香川県三豊市を舞台に、古田秘馬さんと編集長・指出が 「関係人口」について考えました。
2019.08.11 UP

香川県三豊市を舞台に、古田秘馬さんと編集長・指出が 「関係人口」について考えました。

SASHIDE’S EYE

「いま、三豊がおもしろい」。そう切り出したのは、株式会社『umari』の代表であり、東京・丸の内で「丸の内朝大学」などの数多くの地域プロデュース・企業ブランディングなどを手がける古田秘馬さん。三豊市は香川県西部の街で、現在、古田さんは地元の人たちと、この地でさまざまな取り組みを行っています。
そんな古田さんと月刊『ソトコト』編集長・指出一正が三豊の街を訪れ、街の人たちに向けた関係人口についてのトークイベントを開催しました。

人と人とをつなぐ「関係案内所」

「最初は講演会の依頼を受けてこの街に来ました。正直、三豊ってどんなところかわからなかったけど、いざ来てみて地元の人に話を聞いたりするうちに、こんなにいいところだったんだなって。何度も訪れているうちに、三豊で地域商社をやりたいっていう話を3年前にもらったのが始まりですね」。そう話してくれた古田秘馬さん。

もともと塩田地域のこの地で、現在は古田さんたちを中心に関係人口を増やすためのさまざまな取り組みが行われている。

『UDONHOUSE』の前にて。三豊市の関係人口をつくるうえでのハブとなっている。
『UDONHOUSE』の前にて。三豊市の関係人口をつくるうえでのハブとなっている。

例えば、本格的な讃岐うどんの文化について学びながら、地域を楽しめる『UDONHOUSE』。うどん作りはもちろん、近隣の農家での収穫体験や、瀬戸内らしいアクティビティの体験などができる施設で、海外の人も多く訪れる人気スポットだ。

「ここから、こんなに素敵なところがあるよ、こういう生活は意外と難しくないよ、ということを発信したいです。それが結果的に、地元の人たちのやりたいことがたくさんできるとか、一緒に活動できる仲間が増えていくことにつながると嬉しいですね」と、約1年半前に東京から三豊に来て、『UDONHOUSE』を立ち上げた原田佳南子さん(上写真中央)が、笑顔で話してくれた。

廃業した酒蔵『三豊鶴』を改築。麹室なども残っているため、最終的には酒蔵として復活させたいそう。
廃業した酒蔵『三豊鶴』を改築。麹室なども残っているため、最終的には酒蔵として復活させたいそう。

ほかにも、建材会社が地元の工務店や不動産会社とも連携して地域づくりを行ったり、廃業した古い酒蔵を改築してさまざまなイベントをしたりと、関係人口を増やそうと地域の人たちが同じ方向を向いて動いている三豊市。

「関係人口を増やすための大事な視点は、関係案内所、つまり人と人との関係を案内する場所があるかどうかということだと思います」と、指出はいう。

関係人口の増加には「関わりしろ」が大事

「三豊リーダーズカンファレンス」の様子。参加者たちはメモを取りながら、まっすぐな視線を送っていた。
「三豊リーダーズカンファレンス」の様子。参加者たちはメモを取りながら、まっすぐな視線を送っていた。

三豊の街をまわって地域の活動に触れた後、古田さん、原田さんが主催するトークイベント「三豊リーダーズカンファレンス」が開催。指出は関係人口の概念をはじめ、どんな地域の、どんな人たちが関係人口づくりに関わっているかなども事例を挙げて紹介。三豊をはじめ、他の地域からも集まった参加者たちに向けて、関係人口のつくり方や重要性についてのトークを行った。

「さまざまな設備や自然が揃っていて、こんなに住みやすい場所はない、というところには関係人口は現れないです。そういったツルツルでピカピカした街よりも、いろんな欠点や弱いところがある、“ざらっとした”手触りのある街には『関わりしろ』が生まれます」

こう話す指出によれば、その街が抱えるほころびや破綻、弱さ、恥ずかしさに目を向け、大事にしようとする場所には、『関わりしろ』があるという。
「例えば、奈良県・天川村にある廃校になった小学校。これもその町にとっては、弱さですよね。これが『関わりしろ』です。この天川村ではその場所を上手に使って、間伐材をバイオマスの燃料用にするための加工場にしたんです」

この話の後、古田さんが続けて話す。

「この『関わりしろ』っていう言葉はいいなあと思っていて。関係人口って別に外の人だけじゃなくて、中の人同士の『関わりしろ』もありますよね? 地域のコミュニティの中でも引っかかるところやザラザラするところに、地域の人が関わっていければいいと思います」

