時代遅れ、じゃない。香川県高松市 ーSUSTAINABLE DESIGN
2019.09.10 UP

時代遅れ、じゃない。香川県高松市 ーSUSTAINABLE DESIGN

DIVERSITY

香川県高松市の女木島は、周囲約9キロ、人口100人余りの小さな島。今年は「瀬戸内国際芸術祭2019」の会場としても賑わっている。

 カラフルな海水浴客で賑わう夏の島。そのすぐ隣で観光客を唖然とさせる祭りがあった。瀬戸内海に浮かぶ女木島で、2年に一度開催される住吉神社の大祭だ。祭りの最終日、白装束の男たちは勢いよく砂浜を突っ切り、太鼓台もろとも海へ飛び込む。

 つは女木島では、明治から続く若中規約(祭りのオキテ)を頑なに守り続けている。漁師の島らしく、豪快にして質実剛健。陸上では、4人の太鼓叩きの少年を乗せた太鼓台を30〜40人の男衆が担ぎ、ぐるん、ぐるんと、垂直になるまで何度も転がし続ける。弱音を吐かず歯をくいしばる少年と、それを汗だくで支える男たち。少年が島の男になるイニシエーションでもある。

 今なら、なぜこんな危険で無意味なことを、と思うかもしれない。でも100年前はこれがリアルだった。力よりも、よう辛抱した、助け合ったと、心の強さを讃えながらこの島の人たちは生きてきた。時代が変わっても、失ってはいけないことがある。無骨な背中が、そう語っている。

photograph & text by Chizuko Konishi

記事は雑誌ソトコト2019年10月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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小西 智都子

こにし・ちづこ
香川県出身の編集者・ライター。2010年、出版社『ROOTSBOOKS』を設立。瀬戸内海の島の書籍などを手がける。これまでに訪れた瀬戸内の島は100島以上。ランド・オペレーターとして島旅のコーディネートも手がける。