ヨコハマ海洋市民大学(神奈川県横浜市)ー ソーシャル系大学案内 第41回
2019.06.01 UP

ソーシャル系大学案内 ヨコハマ海洋市民大学(神奈川県横浜市)ー ソーシャル系大学案内 第41回

SOCIAL

ソーシャルでエシカルな関心をもつ人を惹きつける、街の中に広がる学びの場「ソーシャル系大学」。今回は2014年8月に神奈川県横浜市にある大さん橋の竣工120周年を記念して発足した、横浜の海を愛する人々による手づくりのプロジェクト、『ヨコハマ海洋市民大学』を取り上げる。
ここでは年間20回の講座を通して、海を知り、海と親しみ、海に関わる人たちを育成している。
2019年1月、冬の港に浮かび上がる『象の鼻テラス』で開催された講座を見学した。

海を楽しむ仲間と出会う、“大人の放課後”活動。

風の冷たい冬の夜、暖かな明かりの下に、仕事を終えた人たちが三々五々集まってくる。いつもは18時で閉店となる『象の鼻テラス』もこの日は賑やかになり、受付付近でさっそく話の輪が広がる。この日開催された講座「横浜のアクティビスト大集合!」に登壇したのは、『ココペリプラス』代表の寺田浩之さんと『横浜西口エリアマネジメント事務』局長の石幡勝さん。寺田さんによると、自然がないと思われている横浜駅西口付近だが、実は可能性に満ちた河川がある。神奈川県立横浜平沼高校生物部と隔月で実施している合同調査からは、多様な魚や生物が生息していることが観測できるし、地元の小学生と実施した水質調査でも、西口付近の川の水の透明度が驚くほど高いこともわかった。商業施設に囲まれ日陰に隠れがちな河川の魅力を伝えたいと、寺田さんたちは親子自然体験教室やナイトカヤック、謎解きスタディや水槽アートなどの屋外イベントを手がけ、横浜駅西口の水辺の魅力を発信している。

一方で、横浜駅西口エリアをとりまとめる石幡さんも、多様な利害を調整しながらどうしたら訪れる人たちに街を楽しんでもらえるのかを考えてきた。生活者と来街者の連携を促進するために外国人観光客に体験型の街歩きツアーを実施したり、企業商業者間の連携を促進するためにハロウィーンイベントやイルミネーションを企画したりと多くの事業を手がけている。大型商業施設が立ち並ぶ駅前の裏通りや河川敷を活用することが、圧倒的に足りない公共空間を補完することになるのでは、と石幡さんは話す。会場からも、「省エネルギーを活用したスマートイルミネーションがいい」「東口と西口が舟でつながるといい」「水があふれないように浚渫する必要もある」「海を共通項と思えばオール横浜でつながれると思う」といったコメントが続き、さすが水辺を愛する人たちの集まりだと感じた。

講座のあとは集まった人たちが、飲み物を片手に自由に語り合う。魚釣りが好きな人、海の生物を愛する人、ヨットやSUPやカヤックをたしなむ人、西口エリアの活動に関わる学生などが、互いに情報交換をしながら知らないうちに話に花が咲く。実行委員長を長く務める金木伸浩さんも、横浜の魅力的な人たちが横につながる機会をつくっていきたいと話す。『ヨコハマ海洋市民大学』は、海に興味を持つ人たちが、海について学ぶうちに海を楽しむ仲間と出会う、“大人の放課後”活動である。

ヨコハマ海洋市民大学実行委員会 

神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-1 クイーンズタワーA403B ルーデンス株式会社内
HP:https://yokohamakaiyouniv.wixsite.com/kaiyo

illustration by Verve Iwashita

本記事は雑誌ソトコト2019年4月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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坂口 緑

さかぐち・みどり
明治学院大学社会学部教授。2000年、東京大学大学院博士課程単位取得退学。研究領域は生涯学習論。共著に『ポストリベラリズム』、共訳書にアーリー・ラッセル・ホックシールド『タイム・バインド』など。