実力不足や台風被害―小さな町の太鼓集団が苦難を乗り越え、国内外で活躍するまでの道のり
2021.04.02 UP

実力不足や台風被害―小さな町の太鼓集団が苦難を乗り越え、国内外で活躍するまでの道のり

PEOPLE

「最初はすごく下手なチームからのスタートでした。」そう話すのは、地元である宮城県にUターンし、現在は丸森町の太鼓集団「旅太鼓」の代表として、地域活性事業を行う濱野友也さん。現在は丸森町にとどまらず、国内外へ活動を広げています。実力不足や台風19号の被害……様々な苦難を乗り越えて、人々を笑顔にする太鼓集団へ成長するまでのお話は、これから前を向いて進んでいきたい人にとって背中を押してくれるものでした。

《濱野友也(はまの・ともや)さんプロフィール》

プロフィール
今回お話を伺う濱野さん「写真提供:濱野友也」

宮城県多賀城市出身。1992年生まれ。東京でサラリーマンを2社経験後、宮城県丸森町へ移住。世界中の旅行者と丸森町がつながるきっかけを創り出す、太鼓集団「旅太鼓」代表 / 株式会社GM7 取締役 / 株式会社VISIT東北 執行役員COO / 一般社団法人宮城インバウンドDMO 事務局長 /宮城ワーケーション協議会事務局 / Happiness Design Team MORE JAM 代表(宮城レジャー活性化集団)

丸森町太鼓集団「旅太鼓」のスタート地点

メンバー
旅太鼓のメンバー「写真提供:濱野友也」
 

濱野さん率いる太鼓集団「旅太鼓」は、2018年に結成されました。結成わずか一年で海外公演を実現させ、2020年には「新しい東北」復興ビジネスコンテストにてJTB賞を受賞。現在は丸森町を起点とし、地域の人との交流や国内外での演奏・体験提供等の活動を行っています。常に枠にとらわれない新しい挑戦を続ける姿が印象的ですが、はじめは未経験者が多い状態からのスタートだったのだそう。

筆者 「旅太鼓」はどのように始まったんですか?

濱野 僕が勤めているGM7の有志社員を集めて結成しました。最初はすごく下手なチームからのスタートだったんです。僕以外ほとんど未経験の状態で始めて……。でも少しずつメディアに取り上げてもらったり、海外で演奏することになったり、スキルよりもブランディングが先行して、プレッシャーがかかる局面を何回も乗り越えてきました

筆者 プレッシャーを乗り越えながら、技術を磨いてきたんですね。レベルを上げていくために、濱野さん自身が意識していたことや取り組んだことってありますか?

濱野 チームメンバー全員、和太鼓だけやっているわけではないんです。それぞれが仕事が終わった後に集まって稽古をするので、参加しやすいような雰囲気づくりや、達成感を感じてもらえるような関わり方などを意識していましたね。事業として成り立つためのブランディングにも力を注いでいました。

「旅太鼓」のブランディングの2つのポイント

さいり屋敷
丸本町のシンボル「齋理屋敷」。太鼓体験などで観光客をもてなす。「写真提供:濱野友也」

筆者 先ほど「ブランディングが先行した」とお話がありましたが、ブランディングのポイントなどありましたら教えてください。

濱野 「限定された合理性」と「計画的偶発理論」の2つを大事にしています。狙った通りになったという感じではなく、「太鼓×地域活性×インバウンド」くらいのざっくりとしたテーマを持ち、ある程度の計画性を持ちながら、テーマに合致する目の前のベストに常に取り組んいくといった感覚でした。もともとインバウンドで東北地域活性を志す企業グループですので、そこで生まれた企業や行政とのつながりもうまく紡ぎながら、活動を拡大拡張してきました。その過程の中で、旅太鼓の理念に共感してくれる心強い仲間たちがジョインしてくれ、今に至ります。ここからさらに、自分たちの存在意義やミッション、ビジョンをしっかり定め、優先順位を整理してアクションを継続していきたいと思います。

パラレルワークで人生を豊かに

濱野さんを含め「旅太鼓」のメンバーは全員、太鼓演奏者でありながら、他にも飲食、インバウンド、農業など様々な分野で活躍しています。このような働き方をすることで、率直な疑問を投げられることもあるのだそう。

濱野 僕たちは事業として和太鼓をやっているのですが、時には「なんで仕事で太鼓なの?」「趣味でしょ」と言われることも。でも、ビジネスも芸術活動もパラレルに行うことで、人生を豊かにしたり、人に影響をあたえたりできることを、活動を通じて届けていきたいと思っています。

筆者 確かにそういう時代になってきているのかもしれないですね。

濱野 一人が一個のことだけやるのではなく、自分が変化しながら取り組めば、もっと豊かな世界になると思うんですね。二足のわらじってネガティブに思う人もいるかもしれませんが、三足でも四足でもいいよね、と言える環境作りが重要だと思っています。

取材・文:さいとうえみり
写真:濱野友也、さいとうえみり

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