デジタルとアナログの適正なバランスを目指す。
2020.10.07 UP

連載 | DIGITABLE LIFE〜ニューノーマル時代の生き方〜 | 5 デジタルとアナログの適正なバランスを目指す。

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DIGITABLE LIFE〜ニューノーマル時代の生き方〜 ソトコトオンラインとMADUROオンラインの隔週クロス連載。Forbes JAPANウェブでもこの連載が読めます。
コロナウィルスの感染拡大は、私たちの生活を変え、経済・社会にも大きな影響を与えています。私たちは「新しい日常」を模索し続け、リモートワークやワーケーション、ネットショッピングの利用など、デジタルを活用することを一つの解決策として生活に取り入れ始めています。第5回目である今回は、デジタルとアナログの適正なバランスをとるにはどうしたらよいかを解説していきます。

リモートワークでリアルの大切さを再認識 

コロナ禍に私たちが経験した半年間の完全リモートワーク生活により、デジタルの新しい可能性が見えてきました。それは、仕事の生産性を高め、自由度を高め、そして私生活に充実をもたらすことです。リモートワークは、時間と場所の壁を超え、仕事・私生活そして人生の可能性を広げてくれました。 

同時に、リモートワークの限界も知り、リアルの大切さを実感させてくれました。リモートでは、実際に人に会い、相手の雰囲気、その場の空気感を感じることができません。やはり人間は、五感を通して感じる生き物であり、実際に人と会い、大事な場面ほどリアルに会うことが必要だと実感しました。リアルに会うことは、単に楽しいだけでなく、とても貴重で大切なものだと再認識しました。 

リアルの大切さ

リアルの貴重さを感じたのはなぜか

リアルの貴重さを感じたのはなぜなのか、私の体験を通してお話していきます。私は半年間の完全リモートワーク後、リアルの活動を段階的に再開していきました。 

仕事では、久しぶりに出社し、全社員が集まっての会議をしました。久しぶりでしたが、リモートでは毎日のように話をしていたので、仕事の内容では特に違和感はありませんでしたが、やはり音声・映像だけでは伝わらない空気感を感じることができ、一体感が生まれる感じがしました。クライアントにお会いしたときは、相手の表情、雰囲気から、相手の思いを汲み取ったコミュニケーションが、以前よりもできているように感じました。 

私生活においても、夏休みに家族で近場の都内奥多摩にドライブに行きました。川で釣りをして、山歩きを楽しみました。川の水の冷たさ、森林の空気のおいしさが、以前よりもその一瞬・一瞬が大切なものだと感じました。すべてを五感で堪能しようとしている感覚は、子どもの頃の「出会うものすべてが新鮮」という感覚に似ているように感じました。 

仕事でも私生活でも以前とは違う感覚、リアルの貴重さを感じ、自分の感覚が研ぎ澄まされているように感じました。この理由は、人に会わない期間があったからこそ、感覚が研ぎ澄まされ、敏感になったからではないかと思います。 

森と川

デジタルとアナログの融合が感覚を研ぎ澄ます

人間は、感情・感覚の生き物です。仮に、何もやることのない単調な日々を送っていれば、人間は「つまらない」と感じ、刺激が欲しいと考えます。逆に、毎日、変化の激しい忙しい日々を送っていれば、人間は「やすみたい」と感じ、安定が欲しいと考えます。また、これらが組み合わさり、単調な日々と忙しい日々が繰り返し訪れると、個人によってバランスは様々であるとは思いますが、多くの人は「充実している」と感じます。 

今回、デジタルとアナログの関係も同様で、私が感じたのも同じような感覚だったと思います。半年間ずっとリモート生活を続け、リアルの生活に戻り始めたときに、すべてが新鮮に感じるようになったのです。だとしたならば、デジタルとアナログが組み合わさったときには、今までよりもより充実した仕事・私生活に変えていくことが出来るはずです。デジタルを活用するからこそアナログの良さを、また逆に、アナログな生活をするからこそデジタルの良さに気がつき、互いの良さを活かした仕事・私生活とすることが可能になるはずです。 

今後、リモートワークのみならず、あらゆる業務のデジタルシフトが進んでいきます。今回、体験したことは、とても今後のデジタルシフトのヒントになる貴重な体験だったと思います。 

デジタルとアナログの融合

デジタルとアナログの適正なバランスを目指す

デジタルシフトは今後、今まで以上に加速して進んできます。デジタルシフトが進むと聞くと、すべてがデジタル化され、AIやロボットが人間を支配するような世界を想像してしまう人もいますが、私はそんな味気ない未来には絶対にならないと思っています。デジタルシフトが進めば進むほど、同時にリアルの良さが見直され、デジタルとアナログは適正なバランスを保ちながら進化をしていくだろうと思います。 

デジタルシフトは、全てがデジタル、全てがアナログという極端なゴールを目指すのではなく、適正なバランスのゴールを目指すことが大事です。しかも、それは画一的なものではなく、人に応じて、状況に応じて柔軟に変わる形が望ましいでしょう。 

デジタルとアナログを組み合わせることで、そこには無限ともいえる選択肢が生まれてきます。選択の幅が広がることで、個人個人の仕事も私生活も、そして人生もバラエティに富んだものになっていくでしょう。 

デジタルシフトは、私たちに沢山の可能性をもたらしてくれるのです。 

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鈴木 康弘

すずき・やすひろ
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に従事。99年イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)設立、代表取締役社長就任。2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブ設立、同社代表取締役社長就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。