暮らしや仕事を「捨てる」のではなく、通って「活かし合う結婚」。 ー 田舎と田舎の二拠点生活1
2019.07.13 UP

暮らしや仕事を「捨てる」のではなく、通って「活かし合う結婚」。 ー 田舎と田舎の二拠点生活1

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先月7月6日。私は33歳で結婚した。

20代でできるだろうと呑気に過ごしていたが、恋愛と言えるようなものは10年以上なく、ヒョンに訪れた恋に救われたのだ。

私たちの結婚生活の最大の特徴は「田舎と田舎の二拠点生活」であること。妻である私が、夫の家がある愛知県の「幡豆(西尾市)」と、私の生まれ故郷であり、仕事の拠点である香川県の「小豆島」を毎月1〜2回のペースで往復する。

幡豆と小豆島は片道最短7時間。どちらも、海も山も毎日眺めることができる自然に恵まれた、絵に描いたような「田舎」だ。船とバスと新幹線、そして電車を乗り継ぎながら夫に会いに行く。

私は夫に出会うまで「結婚相手は小豆島で一緒に暮らせる人」と宣言していた。それがなぜ、小豆島でもなければ、相手の土地に移り住むのでもなく、二拠点生活という暮らし方に決めたかというと、お互いが長年地に根付いた仕事を自営しており、その仕事をお互いに続けてほしいと願っていたから。そして、他の相手は考えられなかったから。

二拠点生活は大変だ。特に妻が移動する場合は。将来子どもができたら、子どもを抱いて移動することになる。費用もかかる。スケジュールも立てづらい。しかし、つき合い出した初日から自然と「二拠点生活をやろう! できるよ!」とすんなり決まった。時折夫婦が別々の場所にいると、自身の仕事に集中できたり、お互いを敬う気持ちが続くと思った。

「結婚に前向きになれない」人の参考になれば。

平成27年の国勢調査報告から算出された50歳まで未婚の男性は23.37パーセント、女性は14.06パーセントに達し、男女とも増加傾向にあると、厚生労働省が運営する国立社会保障・人口問題研究所が、今年4月3日に発表した。子どものころは「結婚するのが当たり前」だと思ったけれどそうではないらしい。私も夫に出会っていなければ、今なお独身であったに違いない。

惹かれあっても条件が合わなくて成立しない人、結婚条件に縛られ過ぎている人。いろんなハードルがあるなか、私の場合はこれまで多くの女性が行っていた、「結婚を機にすべてを捨てる」ことがどうしてもできなかった。暮らしている場所も、仕事も、名前も欠かせなかった。女性の社会進出が進んでいる今、私のような人は多くなるのではないだろうか。

そこで、できないと思っていたことを超えてみたり、「捨てる」のではなく「活かす」、二拠点生活という結婚生活の様子を連載することで、「結婚に前向きになれない」人の参考になることを切に願います。

それぞれの土地でできること

《小豆島》
・五感で品質を判定する技術を磨く
・蔵の様子を観察し続ける
・入籍前の人間関係を大切にできる

NEW《幡豆》
・主婦業を通じて発酵調味料 などの良い使い方を見出す
・夫の手伝いを通じて、自然や麹のことを学ぶ
・コミュニティを広げる

ある日の新米夫婦

愛知の文化や人に魅せられて、数年前から愛知に何度も通っていた私(妻)。愛知に嫁いだこというニュースを聞いて、仲良くさせてもらっている愛知の生産者や料理人さんが、愛知の食関係の人たちに声をかけてサプライズでお祝いしてくれました。みなさんのお気持ちに感動! もう一つのホームでも居場所が少しずつできていく実感が湧きました。お役に立てるよう頑張ります!

ある日の新米夫婦

文・イラスト ● 黒島慶子

本記事は雑誌ソトコト2017年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。