「新型コロナウィルス」により二拠点の移動ができなくなる。
2020.10.19 UP

連載 | 田舎と田舎の二拠点生活 | 34 「新型コロナウィルス」により二拠点の移動ができなくなる。

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2月15日に幡豆から小豆島に移動する際、約5か月も戻れなくなるとは夢にも思わなかった。移動は片道最短7時間。「新型コロナウィルス」の感染者が多いエリアも通る。車で移動するなら感染リスクが減るが、日頃田舎でしか運転をしない私は、都会で運転できる自信がなくて移動できずにいた。

6か月間で夫に会えたのは1度だけ。

5月になると感染者が減り、5月25日に全国で緊急事態宣言が解除。続いて香川県が県民に呼び掛けていた「外出自粛」が6月19日に緩和。そろそろ? と周りの様子を探り、7月6日にやっと公共交通機関で幡豆に移動した。

約5か月ぶりに父に会えた、当時1歳11か月の娘は、恋する乙女そのもの。夫もデレデレで、娘と夫はつき合いたての恋人のように甘い時間を過ごした。私も久しぶりに同世代の夫やシェアハウスのメンバー、ご近所さんと毎日話せて癒された。

しかし7月16日の夜、香川・小豆島側の状況が一変した。香川県では時々1人の感染者が確認されていたなか、16日に突然10人もの感染者が出て、そのうちの1人が小豆島の人。ついに島内で初のコロナ感染が確認され、一気にただならぬ緊迫感に包まれた。7月17日には香川県が「18日から感染警戒期にする」と宣言。同日に保育所からも電話が入り、小豆島に帰ったら、2週間自宅待機するよう要請された。

青ざめた。元々は7月末に小豆島に帰る予定にしており、帰宅後は小豆島での仕事がすし詰めだった。娘を保育所に預けられないとなると、仕事をすべてキャンセルせざるを得ない。クライアントに大迷惑がかかる。そもそも、すぐに外に行きたがる娘を自宅に閉じ込めておくことができるの?

夫に相談したら、「明日車で小豆島に送るよ。早めに移動したほうが仕事のキャンセル数が減るし、もし香川で感染が拡大したらもっと状況が厳しくなる可能性がある。幸い、まだ幡豆には感染者が1人も出ていないし、車で移動してフェリーもデッキで過ごせば、ドア・ツー・ドアで他の人に接触するのは乗船員に切符を渡すときだけ。状況を説明すれば、家族もクライアントも受け入れてくれるよ」と瞬時に判断。急いで荷物をまとめ、幡豆での予定をすべてキャンセル。18日の早朝に車で出発した。

夫の判断は正しかった。8月1日に祖母が骨折して入院をしたのだが、その時母が病院から言われたのは、「県境を跨いだり、島外で数日滞在してから2週間経っていない人。またその人と同居する人も、面会はできません」。私が幡豆から移動して2週間経った日は7月31日。ギリギリセーフ。

……で、その後はいつ幡豆に帰れるの?  ひとまず小豆島にまっているけど……。なんとか最善策を見出していかないと。

ある日の夫婦

7月前半に、夫と娘と一緒に2泊3日で岐阜県郡上市を旅した。郡上市観光連盟からご依頼いただき、リニューアルサイトの中で郡上の発酵どころである、醤油・味噌・日本酒・どぶろく・ビール・スピリッツ・にしん寿司・藍染をレポートさせてもらえることになった。美しい水と豊かな食材。おおらかな地元の人と、追究心に長けた移住者が生み出す発酵は独特でおもしろい。お楽しみに!

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。