移動中にアップデートする、育児と移動のノウハウ。ー 田舎と田舎の二拠点生活24
2019.08.24 UP

移動中にアップデートする、育児と移動のノウハウ。ー 田舎と田舎の二拠点生活24

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産前産後では、二拠点の移動時間の過ごし方がガラリと変わった。

産前は「移動時間=仕事の時間」だったので、産後はひたすら娘と向き合い、周りの席の人と交流している。おかげで、人様から多くの学びを得ている。

娘が大勢に愛嬌を振りまき、多くの人を引き込んでいく。

小豆島と幡豆を行き来するには、車、フェリー、バス、電車、新幹線と多様な交通手段を利用する。電車は乗り降りや車両が多いからか、さほど人と交流がない。しかしフェリー、バス、新幹線はしばらく一つの空間で共に過ごすため、必ず周りの人と交流することになる。

「かわいいわね」と相手から声をかけてもらえたらラッキー。多少ぐずっても「あらあら」と笑顔であやしてくれる。子育ての思い出話をする人も多く、勉強になる。

赤ちゃんに興味がなさそうな人がそばにいると、ソッとしてあげたいと思うが、娘は社交的な性格で、終始目が届くすべての人に、手を伸ばしながら笑顔で「あーあー」と声をかけ続ける。すると、さっきは興味がなさそうだった強面な人が娘の笑顔につられて、意外にもかわいい一面を見せながら娘に接したりするので微笑ましい。

3時間余りもフェリーで交流すると、育児レベルが上がる。

一番濃密に人様と交流するのは、3時間余りも乗船する「フェリー」だ。フェリーでは娘が騒いでも安心な乳幼児専用ルームで、初めて会う赤ちゃんや保護者と過ごす。小児科や健康診断、育児支援施設などでいろんな赤ちゃんや保護者と会うが、3時間以上も交流をすることはさすがにない。3時間余りあれば、昼食や授乳、オムツ交換や着替え、お昼寝やギャン泣きタイムなど、いろんな生活の一面を見ることができ、それが見事に十人十色。育児のコツや考え方、赤ちゃん連れでも楽しめるお店など、保護者とさまざまな情報交換ができるので、私の育児ルールや育児グッズもフェリーに乗るたびにレベルアップしている。

もちろん、常に人様と円満ではなく、娘が泣き叫んだり、寝ている隣の人を叩いて起こしてしまったり、ほかの赤ちゃんにグイグイ近寄って泣かしてしまったり、ほかの赤ちゃんの離乳食を食べたくてぐずったりするなど、トラブルも多くて、誰もいないところに逃げたくなるが、「これも修行」と私自身に言い聞かせている。

公共交通機関で移動する時間は、日常生活の中で一番「知らない人」が周りにいる時間。普段ならその人たちと交流することはないが、赤ちゃんがいるだけで途端に交流する日々に変わる。知らない人と接するのは得意ではないし、気疲れもするけれど、せっかくなので、楽しもう。

ある日の夫婦

モーニングセット
モーニングセット

夏の農作業は、なるべく涼しいうちにしている。そこで朝5時から娘の離乳食を用意し、6時から8時まで娘を背負って農作業。そして8時から農作業メンバーと「モーニング」に行くのが日課。早朝からオープンし、ドリンクに無料でいろんなご飯をつけてくれる喫茶店がゴロゴロある愛知文化のおかげ。小豆島では絶対にない文化だからおもしろい。

本記事は雑誌ソトコト2019年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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黒島慶子

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続ける。2017年7月に、愛ある日の夫婦知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を造る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚し、2018年7月に娘を出産。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。