大正ロマン薫る「岡山禁酒会館」で食すライスカレー
2020.11.14 UP

大正ロマン薫る「岡山禁酒会館」で食すライスカレー

FOOD

岡山城からほど近い、丸の内の道路沿いに佇む「岡山禁酒会館」。大正時代に建てられた情緒あふれる建物の1Fに静かな喫茶店がある。店主が丁寧に煎れる珈琲もさることながら、週末に数量限定で出されるカレーが地元の人や観光客に人気だという。実は禁酒会館の歴史とも深い関係があるというこのカレー。その味わいと背景を取材した。

登録有形文化財指定の岡山禁酒会館

路面電車の「城下(しろした)」駅からすぐ、2本の大きな木に挟まれるように建つ洋館が「岡山禁酒会館」だ。ここだけ時代が違うような独特のたたずまいに、通りかかれば誰しも足を止めずにはいられないだろう。
大正12年に竣工した建物は第二次世界大戦での岡山空襲による消失も免れ、必要な改修は行われているもののほぼ当時のままの姿を残し、文化庁の登録有形文化財にも指定されている。

岡山禁酒会館
大正12年に建てられた木造3階建ての岡山禁酒会館

電車の音と鳥の声、穏やかな時間が流れる喫茶店

禁酒会館の1Fにあるのが「珈琲屋ラヴィアンカフヱ」で、店頭に出された黒板には「ライスカレー」とある。そうそう、これが食べたくて訪れたのだ。

ラヴィアンカフェ看板
「ラヴィアンカフヱ」の店頭に出された黒板。

店内は落ち着いた雰囲気で、BGMはかかっていない。外の路面電車の音と奥にある中庭から鳥のさえずりが聞こえるが、それがかえって店内の静けさを際立たせ、穏やかな空間を演出している。ここが岡山市街地であることを忘れそうなほどだ。

ラヴィアンカフェ店内
「ラヴィアンカフヱ」の店内

店主・阪本雅人さんに案内されて奥のテーブルにつき、早速ライスカレーと珈琲のセットを注文。待っている間に店内を見渡すと、カウンターの向かいに小さなギャラリースペースが。阪本さんの母・サミ子さんによる、色とりどりの毛糸で編まれたバッグや帽子が並んでいた。

ラヴィアンカフェ店内ギャラリー
貸しギャラリーとしても利用できるスペース。

どこか懐かしい"喫茶店のカレー"

昔懐かしいソースポットに入ったカレーが、いい匂いとともに運ばれてきた。銀のプレートにライスが盛られ、もちろん福神漬けもある。ソースポットから移して一口いただくと、「これこれ」と頷きたくなる親しみ感のある味わいだ。タマネギの甘みとチキンのうまみ、ほどよい辛さとまろやかさ。かすかに感じる酸味はトマトだそう。今やカレー専門店は多種多様にあるが、日常的に食べたくなるのは、やはりこういうカレーなのだ。

禁酒会館カレー
この上なく「ごちそう感」があるソースポットに入ったカレー。
禁酒会館カレー
ごろっと大きめのチキンが入っている。

カレーのあとの珈琲ほど贅沢なものはない

喫茶店でカレーがあるとつい食べたくなるが、食後に飲む珈琲と相性がいいからかもしれない。「ラヴィアンカフヱ」には店内に焙煎室があり、自家焙煎した豆を丁寧にドリップして煎れてくれる。深い香りとほどよい酸味をゆっくりと味わいながら、先ほど食べたカレーのおいしさを思い出し満足感に浸る。最近忘れていたけど、こうした贅沢な時間の使い方もまた外食の醍醐味だ。

ラヴィアンカフェコーヒー
自家焙煎による珈琲。
ラヴィアンカフェ焙煎室
店内に焙煎室があり、その奥は中庭になっている。
 

写真・文:西紀子

参考:岡山禁酒会館リーフレット・公式サイト

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