人気ファッションブランド SNIDELが切り開く、SDGsなモノ作り
2021.02.17 UP

連載 | サステナnote 子育て編 | 5 人気ファッションブランド SNIDELが切り開く、SDGsなモノ作り

SUSTAINABILITY

SDGsを毎日の生活の中で子供たちにできるだけ簡単に、わかりやすく伝えていこう!と、2030年を生きる未来の子供たちをテーマにした連載「サステナnote 子育て編」。連載第5回は【SDGsの項目12/つくる責任つかう責任】をテーマに。長らくファッション=ワンシーズンで消費という考えが主流でした。そんなファッション業界でいち早くリアルファーの廃止、ショップバッグをはじめとする様々な店舗資材のサステナブル素材への切り替えなどサステナブルな取り組みをおこなっていった「マッシュスタイルラボ」。その取り組みについて、マッシュスタイルラボ取締役企画本部長の楠神あさみさんに話を伺いました。

小脇 今回は、SNIDELをはじめ、圧倒的な人気を集めている数々のレディースブランドが集まる「マッシュスタイルラボ」の、「ファッション×サステナブル」についてのお話を聞かせてください。ファッションは、基本消費をするもの、商品を促すものなので、ファッションとサステナブルは相いれないという反発が出てきやすいですよね。ファッション業界で働く楠神さんは、この点をどのように考えていますか?

楠神 私は、母が昔から地球環境に対する活動をしていて、子供の頃から母が作った環境についてのカルタで遊んだり、無駄に電気をつけないとか、つけっぱなしにしているとすぐ消されちゃうという環境で育ちました。だから、常に心のどこかにサステナブル的な意識はあったと思います。でも、その一方で自分の幸せや楽しみの中で、ファッションというものがとても重要だったんです。

小脇 小さな頃から、そういう環境にいたというのは大きいですよね。SDGsというのは、経済活動をしながら持続可能なことをしていくことなので、御社が取り組んでいる「ファッションを楽しみながら、社会に貢献できる新しい提案」というのは凄いなと思っているんです。

楠神 そうですね。私の中では、マッシュグループが2016年に宣言したエコファーへの切り替えをきっかけに、親から受け継いでいる地球環境への意識と、ファッションが好きという2つの意識が交わったんです。これまでは、ただファッションを楽しんできたけど、サステナブルを意識していくという感覚が出てきたことで、「この2つの共存をどう楽しんでいこう」という気持ちに変化したんです。最初はそれこそ、売り上げの主軸を占めていた冬のリアルファーのコートをやめて、エコファーに切り替えることはビジネスにおいて大切な利益に直接影響がでてしまうことなので、環境のことを考えてやめるという選択を、ビジネスの持続とどうつなげていくか?ということなどに、とても悩みました。でも、サステナブルを特別なことと捉えるのではなくて、もっと普通のことにしていきたいなって。それこそ、お客さんがファッションを楽しみたくて手に取ったものが、実はサステナブルなものだった。そんなことが当たり前になる、というのが一番自然なことなんじゃないかなと。

エコファー素材のSNIDELのブルゾン。
エコファー素材のSNIDELのブルゾン。
エコファー素材のFRAY I.Dのコート。
エコファー素材のFRAY I.Dのコート。

小脇 「かわいい!」と思って手に取ったものが、実はサステナブルなものだったというのはすごくすてきですよね。確かに、エコファーが始まった頃はやはり“フェイクファー”なんて呼び方が主流だったこともあって、ちょっと見た目的にもあまりかわいくないな…という感覚も正直あったと思うんです。でも、そこからどんどんエコファー自体も進化していって、今は見た目的にもリアルファーと全く変わらなくなっていますよね。

楠神 そうなんです、やはりファッションが好きだから“かわいい”という感覚は絶対に大事にしたくて。エコファーを使うと決めた以上、絶対にいいものを作る!って決めて、メーカーさんと共同で素材を開発したり、本当に努力してきました。
だから私たちとしては、お客様が買っていただくときにタグを見て、サステナブルに関することが明記されていたら「あっ、これがそうなんだ!」と気づくレベルでもいいと思うんです。その瞬間に、ハッとしたり、それがきっかけで意識が広がったりしたらいいなって。多分、そういう取り組み方がマッシュスタイルラボらしいやり方かなと。なので、感覚的にはこれまでと同じようにファッションを楽しんでもらいながら、実は、それが自然な形でサステナビリティの流れの中に入っていく。多分、これからの時代は、そういう意識が、だんだん自然に出てくるようになるのかもしれないですよね。
なので、ファッション=消費の時代はもう終わって、ワンシーズンしか着られない、という感覚も変わって、モノを大切にするという流れになっていくと思うんです。だから私たち作り手側も、モノを大切にすることと、消費することの両方をうまく実現できるような流れに寄り添っていくというのが1つの課題ではあるかなと思っています。

小脇 毎シーズン、「今のトレンドはこれです!」と、どんどん新しいモノを作っていくと、在庫ロスだった、環境への負荷が必ず出てきますよね。ファッションの楽しみを提供しながらも、サステナブルにも取り組んでいくというのが、ある意味御社らしいということですよね。

楠神 ファッションとしての流れを作っていくことも私たちの役割だし、サステナブルなことを自然にやりながらも、ファッションってある意味でみんなの生活と切っても切り離せないものの1つなので、それを通してSDGsの考えを根気よく訴えていくことは大事かなとは思っています。その中で、「モノを大切にするようになったから、消費がちょっと減ってきました」となれば、それは良いことですよね。そうなったら、私たちは、消化率の問題を意識して、利益を出すということを会社として考えていけばいい事なんです。これからの未来は、当然今までのビジネスのやり方を変えていかないといけないし、それを私たちは自然に楽しみながら形にして、お客さまにもそれを受け入れていただけたら嬉しいなと思います。

