お漬物集合写真
2020.12.13 UP

いぶりがっこだけじゃない!秋田の漬物の魅力。「がっこちゃっこ」が美肌を作る

FOOD

秋田の方言で、がっこ=漬物 ちゃっこ=ティータイム。
つまり「がっこちゃっこ」は、お漬物でお茶を飲む秋田県民憩いの時間です。
お茶の時間のお供は、お菓子でもお煎餅でもなく、がっこ。
ただ最近は、身近な場所でがっこちゃっこタイムをお見かけすることがめっきり少なくなりました。
そこで、今回は雪深い県南部に住むマダムたちのブランチを兼ねたがっこちゃっこに潜入。そこには、豊かな食文化と食べ物を無駄にしない先人の知恵、そして飽くなき技への追求がありました。

秋田のがっこの魅力と美肌の関係

大根を燻製にしてから漬け込む「いぶりがっこ」が、クリームチーズという相性抜群な相方を得てあっという間に知名度は全国区となり、近年秋田のがっこの代表といえばいぶりがっこと言われるようになりました。しかし、秋田には他にも魅力的ながっこがたくさんあります。

漬物4種類

特に、スーパーやお土産屋さんで買うちょっとよそいきのがっこではなく、お母さんたちが自宅で作るがっこの数々はバラエティに富んだおふくろの味。
あれ?これなんていう名前だっけ?という名もなきがっここそ、毎日の生活になくてはならない慣れ親しんだふるさとの味なのです。

近所の人たちや同級生が集まっておしゃべりする時は、得意ながっこを一品持ち寄るのが習慣という地域もあります。
この日は、50年ほど前に一緒に高校時代を過ごした同級生マダムたちのがっこちゃっこに潜入。残念ながら顔出しはNGとのことですが、さすが皆さんお綺麗です。やはり、麹や酒粕、何よりビタミンたっぷりの野菜の力でしょうか。驚くほどの肌のキメの細かさです。

漬物を取り皿に分ける
見よこの美しい肌を。正真正銘70歳の漬物名人の手。

がっこちゃっこはお互いの腕を競う場

がっこ名人が集うと、テーブルにはお正月のお節料理みたいにがっこが並び、さながら食べ放題のがっこバイキング状態。餅米を使ったものや、酒粕を入れたもの、ザラメ砂糖と醤油で漬けた甘めの味など正統派から個性派まで勢揃いです。

がっこのミッションは、野菜を最後まで大切に使い切ること。旬の時期に大量に出回る野菜が腐る前に漬けこんで、長持ちさせる工夫がここにあります。要するに食べ物を無駄にしないという”もったいない精神”がその根底にあるのです。
脈々と受け継がれてきた昔の人の知恵ですが、これこそまさに今注目を集めているSDGsなのでは??

また、同じ漬け方でもそれぞれに少しずつ味が違うのは、その家々のレシピ、つまり調味料の配合と作り方が違うため。がっこの食べ比べは、お互いの腕前を競うちょっとした品評会なのです。

秋田美人1「このきゅうりがっこ、なしてパリパリしてらんだ?」(このきゅうりの漬物はなぜ歯応えがパリパリしてるの?)
秋田美人2「なんも、一回ザラメど醤油どさっと煮るもの」(一度ザラメ砂糖と醤油を煮溶かして一緒にほんの一瞬煮るからよ)
秋田美人1「えー煮るなが、なんとしてよ?」(えっ煮るの?どんな風に?)

がっこを囲む同級生4人

自分が知らない作り方やちょっとしたコツを教えあい、情報交換をして、マダムたちはさらに高みを目指し腕を磨く。こうした切磋琢磨が実を結び、がっこ名人と称賛される地域のスターが誕生するのです。

酒造りが盛んな秋田では美味しい酒粕も手に入りやすいため、塩や麹だけでなく粕漬けもよく作られました。昔のお母さんたちは、一度塩漬けをしたきゅうりや瓜を塩抜きし、一番粕二番粕と漬け床を変えて漬け込み、一年がかりで作ったんだそう。がっこは、時間と手間とお金がかかる豊かさの証しでもありました。

最近は、時間をかけて漬け込む漬物だけでなく、簡単に作れる浅漬けや市販の漬物の素なども利用しながら毎日の食卓に彩を添えているそうです。

がっこを取り分ける

秋田美人3「むがしおめ学校さカステラ持ってきて、休み時間食べだべー」(昔、あなたが学校にカステラ持ってきて休み時間に食べたでしょ)
秋田美人4「んだっけか。あど忘れだ。50年も前の話だべ」(えーそうだっけ。もう忘れたよ。50年以上前の話だし)
秋田美人3「がっこ食ってみんなでまだこんた話っこでぎればいいなー」(漬物食べながらこうしてみんなでまた思い出話が出来るといいね)

秋田美人1「あど80なるどー」(あっという間に80歳になっちゃうね)
秋田美人2「んだんだ、なんもすぐだべよん」(そうそうすぐだよね)

漬物集合写真

がっこライフのススメ

がっこを中心に人が集い、がっこの話をしながら楽しい時を過ごす。がっこは雪が降り積もる冬の秋田の保存食であり、人と人とを繋ぐコミュニケーションツールでもあるのです。

思い出話とがっこ談義に花を咲かせ、ふと時計を見ればもう夕方。夕飯の支度の時間です。
さあ、そろそろ解散。ってまた夕飯でがっこ食べるんですけどね。
皆さんも、冷蔵庫の片隅に忘れられた野菜を見つけたら刻んで塩と一緒にビニール袋に入れて簡単浅漬け。がっこ生活はじめませんか?

文・写真 渡辺綾子