東京・浅草の路地裏の、英語が公用語のカフェ「Cafe Byron Bay」
2019.07.30 UP

東京・浅草の路地裏の、英語が公用語のカフェ「Cafe Byron Bay」

LOCAL

日本有数の観光地・浅草。その一角に、国境を越えて人が出逢い、かけがえのない時間を過ごすことのできる空間「Cafe Byron Bay」がある。店内での公用語は英語。スタッフとの会話はもちろん、他の日本人客との会話も、訪れた外国人との会話も全て英語!

オープンのきっかけは、オーナー・ノアさんの体験から。

当時、オーストラリアのバイロンベイという街で暮らしていたノアさんは、母親を亡くして悲しみの中にいたところを、スペインからやってきた女の子・エステルに救われたという。国籍の異なる二人の会話は「英語」。

ひょんなことから、お互いのトラウマについてその子と話す機会があって……。実は、彼女も私と同じように、大切な人を亡くしていたことを知りました。

オーストラリアで、バイロンベイという小さな町で、スペインからやってきた女の子と「英語」でそんな話をするのは、なんとも言えない不思議な感覚でした。「もし、この子と私のどちらかが英語を喋れなかったとしたら、こんな話をすることも、お互いの痛みを共有することもなかったんだろうなぁ」と、初めて英語という言語の存在、そして、英語が喋れることの素晴らしさに対し、心から感謝したことを今でも覚えています。

その後、ノアさんはバイロンベイから東京・浅草へ居住地を移し、英語を学んでいる人も、そうでない人も、国籍を問わず誰でも気軽に英語を感じられる空間として、英会話スクールでも英会話カフェでもない「英語が公用語のカフェバー」をオープンさせたのは2013年11月のこと。新しいスタイルのカフェは浅草の土地に馴染み、常連客はもちろん、外国人観光客、インターネットで調べて遠くから訪れた人などで賑わっている。

店内はいつも賑わっている
左上/毎年春に開催される、Cafe Byron Bay主催のお花見
左下・右上・右下/店内は日本人、外国人で大賑わい

2019年夏、Cafe Byron Bayは閉店を予定していた

閉店を考えるに至った理由はいろいろあったけれど、一番はやっぱり「自分の父親が生きている間に、できるだけ彼のそばにいて、一緒に時間を過ごしたいから」。

母親がまだ生きていた頃、私は自分のことで忙しくて、彼女とほとんど時間を過ごさなくて……。彼女が亡くなった時、一緒に過ごす時間を作らなかったことを、本当に悔やんだから。せめて、まだ生きている父親とはできるだけ一緒にいたいと思って、その願いを叶えるためには、このお店を続けていくことが難しいと感じていたんです。

「ノアさんの代わりに、このお店を続けていきたいって思うんだけど」

それはもう、本当にたくさんの人たちや企業から「ぜひ、Cafe Byron Bayを買い取りたい」という、オファーを頂きました。

見たこともないような、大きな金額を提示されて、最初は「有難いことだなぁ」って思ったんだけれど……。実際に、いくつかの企業と話を進めていくうちに、何とも言えない「違和感」が、自分の中に芽生えたんです。

このお店は、私の実の母親の死をキッカケに生まれた……。お金になんて代えられない、かけがえのない空間。その空間を、お金儲けが目的の企業に譲るということが、ちっともしっくりこなくて。

「でも、どのみち父親と一緒にいるためには、閉めるしかないしなぁ」と考えてたところに、昨年の秋くらいかな。もう、Cafe Byron Bayに何年も足を運んでくれていて、今ではすっかり友達のある男の子が、「ノアさんの代わりに、このお店を続けていきたいって思うんだけど」って、手を挙げてくれて。

もちろん、このお店を買い取るようなお金を彼は持っていなかったし、英語を使う仕事をしたこともなければ、飲食店に勤めた経験すらない、未経験者だった。

なんだけれど、「このお店が大好きで、なくなってほしくない」という彼の言葉を聞いた時……。企業の人たちと話をしていた時に出てきた、あの妙な「違和感」は一切なくて、むしろ「安心感」があったんです。

2019年11月、リニューアルオープン!

そんな彼に対して、「本気で言ってる? ぶっちゃけ、全然ラクじゃないし、かなり大変だよ」と、伝えた上で……。今日までの間に、何度もお互いのビジョンを確認し合いながら、お互いの気持ちを擦り合わせながら。いろんな想いを共有していくうちに、「あぁ、この人がやってくれるなら、お店を続けていきたいな。お金も経験もないけれど、この人になら、Cafe Byron Bayに対してここまでの情熱を持っている彼になら、この空間を任せることができる」って、自然と思うことができた。

そういった経緯もあって、これからもこのお店を続けていくという決断をして、彼が正式にスタッフとして加わる、このタイミングで……。これまで以上に、この空間に足を運んでくれるみんなに喜んでもらえるようなお店創りをしたいと願い、リニューアルオープンすることを決めました。

Cafe Byron Bay リニューアル中!
左/デザインを手がけるげんめいさん
右上/オーナー・ノアさん。オーストラリア・バイロンベイにて。
右下/この看板を目印に!

現在、6周年に向けてリニューアル敢行中。リニューアル中もカフェは通常営業しているとのこと。カフェでの会話では物足りないという人向けには、英会話レッスンや洋書の読書会なども開催されている。英会話を学習中の人も、そうでない人も、ぜひ一度訪れてみて!

7月のある日、オーナー・ノアさんのバースデーパーティーにて。
7月に開催された、オーナー・ノアさんのバースデーパーティー。
スタッフのバースデーパーティー、送別会、お花見、ハロウィーンパーティー、クリスマスパーティー、BBQなど、様々な催しものも開催。

 

●Cafe Byron Bay 
https://www.cafebyronbay.com/

〒111-0035
東京都台東区西浅草3-2-12 グレースM 1F
Tel:03-5830-7984
営業時間:
[火〜土]18:00~0:00 (L.O. Food/ 23:00, Drink/ 23:30)
[日]18:00~23:00 (L.O. Food/ 22:00, Drink/ 22:30)
[定休日]月曜日
[料金システム]テーブルチャージ420円、タイムチャージ500円/30分(1品オーダーごとに1回分500円のタイムチャージ無料)
※詳細は、カフェ公式サイトにてご確認ください

※Cafe Byron Bayは、ローカリゼーション(企業ではなく、小さなビジネスやお店から商品を購入することで、地域のコミュニティを応援すること)の概念を大切にしているため、お店で使用する家具は全て、宮城県の石巻市で暮らしている大工さんに手作りのものをお願いしています。

※Cafe Byron Bayはできるだけ、
 ・オーガニック、自然栽培の食材を使用
 ・白砂糖不使用
 ・遺伝子組み換え食品不使用
 ・手作りの食事
を、心がけています。

写真・テキスト提供 Cafe Byron Bay