玉葱、大根、人参、ジャガイモと一緒に煮込む。鮭の代わりに、鹿肉を使ったオハウもある。地域によって具材が異なるのもアイヌ料理の楽しみかたの一つだ。
2019.08.25 UP

大仕事を終えた鮭の顔。はっちゃれのオハウ ーSUSTAINABLE DESIGN

DIVERSITY

北海道に住むアイヌの友人を取材した時のことだ。「昔のアイヌにとっては川の鮭も立派な食材だった」と聞き、アイヌ料理の「オハウ」を作ってもらった。彼は特別採捕許可を取得し、伝統漁法「マレク漁」で遡上してきた鮭を獲っている。

北海道では川に上ってきた鮭を「ほっちゃれ」と呼ぶ。「産卵、放精後の鮭」という意味らしく、脂が落ちたほっちゃれは鮭とばにすることが多い。

塩だけで煮込んだオハウは、素材の旨みが存分に引き立ち、あっさりとして食べやすかった。海の鮭に比べ、川の鮭は顔付きがワイルドだと友人は言う。そう聞くと確かにどこか獰猛な顔立ちにも見える。産卵という最後の大仕事のために体力を振り絞っている顔なのかもしれない。

ほかの友人たちに勧めてみたが、「いやあ、海のやつのほうが美味いべ」と笑って誰も手を付けなかった。普段東京でチリ産の鮭を食べている僕にとっては、ほっちゃれでも最高にぜいたくな思い出となった。

photograph & text by Hiroshi Ikeda

本記事は雑誌ソトコト2019年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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池田宏

いけだ・ひろし
1981年佐賀県出身。大阪外国語大学外国語学部スワヒリ語科卒業後、『studioFOBOS』入社。2008年から北海道に住むアイヌの人たちの撮影を始める。写真集『AINU』を出版。