目の前で作られる練り切りの美しさと口どけを愉しむ
そろそろ「練り切り実演」(700円)を注文してみます。
最初に中のあんのフレーバーを選びます。筆者は、和菓子ではあまり見たことのない「ココナッツ」を注文してみました。一体どんな味なのでしょうか。
作ってくれるのは、店主であり和菓子職人の戸辺麻理子さん。
まずは色のついた生地が目の前に用意されました。
ここからどんな練り切りが出来上がるのが、想像もつきません。
戸辺さんが生地を手に取ると、鮮やかな手つきでみるみるうちに形が変わっていきます。
練り切りは次々と形を変え、色も美しいグラデーションに。
細かく繊細に模様を付けたら、完成!秋らしい紅葉の練り切りです。
できたての練り切りが美味しい理由は水分量から生まれる口どけの良さ
作りながら、戸辺さんができたての練り切りが美味しい理由を教えてくれました。
それは、“水分量の違い”とのこと。
店頭で販売する和菓子は、日持ちを良くするために水分量のコントロールをしているのだそう。しかし「をかしや」では、できたてをすぐ食べてもらえるため、中のあんも外側の練り切りも、水分量を多めに作ってあると言います。水分量が多くなることで口どけが良くなり、より美味しく感じられるというわけ。
早速、筆者もできたての練り切りをいただきます!小さく切って口に運ぶと、口の中ですうっととろけます。これは、今まで食べた和菓子の中でも抜群に美味しい……!しっとりと柔らかく、舌触りもなめらか。これがたっぷりと水分を含んだ練り切りの美味しさなのかと感動してしまいました。
しかも日本酒と合う!
最初はお酒と和菓子の組み合わせなんて想像もつきませんでしたが、練り切りの上品な甘さが日本酒と想像以上にマッチします。中のあんは、ココナッツがアクセントになって食感も楽しい♪
できたての練り切りの美味しさと、日本酒とのペアリング。初めての体験に、感動の連続でした。
「をかしや」を始めるに至ったシンプルな想い
和菓子の専門学校に通った後、和菓子の製造・販売、大学で和菓子の授業の助手といくつかの和菓子の仕事を経て、今のお店を開いた戸辺さん。お店を開くことになったのは、前々からの夢などではなく“直感”。今の場所に偶然空き店舗を見つけたことがきっかけなのだそう。
お酒を飲みながら戸辺さんに話を伺っていると、いつも答えはシンプルで真っ当。
飲み屋さんで和菓子を出そうと思ったのは「おもしろそうだから」。
できたての練り切りを提供しようと思ったのは「そのほうが絶対おいしいから」。
そしてその作り込まれていない空間に人が集まり、いつの間にかお客さん同士で自然と会話が生まれ、和やかでゆったりとした空気が流れます。いつもシンプルな想いで進んできた戸辺さんだからこそ、和菓子とお酒のおもしろい組み合わせが生まれ、自然と足を運びたくなるような、あたたかい雰囲気のお店になっていったんだなと思いました。
西荻窪のバー「をかしや」で心地良いひとときを
今回は、西荻窪にあるバー「をかしや」をご紹介しました。お酒と和菓子の新鮮な組み合わせや、和やかなお店の雰囲気に、きっと心地いい時間を過ごせるはず。目の前で作られていく練り切りを見る楽しさ、出来上がった練りきりの美しさとできたての口どけを、ぜひ体験してみてくださいね。
「をかしや」店舗情報
- アクセス:東京都杉並区西荻南2-24-2 (西荻窪駅から徒歩約3分)
- 営業時間:19:00~24:00
- 定休日:日曜日・月曜日(営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、Twitter・Facebookなどでご確認ください)
文:さいとうえみり
撮影:さいとうえみり