池田動物園の動物マスク
2020.10.31 UP

地域に支えられる岡山の「池田動物園」。地元縫製メーカーが動物マスクに込めた思いとは

LOCAL

岡山で65年以上もの歴史を誇る「池田動物園」。上皇陛下の実姉・池田厚子さんが園長をつとめる、民営の動物園である。ここ数年は経営難や老朽化が話題にあがるが、岡山県民にとっては幼い頃から親しんできた場所だ。2020年の春〜夏はコロナ禍でさらに来園者が激減。そんな中、地元の縫製メーカーが申し出て動物マスクを製造し、来園者に人気を呼んでいる。マスクに込められた思いを聞いた。

縫製メーカーとしてできることを

岡山市北区・池田動物園で、2020年8月から発売されている動物マスク。製造しているのは、ジーンズストリートが有名な倉敷市児島にある、縫製メーカーの有限会社ココロだ。同社もジーンズを中心にアパレルメーカーなどから受注し縫製している。コロナ禍で受注が減少してきた頃、なんとか仕事を生み出そうと当時手に入りにくくなっていたマスクの製造を開始。そんな時に、池田動物園の窮状を耳にした社長の山崎芳仁さんが同園を訪れる。
「もともと減っていた来園者がコロナの影響でさらに減少して、マスクもない状況だとますます厳しいと思い、自分たちで出来ることがあればと。動物園らしい旗印になるものをと、動物をプリントしたマスクを作ることにしました」と山崎さんは当時を振り返る。

池田動物園・動物マスク
池田動物園の売店で販売されている動物のイラストが入った布マスク。ライオンやホワイトタイガーなど人気者のイラストがプリントされている。サイズはS〜L、各税込1,210円

動物園は子どもの「心」を育む場所

幼少期には自身も池田動物園を訪れていたという山崎さん。幼稚園・小学校の遠足や家族で行った思い出など、今でもよく覚えているという。しかし今回久しぶりに訪れると、その頃とは全く印象が変わっていた。
「子どもの頃に来た時には動物もたくさんいて、とにかく広くて大きかった。今はとても小さく感じました。自分が大人になったこともあるけれど」と寂し気に話す山崎さん。
副園長の忠政智登士さんに案内され1周みて回ったが、キリンもゾウもおらず、ライオンは全く動かずじっとしていたという。そして3ヶ月後には、このライオンも亡くなった。
「副園長さんと、とても悲しいことではあるけれど、子どもたちがこうした命の尊さを直に学べることはすごく勉強になると話しました。動物園は地域にとって残していくべき価値があると思いますし、自分たちができることをやっていきたいと思っています」

池田動物園
池田動物園のゾウの園舎。2017年に長年の人気者だったメリーが亡くなったが、今でもこうして写真撮影スポットとして残している。

写真ではなくあえてイラストに

動物マスクの試作では、池田動物園で人気のレッサーパンダの写真をプリントして作ってみたが、温かみが感じられずに作り直した。
「副園長さんの甥っ子さんとその娘さんが絵を描いていらっしゃると聞き、手描きでイラストを描いてもらったところすごく温かみがあって良かった。そのイラストをデータにしてマスクの生地にプリントすることにしました」と山崎さん。
イラストのプリントには、ガーメントプリンターという生地専用のプリント機を使用。同社はもともと縫製のみの工場だったが、若い職人を育てたいと、縫製だけでなくオリジナル製品を作るため2年ほど前に導入したという。
「人を育てるために入れた機械を、このような形で活かせたことも嬉しいですね」
こうして作られた動物マスクは、最初のレッサーパンダ、次にペリカン、ライオン…と続き、現在では人気の動物たちが種類豊富に揃う。

有限会社ココロ/ガーメントプリンター
ガーメントプリンターでマスクに動物のイラストをプリント中。(c)有限会社ココロ

写真:山崎芳仁、西紀子
文:西紀子

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