいに生かされている。

スタッフ制作の農園レポート
スタッフ手作りの農園レポート。事細かに現地での様子や感じたことをお客様に伝える

文:Kyosuke Mori
写真提供:伊藤寛之

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