新しい土地と継続する土地の、 環境と反応。ー 田舎と田舎の二拠点生活3
2019.07.22 UP

新しい土地と継続する土地の、 環境と反応。ー 田舎と田舎の二拠点生活3

LOCAL

二拠点生活ができているのは、周りの理解があってこそ。小豆島側でも幡豆側でも、とりたてて反対はないし、後ろ指をさされることもない。ありがたいことに双方の拠点で楽しく暮らしている。

とはいえ、私が二拠点を行き来することに対し、双方の土地で反応は少し違う。

二拠点生活を説明しても、「拠点を変えた」と思われる。

夫がいる幡豆では、「たかしくん(夫)、よかったね。ぴったり!」と、喜んでくれる人が多い。長年私がお世話になっている愛知の知人も「小豆島に基盤を構える黒島さんが、島を出るなんて!」と驚きつつも、喜び、仲良くしてくれている。しかし小豆島では、「二拠点生活ができるのは初めだけで、近いうちに愛知に行ってしまうんやろ?」と言われたり、島にいると「あれ!? 島におるやん」と驚かれたりすることが多い。

この反応から、多くの人が持つ結婚への概念が影響し、二拠点生活を説明してもなお、愛知の人は私が「転入」、小豆島の人は「転出」という印象を持つことがうかがえる。

二拠点生活という結婚スタイルに対しても、双方で受け取られ方が違う。「転入」という意識が、プラスのイメージを促しているのか、幡豆では「理想の結婚の形!」という反応が多い。特に結婚生活が長い人は、適度の距離感を保てていいと言ってくれる。離れているときは、独身のときのように自由に過ごし、しばらく独りを満喫していると、ふと相手の存在の大切さを感じ、愛しさを持ち続けることができると。

一方、小豆島では、「二拠点生活をして大丈夫?」と言う声が多い。幡豆の人は夫の(迎え入れる)立場に立って考え、小豆島の人は私の(もう一つ新たな拠点を持つ)立場に立って考える傾向があるのだろうか。
地域性を知ることが重要。

また、「田舎と田舎」の二拠点生活をする場合、人間関係や習慣など地域性と向き合う必要もある。地域に認めてもらうことは、双方の家族に認めてもらうくらい、暮らしやすさを左右するからだ。

その点においては、幡豆も小豆島も、新しい人やコトを柔軟に受け入れる地域なので助かった。特に幡豆は小豆島以上に寛容だったので入りやすく、ここでならやっていけると、結婚前から実感していた。小豆島でもこれまでの仕事やプロジェクトを続けているし、小豆島の人たちとも変わらず仲良くできている。二拠点居住においてこの地域性を知ることが、とても重要なのかもしれないと今になって思う。

私たちの結婚生活はまだ始まったばかり。私たちもどうなるのかわからない。気がかりに想う声には、双方の地域を大切にしながら、長く二拠点生活を続けて、新たな生活の形を示していけたらと思う。

ある日の新米夫婦

ある日の新米夫婦

入籍して2か月経った9月に、夫が10日ほど小豆島に滞在した。小豆島に来るのは2回目。前回は両親に挨拶をしたらトンボ返り。ちゃんと小豆島を知るのは今回が初めて。やっと島内のいろんな人に紹介できました! 夫も小豆島を気に入ってくれて、ホッとしました。

文・イラスト ● 黒島慶子

本記事は雑誌ソトコト2017年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。