サステナブルな社会の実現に向かい、企業も個人も大きく変化していく
2020.12.01 UP

連載 | DIGITABLE LIFE〜ニューノーマル時代の生き方〜 | 9 サステナブルな社会の実現に向かい、企業も個人も大きく変化していく

DIVERSITY

DIGITABLE LIFE〜ニューノーマル時代の生き方〜 ソトコトオンラインとMADUROオンラインの隔週クロス連載。Forbes JAPANウェブでもこの連載が読めます。
コロナウィルスの感染拡大は、私たちの生活を変え、経済・社会にも大きな影響を与えています。私たちは「新しい日常」を模索し続け、リモートワークやワーケーション、ネットショッピングの利用など、デジタルを活用することを一つの解決策として生活に取り入れ始めています。第9回目である今回は、持続可能な社会の実現について解説していきます。

持続可能な社会の実現に動き出す世界 

 最近、「サステナブル」という言葉を耳にするようになりました。身近でも様々な会合で襟元に17色のピンバッチ(SDGsバッチ)をする方々にお会いする機会も増えてきました。サステナブルとは、人間・社会・地球環境の持続可能な発展を意味しています。その活動を具体的な行動指針としてまとめられたものを「SDGs(持続可能な開発目標)」と言います。世界は確実に持続可能な社会に向かっています。世界経済フォーラムの調査によると、日本では2019年時点で約半数である49%の人がSDGsを認知しているそうです。これは世界的に見ると低い数字ですが、年々SDGsの認知度は上がってきています。 

 さらに、コロナにより、サステナブルな意識は益々高まりつつあります。外出制限や営業規制がされたことにより、地球環境は劇的に改善されました。アジア各国では大気汚染が急減し、欧米諸国では観光客らの減少で水質が向上しているという報告が相次ぎ、私たちは環境問題解決の可能性を感じ始めました。 

 また、コロナは、潜在的な課題であった人種問題や貧困の問題も表面化させました。昨今ではこれらの課題が表面化したことにより、社会の分断が広がりつつあります。日々の報道が流れるとともに、これらの根深い社会課題を私たちは理解し、解決の糸口を探す動きが加速しつつあるように感じます。 

環境問題

自分の子供や孫の世代にどんな世界を残したいか

私はサステナブルな活動を、簡単に「自分の子どもや孫の世代にどんな世の中を残したいか」と考え、身近な課題として考えています。そう考えると持続可能な社会の実現のために国連が分類した5つのP(人類・地球・豊かさ・平和・パートナーシップ)が、とても大切なものだと理解することができるようになりました。 

 すべての人類は様々な面で平等に近づくべきだと思いますし、最近の異常気象を考えると環境問題は重要なテーマであるとも思います。平和な世界で、働きがいのある安心した生活ができる社会を、国・人種などの壁を超えパートナーシップで作り上げることが必要だと考えるようになりました。自分自身だけのことを考えると、これらの課題をある程度割り切ってしまう部分もありましたが、自分の子供や孫の世代のことを考えると、主体的に取り組む課題だと思うようになりました。 

 今後、私と同じように考える人も増えるのではないかと思っています。そして社会全体が持続可能な社会の実現に動き出していくことでしょう。そして、その新しい社会では、私たちは今までの常識を変えていかなければならなくなるでしょう。 

持続可能な社会の実現

サステナブルな企業や個人しか生き残れない 

 社会全体が持続可能な社会の実現に動き出したときに、企業や個人はどう対応していくことになるのでしょうか。自社の利益を追求する企業と社会全体の幸せを追求しようとするサステナブルは、一見相性が悪いように感じますが、実際はそうではありません。 

多くの企業が、自社の経営にプラスの効果をもたらすために、サステナブルな活動に取り組み始めています。その効果とは、企業やサービスのイメージアップ、新規事業の創造、従業員や株主の満足度の向上につながります。最近ではサステナブルな企業がランキング付けされ、株価にも影響してくるようになりました。世界の投資家集団の中には、化石燃料産業への投資停止や投資撤退を宣言することころもでてきました。国内でも菅総理の所信表明演説では、「我が国は2025年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロ。すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言する」と宣言しました。 

 近い将来、サステナブルな活動をしていない企業の商品を買わないといった事態にまで発展していくことは想像できますし、サステナブルを軽視した企業は市場で生きることが許されない時代がやってくることでしょう。そしてそこで働く私たち個人も変わっていくことが余儀なくされることでしょう。 

サステナブルな企業

新しい事業が創出されてくる 

 これらのサステナブルな活動は、これから産業構造や経済社会の変革をもたらすことになりますが、同時に大きな成長のチャンスももたらします。 

環境課題においては、例えば自動車業界などでは、電気自動車に一気に切り替わっていくことが予想されます。既存の企業は大きな変革を迫られますが、新しい企業が参入しやすくなる良さもでてきます。その流れは、自動車製造業だけにとどまらず、部品供給メーカーや燃料給油所などその影響は広く広がってくるでしょう。平等課題においては、人種や性別にとらわれることなく機会の平等へと変わっていくことが予想され、今までなかなかチャンスに恵まれなかった人がチャンスに恵まれるようになるでしょう。 

 今後、サステナブルな世の中に向かい様々な変革が起こり、チャンスが増えてくると思います。同時に、とても厳しい時代になってくるとも感じます。変化が激しければ、それに対応するために常に世の中の動きを、敏感に感じ、迅速に行動していくことが求められるからです。 

 私は、変化していくことは良いことだと思っています。とても厳しい時代になったとしても、チャンスが多い時代になる方が、人々は成長すると思うからです。私の子供や孫にもそんな時代を生きて欲しいと思っています。 

キーワード

鈴木 康弘

すずき・やすひろ
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に従事。99年イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)設立、代表取締役社長就任。2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブ設立、同社代表取締役社長就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。