みんなが三豊をうらやましがる理由がわかった

絶景が広がる父母ヶ浜。もともとゴミがあふれていたこの場所も、地元の人たちの手で輝きを取り戻した。
浦島太郎伝説のある丸山島を眺めながら話す二人。

古田さんと指出は三豊の街に触れ、声を聞き、三豊の関係人口についてどのように考えたのだろうか。

古田 「関係人口っていう言葉は、まだまだ地域で浸透するには至っていません。僕たちの役割としては、もっと地元側に関係人口の可能性を知ってもらわなきゃいけないなと思いました。
でも、関係人口を最初からつくりたいってやっていくんじゃなくて、おもしろいコンテンツをつくってそこに人が集まると、自ずと関係人口をつくることになっていくと思います。
まさにそうやって生まれた『UDONHOUSE』などは、関係案内所といえますね」

指出 「短い時間の中でしたが、秘馬さんが、僕が会うべき人のもとへ連れて行ってくれたと感じました。その人たちから滲み出してくる、仕事以上の熱量みたいなものを、三豊市のみんなで少しずつシェアしてリンクさせている感じがすごく伝わってきましたね。建物のリノベーションじゃなくて、エリアやコミュニケーションをリノベーションしているように見えました。
しかも新しいことをやりつつ、先輩たちが大事にしていたものを、しっかり心の真ん中に留めながら街をおもしろくしていて。三豊というところを、みんながうらやましがる理由がわかりましたね」

香川県の小さな街、三豊。
街自体が持つ関わりしろを活かして関係人口をつくっていく姿は、同じ現状に悩んでいる地域にも、さらにいい影響を与えていくことだろう。

三豊については今回のイベントだけでなく、8月28日には東京でもトークイベントを開催! 古田秘馬さんや三豊の方々はもちろん、東京でも活動する注目のゲストも参加する。三豊のことや今後の関係人口について、間近で感じることのできる、またとないチャンスになるはず。

 

sotokoto×三豊市「関係案内所SUMMIT」

日時:8/28(水)20:00−21:45
会場:テーブルギャラリー(東京都渋谷区神宮前1丁目15−4東郷ビル1.5F)
参加費:500円(醤油うどん一杯付き)

ゲスト:
・指出一正(月刊「ソトコト」編集⻑)
・古田秘馬(プロジェクトデザイナー、株式会社『umari』代表)
・原田佳南子(『瀬戸内ワークス株式会社』 代表)
・今川宗一郎(『株式会社ウルトラ今川 代表』)

▽イベントの概要はこちら
https://www.facebook.com/events/895966044105803/

▽参加申し込みはこちら(お申し込みフォームへ)
https://forms.gle/ZGLxgfKWmTP22npN8

photographs by Kei Fujiwara

キーワード

古田秘馬

ふるた・ひま●プロジェクトデザイナー。株式会社『umari』代表。 東京都生まれ。慶應義塾大学中退。 東京・丸の内「丸の内朝大学」などの数多くの地域プロデュース・企業ブランディングなどを手がける。農業実験レストラン「六本木農園」や和食を世界に繋げる「Peace Kitchenプロジェクト」など都市と地域、日本と海外を繋ぐ仕組みづくりを行う。現在は地域や社会的変革の起業に投資をしたり、レストランバスなどを手掛ける高速バス『WILLER株式会社』やクラウドファンディングサービス『CAMPFIRE』、再生エネルギーの『自然電力株式会社』・顧問などを兼任。

指出一正

さしで・かずまさ
月刊『ソトコト』編集長。1969年群馬県生まれ。島根県「しまコトアカデミー」、静岡県「『地域のお店』デザイン表彰」、奈良県「奥大和アカデミー」、奈良県下北山村「奈良・下北山 むらコトアカデミー」、福井県大野市「越前おおの みずコトアカデミー」、和歌山県田辺市「たなコトアカデミー」、高知県津野町「地域の編集学校 四万十川源流点校」など、地域のプロジェクトに多く携わる。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部「わくわく地方生活実現会議」、「人材組織の育成・関係人口に関する検討会」委員。内閣官房「水循環の推進に関する有識者会議」委員。環境省「SDGs人材育成研修事業検討委員会」委員。著書に『ぼくらは地方で幸せを見つける』(ポプラ新書)。趣味はフライフィッシング。