地域のプレイヤーをつなぐ、オンラインコミュニティ。
2019.08.18 UP

地域のプレイヤーをつなぐ、オンラインコミュニティ。

DIVERSITY

地域のプレイヤーをつなぐ、オンラインコミュニティ。

全国の地域のプレイヤーをつなぐ会員制オンラインコミュニティ『EDIT LOCAL LABORATORY』(以下『ELL』)が誕生したのは、今年3月。今回は、6月15日に東京都荒川区東日暮里にて開催されたキック・オフ・イベント「地域と地域をつなぐテーマ型コミュニティ」の様子をレポートします。

『ELL』のベースにあるのは、地域のプレイヤーのノウハウ共有の場として立ち上げられたウェブマガジン『EDITLOCAL』だ。『ELL』プロデューサー・影山裕樹さんは著書『ローカルメディアのつくりかた』を手がけるなかで、「『世代や価値観の分断による社会の停滞』が、『地域』という単位でも起こっている」と感じていて、「ひとつの地域に長く住んでいると、周囲には同じような立場・考えの人ばかりになって、世代、趣味嗜好、偏りのある考えが増幅・強化されていく。でもそんな状況で地域ならではの価値を掘り起こすのは困難になる」と考えるようになっていったそうだ。

ゲストの平山さんは、前職で昭文社『ことりっぷ』の Web事業全般を統括。月間1万件におよぶユーザー からの投稿があるコミュニティをつくり上げた。
ゲストの平山さんは、前職で昭文社『ことりっぷ』のWeb事業全般を統括。月間1万件におよぶユーザーからの投稿があるコミュニティをつくり上げた。

そんな影山さんの課題意識に共感したメンバーによって誕生した『EDITLOCAL』が焦点を当てたのは、地域メディアの実践者たちだった。「全国に志を同じくするメディアづくりの実践者がいるのに、各地でバラバラに活動しているため意見交換できる機会が少ない。彼らのノウハウを共有できる場があれば、各地域での課題解消のヒントを得つつ、ほかの地域の知識や経験を取り入れてもらえるのでは」と考えたのだ。こうした動きを、よりスピーディ、かつ各地域に合わせた形で提供できるようにするため始まったのが、『ELL』なのだ。会員同士の情報交換や地域ごとのスレッドに加え、「半島」や「アートプロジェクト」など地域を貫くテーマに沿った研究や情報発信をする「ラボ」の立ち上げなどができる、従来の「学会」のような機能に、全国どこにいてもダイレクトな交流が可能な「オンラインサロン」の形を組み合わせた場で、地域に関心のある人なら年会費8000円で誰でも参加ができる。

6月15日のキック・オフ・イベントでは、「地域メディアラボ」や「半島ラボ」の取り組みの発表に加え、共同プロデューサーの江口晋太朗さん、ゲストスピーカーらによる活動指針の提案が行われた。旅の思い出を共有できる「ことりっぷアプリ」を前職で企画し、1万件以上のユーザー投稿のある活発なコミュニティに育て上げた経験を持つ平山高敏さんが提案したのは、「コミュニティのなかに軸の異なるコミュニティを設ける」という考え方だ。例えば、『ELL』を大きなコミュニティと考えると、その中にある「軸の異なるコミュニティ」が「ラボ」にあたる。「地域の活動家同士をつなげる」という『ELL』の軸に対して、「半島好きをつなげる」「アート好きをつなげる」という「ラボ」の軸。そのため、『ELL』の活動だけでは共感しにくい層も、「ラボ」の活動に共感してもらうことから、結果的に『ELL』自体に多様性を生み出せるという。

地域に新たな視点を取り入れるべくスタートした『ELL』は、常に新しい視点を取り入れ続ける必要がある。影山さんは「現・会員にはローカルメディアやまちづくりに関わるプレイヤーが多いが、今後は、自治体職員や研究者など、地域にまつわる多様なバックグラウンドを持つ人の参加を増やし、新たな取り組みなどにつなげていきたい」との意気込みを新たにした。

今回のイベントで分かったのは、彼ら自身が偏りのないコミュニティを目指しているという姿勢だ。彼らの取り組みから、どのような動きが巻き起こるのか、今後も目が離せない。

研究者と地域の連携可能性を探る「地域メディアラボ」(右)、アイデン ティティが曖昧な半島を再定義する「半島ラボ」(左)の紹介も。
研究者と地域の連携可能性を探る「地域メディアラボ」(右)、アイデンティティが曖昧な半島を再定義する「半島ラボ」(左)の紹介も。

 

本記事は雑誌ソトコト2019年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。