家族で群馬県に暮らすこと、働くこと。
2021.03.03 UP

家族で群馬県に暮らすこと、働くこと。

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移住には、第二の人生を歩むような一大決心というイメージもありますが、群馬県出身で、『ライフサカス』代表取締役CEOの西部沙緒里さんは、もっと軽やかに、かつ合理的に、これまでの生活と仕事を保ちながら、そして、何よりも家族の幸せを最優先に考え、移住という生き方を選ばれました。向かった先はなぜ群馬なのか、同じ群馬県出身の弊誌編集長・指出が尋ねました。

西部さんが移住先に、群馬県高崎市を選んだ理由。

指出 西部さんがご家族と一緒に東京から群馬県高崎市に移住されたことを知り、ぜひその理由をお聞きしたいと思いました。いつ、どんなタイミングで移住されたのですか?

西部 移住したのは2020年6月で、移住した大きな理由は、2人目の子どもを授かったこと。東京都の台東区や荒川区に夫婦共働きで暮らしていましたが、身寄りがないため子育ての面で不安があったことに加えて、新型コロナウイルスに対する心配もあり、移住しました。社会的にリモートワークが認められたことも後押しになりました。

指出 西部さんは前橋市ご出身です。高崎は僕の出身地でもありますが、なぜ高崎を選ばれたのですか?

西部 夫の出身が石川県なので、移住するなら「北陸新幹線の沿線上に」というアイデアがありました。ただ、夫は週2日の在宅勤務、週3日の東京勤務なので石川では遠すぎます。そこで、群馬案が浮上。私の実家がある前橋ではなく高崎を選んだのは、より東京に近いから。交通の便が群馬のなかでも優れているという点で高崎を選びました。もう一つ、群馬を選んだ大きな理由は、人とのつながりがあったからです。

指出 どんなつながりですか?

西部 東京で企業に務めていた頃に『群馬県民の日 in Tokyo』という任意団体で、群馬県民と群馬県出身の首都圏在住者をつなぐ活動をしていました。今やFacebookグループに約8000人が参加するほど豊かなコミュニティが育ちました。そのネットワークが群馬にあったことも、群馬移住の決め手になりました。

指出 なるほど。任意団体の活動を通して群馬との関係性を築いた結果、今の移住につながったのですね。

2人の子を育てる母、妻、働く女性として群馬に移住後も活躍する西部さん。

子育ての援助や家族関係を、長続きさせるためのコツ。

指出 移住後、想定以上だと感じたことはありますか?

西部 高崎市の子育て支援の手厚さは想定以上でした。高崎駅前にある『高崎市子育てなんでもセンター』の託児ルームでは、生後6か月の乳児〜小学3年生までの児童を1時間300円で預かってくれます。移住前に高崎で家探しをしたときに娘を預け、重宝しました。それから、『高崎市子育てSOSサービス』も便利。妊娠中や、乳・幼児のいる家庭にヘルパーさんが来て、1時間250円で食事の支度から掃除、洗濯、授乳やおむつ交換のサポートまでしてくれるのでとても助かります。

指出 日々の子育てをサポートする制度を自治体が用意してくれていると助かりますよね。ほかに、変わったことはありますか?

西部 何よりも実家との距離が近くなり、子育ての不安が解消しました。車で30分もかからない前橋に暮らす母の手が借りやすくなりました。夫が東京に行き、私が「ワンオペ育児」になるときに母が手伝いに来てくれたりして、助かっています。

指出 「ほぼUターン」を意味する「ほぼU」をされたことで、前橋と高崎の両方のメリットを享受されているように見えます。自分の生まれ育ったまちの濃すぎる人間関係を避けて、あえて隣のまちに「ほぼU」する人は西日本に多いようです。

西部 「ほぼU」の感覚は私にもありました。完全同居ではないけれど、スープの冷めない距離に暮らす安心感。家族って、互いの人生を背負い合うとしんどくなる部分もあるので、適度な距離を置きながら、でも、いざというときにはすぐに駆けつけられる、そんなつき合い方が長続きできていいんじゃないかと思います。

群馬の人や自然を愛する弊誌編集長の指出。リモートワークの意義を指摘。

QOLを保って働くのが、本当のリモートワーク。

指出 お仕事は順調ですか?