小脇 店頭の取り組みとしては、ショッパーにFSC認証紙を使ったり、有料化にしたりされていますよね。

楠神 今まで、セール時はビニールの袋を使っていたのですが、今年の夏のセールからはビニール袋を一切廃止し、また、有料化しました。通常時のショッパーを含めて、すべてのショッパーを環境に配慮したFSC認証紙に全て切り替えています。

小脇 SNIDELで買い物をしたときに、紙袋を見て、ブランドとしての意識の高さを感じました。

楠神 去年の夏に、ルミネ新宿で店舗自体の素材が80%以上サステナブル素材でできているお店を作ったんです。アパレルでは、在庫ロスを無くして、消化率を上げるということはもちろん環境配慮につながることだけど、意外と見落としがちなのが、店舗で使われる什器など。例えば、お店の鏡とかも実は意外と有害なものを使っていたりするんです。廃棄のことまで考えていないというか…。今後は、鉛などの有害物質を使わずに、磨き上げられる鏡を使ったりとか、リサイクルガラスを用いたりとか、いろんな角度からサステナブルに取り組んでいく方法があると思うんです。今後は、一貫して地球環境に優しく生産、消費していくっていうことが結果的に人々の助けや、幸せになっていくのかなって。だって、実際にもう私たちは環境問題に関しては直面してきてるじゃないですか。夏の暑さとか…。

店舗自体の素材が80%以上サステナブル素材でできているスナイデルルミネ新宿店。
店舗自体の素材が80%以上サステナブル素材でできているスナイデルルミネ新宿店。

小脇 暑さは、本当にそうですよね。アパレル業界では、夏が長くなったので夏物のセールをしないと言うブランドも出てきたりしていますもんね。店舗でのSDGsの取り組みに対して、お客さんからの反応はどうですか?

楠神 今回、セールショッパーから有料化していきましたが、お客さんからは「良い取り組みですね」という声をたくさんいただいたんです。オーガニックコットンなど環境に配慮した素材を使用した洋服もとても人気です。あと最近、販売スタッフの面談をしている時に感じるんですけど、若いスタッフほど、SDGsに意識を持っているなと感じます。

100%リサイクル素材でできているというドレスは、50%以上が再生ポリエステル、さらには使用済みペットボトルなども用いられている。風合いや光沢、軽量感などのクオリティも高く、高品質に仕上がっている。
100%リサイクル素材でできているというドレスは、50%以上が再生ポリエステル、さらには使用済みペットボトルなども用いられている。風合いや光沢、軽量感などのクオリティも高く、高品質に仕上がっている。

小脇 若い子たちにとっても、サステナブルやSDGsは興味のあることなんですね。

楠神 もちろん私たちよりも若い分、地球環境の保護がより自分ゴト化していると思うし、SNSなどを通して、インフルエンサーと呼ばれる方々も地球環境問題、ジェンダーなどの問題に関して積極的に発信しているので私たち世代よりも情報感度が高いように感じます。

もしかしたら、「サステナブル」とか「エコ」とか、そういったことが若い子にとっては”トレンド“の1つという感覚なのかもしれないなとも思うんです。でも、私はトレンドでもいいなと思っていて、トレンドから始まる変化や文化ってあると思うから。そうやってきっかけは軽いものだとしても、まずは知ることが大事だなと思うんです。

小脇 なんか、この感覚っていいな! みたいな感じから取り入れていって、それが自然と生活に溶け込んでいったらそれはそれでいいですよね。そこからきちんとその想いが持続していってくれたら、小さくても積み重ねで変わっていくと私も思います。どうしても大人は難しく考えちゃうから。だからなかなかSDGsが浸透しないのかもしれないですね。

楠神 まさに、若い子にとっては流行りという感覚もあるのかもしれませんね。実際にうちの会社にも、ブランドのサステナブルな取り組み方に興味を持って、面接に来てくれる子もいるんですよ。

小脇 「SNIDELが好き!」という気持ちだけじゃなく、そのブランドのサステナブルな取り組みに興味を持ってスタッフ募集に応募してきてくれる子がいるって、素敵ですよね。会社として、どういった取り組みをしているかを次の世代の子たちは、見始めているんですね。

楠神 そういう企業姿勢に興味を持っている子が多いというのは、最近本当に感じています。今年の入社試験でも、「この会社の取り組みを私たちの世代がより一層広めていきたい」と話す子がいて、これからやるべきことを担っていく覚悟を持っている素晴らしいスピーチしていました。それを聞いて、私たちも負けていられないなと思いました。

キーワード

楠神 あさみ

くすがみ・あさみ
マッシュスタイルラボ
取締役 企画本部 本部長 兼 スナイデル ディレクター
建築デザイナーを経て、2005年にマッシュスタイルラボのファッション事業部創業メンバーとして入社。SNIDELチーフデザイナー、FRAY I.Dチーフデザイナーなどを歴任し、現在はスナイデルのディレクターを務めながら企画部全体を統括する。

小脇 美里

こわき・みさと
ファッションエディター/ブランディングディレクター
高校時代より、読者モデルとして活躍。アパレルブランドのプレス・デザイナーを兼任した後、ファッションエディターに。ウェディングドレスのデザイン、自身の著書を出版するなど多岐にわたり活躍。2児の母。令和初の「ベストマザー賞」経済部門を受賞。