日照時間を求めて日本海から瀬戸内海へ 胡蝶蘭農家が信じる花のちから
2020.11.28 UP

日照時間を求めて日本海から瀬戸内海へ 胡蝶蘭農家が信じる花のちから

LOCAL

みなさんは、胡蝶蘭を贈ったことはありますか? 花屋を華やかに彩る胡蝶蘭ですが、どこで、どんな人が育てているのでしょうか。農業や漁業はなんとなくイメージできますが、花の栽培をなりわいにした人たちの生活はあまり想像つきません。今回は山口県・柳井市へ、「キノイ」の屋号で胡蝶蘭を栽培するご夫婦をたずねました。

海外研修で出会う

茂明さんは山口県・下関市、郁恵さんは東京都・町田市のご出身。ふたりが出会ったのは、農業系の海外研修でした。茂明さんは実家の胡蝶蘭農家を引き継ぐため、オランダの胡蝶蘭農家で研修を、いっぽうの郁恵さんは、スイスで農業の研修をしました。

2013年に結婚し、最初は茂明さんの実家である下関市での生活をはじめます。東京で生まれ育った郁恵さんにとって、環境の変化は大きかったはずです。しかし、茂明さんと一緒になることは、すなわち移住することだったので、覚悟はできていたといいます。

「スイスで、土の上をまっすぐ歩けなくてびっくりしたんです。コンクリートの道しか歩いてなかったんだと。生きることについて考え直しちゃいました。その点、茂明さんは暗闇でもよくものが見えるんですよね(笑)その経験があるから、今の生活を受け入れられたのかもしれません」

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胡蝶蘭と柳井のなまこ壁をあしらったデザイン

日照時間を求めて移住

東南アジア原産の胡蝶蘭は、苗から1年3ヶ月をかけて育てます。繊細な花のイメージがありますが、強い日光と乾燥に気をつければ、じつは水も土もそれほど必要のない、強い植物なのだそうです。

大事なのは、木漏れ日程度の日が当たる「時間」。ふたりが住んでいた下関市(日本海側)に比べると、いまの場所は年間400時間もの日照時間の違いがあるのだそうです。2018年にいいハウスがあるとの情報を聞きつけ、移住を決意。「胡蝶蘭にいい環境」が決め手になったのです。

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ハウスは全部で3棟あり、これは満開のハウス

文・写真:青木紀子

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