西部 はい。仕事の柱は2つあり、1つは東京など全国の企業や自治体、学校に対して、女性の仕事と不妊やがん治療との両立をテーマにした講演や研修をリモートで行っています。もう一つは、不妊治療など人生の岐路に立つ女性のリアルなストーリーを紹介するウェブメディア『UMU』を運営しています。仕事も人間関係も、東京時代から損なわずに続けられ、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を保ったまま生活を楽しんでいます。東京から群馬だと移住というより、移住と引っ越しの間くらいの感覚です。群馬に移ったことで手放したものはほとんどありません。

高崎市への移住後は、ほとんどの仕事をリモートワークでこなしている。

指出 夫の尚毅さんは週3日東京へ通われ、JR在来線(湘南新宿ライン)のグリーン車で往復する間、仕事をされているそうですが、それもリモートワークのメリットで、大事なこと。帰宅後、子どもたちと過ごす時間がつくれますから。

西部 新しい事業や活動にチャレンジしたいと手を挙げたときに必要な「人、もの、資金」が、群馬は集まりやすい環境だと感じます。地域から応援を受けると、事業や活動の成果を地域に還元したい気持ちも強くなります。そんな地域に根付く人材が集まってほしいです。群馬でのネットワークがない方は行政機関に相談するのもアリだと思います。

指出 群馬県の移住コーディネーターの皆さんは、市町村をまたいで連携を取られているので、自分に合ったまちや地域を移住先として紹介してくれるはず。西部さんのような素敵な移住生活を叶えてほしいです。

新型コロナ前に請け負っていた講演会や研修はリアルでの開催がメインだったが、今はほとんどがリモートで行われている。

「オールぐんまオンライン移住相談ウィーク」

群馬県では、「オールぐんまオンライン移住相談ウィーク」を2021年3月13日から開催。初日にライブイベントを開催し、その後1週間は相談会などを実施。特設サイトでは、県内各地の暮らしぶりや、移住や起業の先輩を紹介する動画も多数配信。動画を視聴したうえで参加すると、より自分にふさわしい地域や移住後の暮らしをイメージしながら相談できそうだ。

ぐんまな日々:https://gunmagurashi.pref.gunma.jp/

photographs by Mao Yamamoto text by Kentaro Matsui thanks to Motomachi Shimotaya

記事は雑誌ソトコト2021年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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西部沙緒里

にしべ・さおり●1977年群馬県生まれ。2002年博報堂入社。15年に乳がんの手術を受け、不妊治療を行ったことから、女性の健康課題を取り巻く日本社会の不条理でサポートレスな現実を知り、16年に『ライフサカス』を創業、代表取締役CEOに。講演や研修を行いつつ、「産む」ことを考えるメディア『UMU』を運営。https://umumedia.jp

指出一正

『ソトコト』編集長。1969年群馬県生まれ。島根県「しまコトアカデミー」メイン講師、静岡県「『地域のお店』デザイン表彰」審査委員長、奈良県「SUSTAINABLE DESIGN SCHOOL」メイン講師、和歌山県田辺市「たなコトアカデミー」メイン講師、秋田県湯沢市「ゆざわローカルアカデミー」メイン講師、福島県郡山市「こおりやま街の学校」学校長など、地域のプロジェクトに多く携わる。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部「わくわく地方生活実現会議」、「人材組織の育成・関係人口に関する検討会」委員。内閣官房「水循環の推進に関する有識者会議」委員。環境省「SDGs人材育成研修事業検討委員会」委員。経済産業省「2025年大阪・関西万博日本館」クリエイター。著書に『ぼくらは地方で幸せを見つける』(ポプラ新書)。趣味はフライフィッシング。