私ができるところからつくる、明るい未来。奥大和Sustainable Design School
2021.03.26 UP

私ができるところからつくる、明るい未来。奥大和Sustainable Design School

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奈良県・奥大和地域(南部東部地域)と『ソトコト』のコラボによる講座「Sustainable Design School」。持続可能な取り組みを学ぶ機会を提供し、奥大和地域で活躍する人材を育てるため、2020年度に開催されました。受講生はさまざまな人の声や現場での活動から、それぞれが“自分にできるSustainable”を見つけたようです。

座学の後、下北山村でのフィールドワークへ!

 同スクールは、まず各地で活躍する人たちのお話を座学で学んだ後、奥大和地域でフィールドワークを行うスタイル。受講生は、奈良県にUターンした人、移住した人、奈良県出身で県外在住者などさまざまだ。

 9月に開催された第1回講座のゲストティーチャーは大塚桃奈さん、インナーティーチャーは下北山村に拠点を構える小野正晴さん、晴美さん夫妻。10月に開催された第2回講座のゲストティーチャーは根岸えまさん、三浦大紀さん、インナーティーチャーは坂本大祐さん。全国各地で進められている持続可能な取り組みや、地域で活動するプレーヤーの本音などを聞かせてもらった。

第2回講座の様子。オフライン・オンラインのハイブリッド形式で実施した。

◆第1回講座

◆第2回講座

そして第3回は、縦に長い奈良県のなかで最南東部にある下北山村で、講師の指出一正と共に1泊2日のフィールドワーク!

地域の資源を活かす。人を寄せる仕組みやサービスをつくる

 一同は、自家用に育てたものの食べきれない野菜を朝市で売る『土曜朝市』や、山の高低差を利用して水力発電を行う『小又川水力発電所』、村の面積の92%を覆っている山林を活かすため「下北山村林産加工施設」の運営のほか、建物の内装、家具製作などを担う『スカイウッド』などを巡った。これらは、地域の資源を余すところなく使おうとする知恵が感じられるスポット。

 
小又川水力発電所を見学する受講生。村の世帯の約半数をまかなえるほどの発電量があるという。

 特に『スカイウッド』では、カッティングボードなどがシンガポールで売れた話を聞き、参加者は「海外にも目を向ければ、小さな村の可能性は無限大だ」と実感した様子。「海外ではこの形がウケそう」などのアイディアも飛び交った。

  
『スカイウッド』の本田昭彦さん(左)より話を聞く。

 また、人口が約900人の村にとって欠かせないのが、関係人口の存在。それを活気づけている3つのスポット・サービスも視察した。まず、元保育園の建物を活用したコワーキングスペース『SHIMOKITAYAMA BIYORI』と、その隣にある移住交流体験施設『むらんち』へ。ここは村民のみならず、村外の人々も活用する“窓口”になっていて、条件を満たせば『むらんち』に泊まることができるため、「次に来たときはここを拠点にする!」と意気込むメンバーも。

  
『むらんち』を見学する受講生。

 次に「Sustainable Design School」の前身である「むらコトアカデミー」の1期生で、受講後に勤め先の企業内で新サービス「ムラカラ」を立ち上げ、東京から下北山村に移住した森田沙耶さんから話を聞く。「ムラカラ」は、うつなどの疾病で離職や休職をしている人に向けた宿泊型転地療養サービス。受講生が利用者について質問すると、「都会より快復が速い印象。頭よりも自然の中で体を動かして健康の土台をつくる、順序がいいのかもしれない」と森田さん。

  
「ムラカラ」を運営する森田沙耶さん(右)と、話を聞く受講生。

前鬼という集落にも足を運んだ。その名を持つ鬼が暮らしていた伝説が残るところで、その末裔として宿坊を営むのが61代目当主・五鬼助義之さん。「鬼の子孫」と聞いてもピンとこない様子の受講生だったが、1000年以上続く家系図や昔の写真を見せてもらった。「伝統を守るために活動されている姿に刺激を受けた」と話す人も。

  
家系図の説明をする五鬼助義之さん。

 充実した1泊2日を終え、一同は帰路についた。

「ここから始めます」とそれぞれが宣言した最終発表会

 その一週間後。受講生はそれぞれ「日常でどのように『持続可能な暮らし』を実現していきたいか」などを考え、オンライン最終発表会で次のように発表した。

小南理華さん
「水力発電など、私の生活にはない要素を見ることができました。いつか家を建てるときに暖炉をつくったり、電力を少なくする暮らしをしたりして自活したいです。地元産の食べものを買って食べること、木を使った商品を買う・使うこと、地域を知ることを通じて、持続可能な暮らしを実現していきます!」

村岸隆行さん
「地のものを消費する『地産地消』はもちろんすばらしいのですが、自分が住む地域を讃える『地讃地称』もいいなと思いました。『ここがええねん!』と讃えていくんです。『自賛地称』でもいいですね」

近藤泰樹さん
「桜井市でカレー屋を開く予定です。地域にあるものを活用していきたいので、奥大和は可能性のあるエリアだと感じました。奥大和は食のメディアなのではないか、と。これからさまざまな生産者さんからお話をうかがって勉強し、人やお金の巡りをつくっていきたいと思いました」

福田まやさん
「持続可能な社会をつくるには都市と地方がうまくつながる必要がありますが、今は地方のものが都市に流れるばかりで返ってくるものが少ないので、奈良の森の学校をつくりたいと考えました。奈良の史跡と木材の関連を紹介するマイクロツーリズムができたらおもしろいなと思っています」

佐々木良緒さん
「今住んでいる地域のコミュニティを大切にしていこうと感じました。ただし、地域には休日に人が都会に流れているなどの課題はあります。また、持続可能な暮らしのために、自分が食べるものをつくるべく農業もしていきます。自分の地域を見つめ、他地域を知ることも大切ですね」

 
最終発表会の様子。笑顔があふれる。

 自分ができるところから未来をつくる——。それは小さいようで、地域にとって大きな一歩になるだろう。そんな学びを得た受講者のこれからと、地域の変化が楽しみだ。

 

photographs by Hiroaki Itakura, sotokoto
text by Yoshino Kokubo