都市内有機農家「えんちゃん農場」に学ぶ、援農者が集まるコミュニティづくりのコツとは
2021.02.26 UP

都市内有機農家「えんちゃん農場」に学ぶ、援農者が集まるコミュニティづくりのコツとは

SUSTAINABILITY

週末にさまざまな人が畑を訪れ、みんなで農作業をする。そんな珍しい取り組みをしているのが、横浜市にある「えんちゃん農場」。援農者が集まるコミュニティづくりのコツや、後世にバトンを繋ぐためのカギとなるお話について伺いました。

都市内有機農家「えんちゃん農場」とは?

パートナーズデイ
農体験の様子(写真提供:えんちゃん農場)

横浜市旭区にある、無化学肥料・無農薬栽培の農家、えんちゃん農場。

前編では、えんちゃん農場の特徴についてご紹介しました。

▼前編の記事はこちら!
都市内有機農家「えんちゃん農場」が新規就農するまでの道のりと、人手と笑顔を増やす農業体験(前編)

参加メンバー
左から、パートナーズ運営メンバーながのさん、農園主長岡さんの奥様、農園主長岡さん、パートナーズリーダー伊藤さん、七草店主南雲さん(筆者撮影)

後編では、援農者が集まるコミュニティづくりのコツや、えんちゃん農場と飲食店・七草の関係性について伺っていきたいと思います!

今回も、農園主である長岡さんの他に、えんちゃん農場の野菜を扱う飲食店、七草の店主・南雲さんと、えんちゃん農場パートナーズ運営メンバーの伊藤さん・ながのさんにも参加していただきました。

こちらがえんちゃん農場の農園主、長岡親一郎さんです。

長岡さんプロフィール
長岡親一郎(ながおか・しんいちろう)さん(筆者撮影)

《長岡親一郎(ながおか・しんいちろう)さんプロフィール》

えんちゃん農場農園主。神奈川県横浜市出身。1970年生まれ。大学卒業後、広告の制作会社に15年間勤めるが、脱サラし2012年に生まれ故郷である横浜市で新規就農。無化学肥料・無農薬の野菜を栽培(年間約60~80種類)。

援農者が集まるコミュニティ「えんちゃん農場パートナーズ」

畑作業の様子
定期イベントの様子(写真提供:えんちゃん農場)

えんちゃん農場では、えんちゃん農場パートナーズというコミュニティを通じて活動を行っています。

《えんちゃん農場パートナーズについて》

無化学肥料・無農薬栽培に取り組むえんちゃん農場と、生活に農を取り入れたい/農に関わりたいという人たち=パートナーズが、農起点のさまざまな活動を広げるコミュニティ。学生から主婦、アーティストやサラリーマンといった多種多様なメンバーが集まり活動中。

現在コミュニティを運営する運営メンバー(アクティブメンバー)が約20人。パートナーズ(一度でも参加したことのある人)は約150人(2021年2月現在)。運営メンバーと参加者の垣根を作らないために、運営メンバーのことを“アクティブメンバー”と呼んでいる。

月に2回、えんちゃん農場パートナーズdayという農業体験イベントも開催

えんちゃん農場パートナーズができた経緯やイベントの様子は、前編をご覧ください!

援農者が集まるコミュニティづくりのコツ

えんちゃん農場パートナーズが目指しているのは、「持続可能なえんちゃん農場」。それは、今の畑を守り続けることだけではなく、えんちゃん農場の屋号が続いてほしいという意味でもなく、想いが続いていってほしいという意味なのだそう。想いをつないでいくために、長岡さんとパートナーズのメンバーは、居心地の良さを大事にしていると言います。

えんちゃん農場の援農者が集まるコミュニティづくりのコツは、以下の3つ。どのように居心地の良いコミュニティにしているのか、一つずつ伺ってみました。

  1. どんな人でも受け入れる
  2. コミュニティ内に考えの偏りを作らない
  3. コミュニティに奥行きをつくる

どんな人も受け入れ、雰囲気づくりを大事にする

移動中
畑までみんなで移動中(写真提供:えんちゃん農場)

パートナーズリーダー伊藤さん(以下伊藤) シンプルなことですが、集まってきた人を否定しないとか、そういう居心地の良さがここに来る一番の理由にしたいと思っています。参加者どうしの会話とか、楽しい空気感を大事にしているんです。有機農業について知らない・興味のない人にも来てもらって、畑作業を通してその良さを体感してもらえたらいいなと思います。

長岡さん(以下長岡) 人が人を呼んで様々な年代の人が集まってくれて、いろんな話ができる、いろんな人がいる、だからつい自分の事も相談してしまう、みたいな雰囲気が自然と生まれているんだと思います。

シンプルだけど難しい、どんな人でも受け入れること。それを大事にしているからこそ、居心地の良いコミュニティになるのだと感じました。

コミュニティ内に考えの偏りを作らない

メンバー
畑には多種多様な人たちが集う(写真提供:えんちゃん農場)

高校生のパートナーズアクティブメンバーながのさんは、コミュニティとして考えの偏りがないことが居心地の良さにつながっていると言います。

ながのさん 高校生はコミュニティに参加する機会が少ないから、コミュニティ内の考え方に偏りがあると、抵抗感が生まれてしまう。でもここはいろんな職業の方やいろんな考え方を持っている人がいるから次も行きやすい、っていうのはあると思います。視野が最初から広がっている感じが、居心地の良さにつながっているのかも。

伊藤 「こういうのを解決しよう!」って気を張って無理していると、長く続かないと思うんです。持続可能なコミュニティにするために、考えの偏りをつくらないことは大事にしていますね。

コミュニティに奥行きをつくる

虫標本
虫に詳しいメンバーが、子ども向けのワークショップを開催(写真提供:えんちゃん農場)

伊藤 集まった後に知り合った人たち同士が、普段やりたいけどやれていないことを形にしてみたりとか、集まった人たちで別の活動が生まれたりとか、“畑から派生した何か”がないと奥行きがないなと思っています。これから何年も付き合う仲間になるには、多分畑だけじゃなくて、そこから生まれた何かがあったほうが持続可能だろうなって。

どんな人も受け入れることで居心地の良さが生まれ、居心地の良さがあるからこそ、そこからメンバーの自主的で自由な活動が生まれていく。そうやって想いの循環がつくられていることが伝わってきます。

取材・文:さいとうえみり
写真:えんちゃん農場、さいとうえみり

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